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最強のおっさん魔術師、自分探しの旅をする  作者: 陽山純樹
第二章

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騎士と魔物の攻防

 守るだけでは殲滅される……と、魔族は判断したらしく今度は逆に打って出る形でこちらへ攻め込んできた。反転、攻勢を仕掛けてくる魔物達……なのだが、騎士達はそれを予測していたのか、しっかりと応じた。

 固まった段階で騎士達は突撃を中断し、迎え撃つ態勢に入っていた。攻め寄せる魔物達を受けきり、それでいて包囲している状況を維持する……うん、騎士達の戦いぶりは見事だ。遠視の魔法で戦況を窺う限り、ほころびなどもない。


 おそらくこれは俺がルードへ情報を伝えたことで、力量を把握し対応しているということなのだろう……その間に俺はさらなる魔法で敵を消し飛ばす。確かに数は多い。軍団と言って差し支えない規模だが、俺の魔法ならば十分対応できる。

 さらに、ニックの仲間やミリアの魔法などによっても、魔物は死滅していく……やがて騎士達も魔法で攻撃をし始めた。向こうからこちらへ来るなら、迎撃しつつ魔法で数を減らしていく……成果は上々であり、着実に魔物の数が減っていく。


 こうなると魔族としてはさらに対応を求められるわけだが……と、魔物の動きがさらに激しくなる。中央付近にいた魔物達が前に出てくる形で移動をしており、おそらく精鋭の魔物で勝負を仕掛ける気なのだろう。


「俺が魔法で攻撃をしてみる」


 こちらの言葉に仲間やニックは頷き……中央付近から突き進んでくるゴブリンへ向かって、雷撃を放った。

 見た目的にそれほど違いはないのだが、明らかにまとっている魔力の大きさが違う。元々魔族などから力を与えられているのか、それとも生成されて以降、強力な力を持っている存在を選りすぐっているだけなのか……雷撃が当たる。破裂音と共に魔物は動きを止め……後方にいた魔物達を含め、数体倒れ伏す。どうやら俺の魔法までは対応できないらしい。


 そうした中で、俺はルードへさらに情報を伝える。中央付近の魔物は確かに強いが、俺の魔法では一撃。能力が上がっているにしろ、十分対処可能だと判断した。

 そして俺の魔法による結果を見て、ニックが前に出た。呼応するようにアルザが続くと、迫る精鋭の魔物に対して交戦を開始した。


 ニックは豪快な剣戟であり、対するアルザは退魔の力を付与した斬撃……どちらが上、という評価は極めて難しいのだが、目前で生じた二人の剣については……純粋に魔物を吹き飛ばした数はニックが上。しかし、退魔の力を活用したアルザは、後続からやってくる魔物を瞬殺する。


「はああっ!」


 声と共にアルザはさらなる剣を放ち、どんどんやってくる魔物を倒していく。うん。直接戦闘についても問題はない……どころか、このままアルザやニックが俺達が立っている周辺の魔物を全部倒しきってしまうのではないかと思ってしまうほどの勢いがあった。

 痛快なくらい順調だが、問題は魔族か……遠視魔法でその姿を観察する。魔物達に守られるような形で、黒髪の魔族が一体いた。


 その立ち姿は美形とも呼べるくらいだが、現在は魔物へ指示を送って苦々しい表情を見せている。予定では攻撃してきた騎士団をあしらって王都へ向かうつもりだったのかもしれない。

 とにかく、表情から現在の状況は予定外なのだろうと想像はできる。敵の指揮は魔族がやっているようなので、魔族を倒せば魔物の進軍を止めることはできるが、魔物が四方に散らばってしまう可能性がある。


 そうなった場合、かなり厄介なので……魔族を倒すのは少し慎重になる必要がある。問題はどのタイミングで勝負を仕掛けるのか。


「……おーい、ルード」


 俺は魔法を使い、指揮官である彼のことを呼ぶ。


「魔族へ攻撃をするのはどのタイミングだ?」

『もう少し中央付近が開けてからだな。まだ魔物の数が多い』


 返答は、耳というより頭の中で聞こえるような感覚である。


『ディアス、もし魔族へ攻撃を仕掛ける……短時間で懐まで潜り込めるか?』

「魔法で無理矢理道を作ればなんとか。アルザが斬れば一撃で倒せる可能性は十分ある」

『退魔の力か……わかった、ひとまずディアス達は現状維持で頼む』

「攻撃は騎士達がやるのか?」

『そういうことだ。ま、部下に花を持たせてやりたいからな』

「別に構わないけど、敵の動き方次第ではリスクもあるから注意しろよ」

『ああ、わかっている。何かあればそちらへ指示を出すよ』


 会話が終了する。ふむ、ルードのお手並み拝見といったところか。


 俺は仲間へ指示を出して魔物をその場で倒していると、やがて包囲する騎士達に変化があった。今度はこちらが戦法を変える番……どうするのか見守っていると、複数の騎士が魔法の援護を受けながら魔物の軍勢を切り崩した。まずは密集し連携をしている魔物達の数を減らし、突撃をやりやすくするつもりのようだ。


 魔族はそれを読んでいるか。あるいはわかっても防げないだろうか……ここでとうとう騎士達が反撃に転じ、一気に敵を蹴散らし始めた。


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