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最強のおっさん魔術師、自分探しの旅をする  作者: 陽山純樹
第二章

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二日目

 結局宴会は深夜にまで及んだ。ニックは酔い潰れ仲間達に介抱されながら俺達から離れ、それをきっかけに他の冒険者達も離れていった。

 残された俺達は粛々と片付けをして、眠る……そして翌日、騒いだけれど体調も良く、俺達は昨日の続きとばかりにダンジョンへと入ろうとしたのだが、


「おはよう……」


 明らかに体の具合が悪そうなニックと遭遇し、思わず苦笑してしまった。


「大丈夫なのか?」

「頭が痛い……」

「久しぶりの探索で、調子に乗っているからだぞ、まったく」

「だってさあ……あいたたた……」


 頭を抱えるニック。休んだ方がいいのではと助言しようとしたし、後方にいる彼の仲間も表情から同じ事を思っているようだが、彼は頭痛を我慢しつつ、


「いや、攻略はする。当然だ」

「……二日酔いで剣を振れずに魔物にやられました、というのは正直『六大英傑』の顛末としてはあまりに情けないからやめてくれよ」

「ああ、わかっている……いたたた……」


 頭を押さえつつ、彼はダンジョン入口へと歩んでいった……本人がああ言っているのだから、好きにやらせてあげよう。ただあんな感じではあれば、さすがに二日目は無理しないだろう。


「よし、それじゃあ俺達は昨日の続きだな」

「大丈夫なのかしら?」


 ミリアがヨタヨタと歩いて行くニックを見ながらコメント。それに俺は肩をすくめ、


「さすがに危なくなったら退散するだろ。引き際はちゃんとわきまえているさ」

「だといいけれど……競争相手が何かしらの形でリタイアしたら寝覚めが悪くなるわね」

「さすがに自分の落ち度ということで、ニックとしてはおとなしく負けを認めるだろうけど……俺達としてはここまで来たんだ。ちゃんと勝負を決めたいところだよな」


 その言葉にミリアもアルザも頷いた。うん、二人ともやる気になっているようで何よりだ。


「というわけで、魔族探しを始めよう」

「相手がおとなしいから悠長ね……」

「二日酔いじゃなくても元々そのつもりだったけどな……ひとまず第五層まで調べてみて、いなかったら本格的に攻略を始めようか」


 その言葉にミリア達は再度頷きつつ、俺達はダンジョンの中へと入った。






 俺達はそこからひたすら魔族探しを行う。ここで特に重要となるのはアルザ。退魔の力によって隠し通路を発見したこともあるため、ミリアを見て何かしら反応を示したのであれば、彼女が真っ先に気付くはずだ。

 交渉役はミリアに任せることにして……俺の方は周囲の警戒をすることに。上層は比較的魔物がいないし、敵も決して強くはないが、さすがに無警戒というのはいくらなんでもまずい。


 よって、俺は索敵を行いつつミリア達に追随するのだが……これも結構神経を使う。攻略済みの場所であってもダンジョンは魔族の領域であるため、何が起こるかわからないので、集中し続ける。


「ディアス、大丈夫?」


 俺が魔法を維持していることに対し、アルザが問い掛けてくる。


「ん、ああ。とりあえず索敵についてはどうにか……アルザの方は?」

「私の方は問題ないけど……昼ぐらいになったら一度休憩とかする?」

「ああ、それがよさそうだ……」


 そうして俺達は第四層まで辿り着いた。第五層は城塞なのだが、ここは森であり、うっそうと茂る木々が擬似的な太陽の光によってキラキラと輝いている。

 深い森というわけではなく、木漏れ日によって森の中は比較的明るい。ただ、さすがに森の中を探索する気になった冒険者は少なかったようで、入口を発見以降通り道となったらしく未踏破の場所は結構多い。


 つまり、そうした場所に魔族がいる可能性は十分ある。ましてここは森の中。どんなやり方でも隠れようはある。


「アルザ、隠し通路とかは……」

「うん、退魔の力があれば発見はできる」

「そうか。ミリア、そうした場所を見つけたらメモを頼む」

「ええ、わかったわ」


 そんな風に会話をしつつ、俺達は森の中を調べていく……道中でいくらか魔物と遭遇したが全て俺が対処。まだまだ敵も弱いし、俺達を止める存在は誰もいない。

 そうして――未踏破の場所を二ヶ所回った時、アルザが声を上げた。


「あ……」

「どうした?」

「魔物とは異なる気配がこの奥にある」


 アルザが進行方向を指さす。ミリアに確認をとると、どうやらそこは未踏破の場所らしい。


「アルザ、魔族か?」

「かも、しれない……私はこのダンジョンにいる魔族の気配がどんなものなのかわからないから、断定したことは言えないけど」

「なら調べよう。ちなみにミリアの魔力に反応したのか?」

「私達が近づくことで反応したみたいだし、もしかするとミリアが原因かも」


 そうであれば作戦は成功だけど……ここからは慎重に、ということで俺達は辺りを警戒しつつ、森の奥へと進んだ。


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