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最強のおっさん魔術師、自分探しの旅をする  作者: 陽山純樹
第二章

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勝負所

 やがて俺達は地図では詳細を確認できない未踏破の領域に辿り着く。そこには魔物の気配をそこかしこに感じた。


「結構な数、魔物が残っているな。近くへ来ると迎撃しようとするタイプかな?」

「森の中だし、そうかもしれないわね」


 ミリアが臨戦態勢に入る。アルザもまた剣を抜き、俺も杖を構える。

 同時、こちらへ近づいてくる魔物の姿があった。狼の形をした個体であり、その動きで俺達を翻弄する……という特徴であることは一目瞭然だった。


 相当素早く、正確に魔物へ狙いを定める技術がなければキツい……と思うのだが、俺達は何一つ問題なかった。俺は即座に魔法を発動。それは氷系の魔法であり、多数の氷柱が一挙に出現し、魔物へと降り注がれる。

 こちらへ迫ろうとしていた魔物達は、回避できず魔法をまともに食らった。威力は相当あるし、頭部を撃ち抜かれて消滅する個体もあったが、中には頭部を避けて胴体で受ける個体がいた。


 ただし、体のどこかへ当たれば……直撃した魔法は、氷が一気に噴き出すように爆散した。二段構えの魔法であり――もし何かに当たって氷柱の速度が遅くなれば、弾けて対象を氷漬けにするような仕掛けを施している。

 それは見事に成功し、当たった個体は氷に包まれ動きを止める。後は氷にヒビでも入れれば倒せる。


 そして魔法を完全に回避した個体については――俺へ向かってくるが、それを阻むようにアルザが魔物に立ち塞がった。


「やっ!」


 彼女は声を共に剣を一閃。襲い掛かろうとする魔物に直撃し、あっさりと滅び去る。

 おそらく攻撃が直撃しても、ノーダメージだったはずだ。けれど基本的には攻撃が当たらないように立ち回りたい……どれだけ力の差があっても、攻撃を食らえば怪我をするリスクは存在するわけだし。


 俺の目論見を理解しているのか、アルザとミリアは俺を守るように立ち回り……程なくして魔物を全滅させた。


「……確認だけど、ミリア」


 ここで俺は一つ質問をする。


「現在、この階層で魔物が生成されている……というわけではないよな?」

「おそらくは。少なくとも上層部では、魔物が何者かによって生み出されているという気配はなかった」

「魔力に満ちてはいるし、自然に生まれ出るとは思うけど……そうやった経緯で出現する個体はさして多くない。このまま魔物を倒せば……」

「その分だけ純粋に魔物の数は減るでしょうね」


 うん、こうして未踏破の場所を調べて魔物を倒して回るのも、先行する人達の助けにはなるだろう……俺達は気を取り直して先へと進む。森は深いが視界には困らない。そうして俺達は壁際まで到達したのだが、


「何もなさそうだな」

「洞窟の類いもないわね」

「アルザ、ここまでの途中で隠し通路とかは見つかったか?」

「それらしい場所は何ヶ所か。調べてみる?」

「一応、下の階層である城にどう繋がっているのかは確認しないといけないな」


 下の城を模した場所については洞窟などはなかった。つまり、部屋のどこかに繋がっているのだとは思うのだが。

 俺はアルザの案内に従って隠し通路があると思しき位置まで移動。雑草をかき分けると実際に発見できた。


「通路の隠し方は巧妙になっているけど、それ以外は同じ構造だな」


 中はやっぱり石造りの階段。


「ミリア、アルザ。俺が調べてくるから二人はここで待っていてくれ」

「一人で大丈夫なの?」

「通路内に魔物はいないし、下は既に攻略済みだ。森の中に魔物がいないか索敵を頼むよ」


 そうして俺は通路で第五層へ……通路の先は、小部屋の壁だった。


「ふむ、これも巧妙に隠されているんだろうな」


 俺はどういう風に道が隠れているのか確認した後、第四層へと戻ってミリア達と合流する。


「小部屋に繋がっていた。第五層では地面の中に隠すというやり方ができない以上、もしかすると壁に通路が隠れているかも」

「その辺りは下の階層へ赴いて調査だね」


 アルザの言葉に俺は頷きつつ、


「よし、それじゃあ探索の続きを――」


 提案しようとした矢先のことだった。俺は気配を感じ取り森の一点を見据える。

 続いてアルザ、ミリアも気付いた。森の奥……そこから、明らかに気配が生まれた。しかもそれは、魔物ではない。


「本命かな?」

「私が気配を発しているから、でしょうね」


 ミリアが声を上げる。


「でも、魔物を倒しているし敵なのか味方なのか迷っている……といったところかしら?」

「かもしれないな。アルザ、まだ距離はあるけど……」

「うん、明らかに近い。ここから一気に迫ることはできるけど」

「……魔族がいる周囲には罠がある可能性もある。できれば慎重にいきたいけど……」

「ここは勝負所じゃない?」


 アルザの言葉に、俺は頷く。


「そうだな……ここまでのダンジョンからすれば、罠があるにしても物理的なものではなく魔法を絡めたものだろう。それなら俺達は防げるだろうし……勝負をしてみるか」


 アルザは笑みを浮かべ、ミリアは同意するように頷いた。そして俺は、


「一気に距離を詰める。ミリアは俺とアルザに追随し、後方に注意をしてくれ」


 その言葉と同時――俺とアルザは、森の中を駆けた。


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