表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
54/65

日の出

 リナシェイクが待ち望んでいた太陽が、ゆっくりと姿を現した。


 それが合図だった。


 既に王宮の周辺に身を潜ませていた仲間が一斉に腰を上げ、門へと駆け寄る。既に王宮内に潜入している仲間の働きのおかげで、門兵はひとりもいない。


 リナシェイクが、先頭を切って駆ける。


 宮殿内の地図は、全て頭に入っていた。

 無駄な雄叫びなど上げない。鬨の声など不要だった。


 少しでも早く奥まで進みたかった。警備が手薄とはいえ、こちらは五十人しかいない。しかも、援軍などは期待できないのだ。


 その時、ピーと笛の音が響くのが聞こえた。気づかれたか。


 脇を走る仲間に目で合図をすると、わかった、という風に頷いて後ろに下がって行った。

 後方の仲間たちと一緒に、時間稼ぎをしてもらうことになっているが、興奮のためか目が血走っていたのが気にかかる。

 咄嗟の時に冷静に判断できるくらいの余裕を残していればいいが、と思うが、ここまできたら生きるも死ぬも当人次第だった。


 リナシェイクは自分のすぐ後ろを走っているフェイレの様子をちらりと窺う。

 興奮しているわけでもなく、緊張しているわけでもない。いつも通りの表情に見えた。 


 肝が据わっている。


 やっぱりこいつは人の上に立つ人間なんだろう、と考え、嬉しくなる。

 こいつが頂点に立てば、きっと変わるという期待を抱かせるだけの器があるのだ。


 出会い頭に攻撃を仕掛けてきた兵を、反射的に鞘に収めたままの剣で殴り倒す。

 考えなくても、体が動く。


 リナシェイクは口の片端を上げて、にやりと笑った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ