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塔の中 塔の外  作者: ちとせ
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朝ご飯を食べた後、アルデビルド様と一緒に僕の部屋に行く。

そして僕にはスキンシップが足りないのではないかという事をアルデビルド様に伝えた。


「つまりシーネは俺とふれあいの時間が欲しいという事でいいのか?」

「アルデビルド様たちと、です」


決してアルデビルド様とだけスキンシップを取りたい訳では無い。ウェルスタイ様やエルゴン様ともスキンシップを図るつもりだ。いろんな人との経験値を稼いで、このバクバクを何とかしたい。

とりあえず今日はアルデビルド様とイチャイチャするのです。今日一日、側にいてくださいとお願いした。


朝と同様、ソファーに座っているアルデビルド様に抱き着く。

今日の僕は甘えん坊シーネです。幼児のようにアルデビルド様に付いて回る。アルデビルド様がトイレに行く時も扉の前で待ってます。アルデビルド様が嫌がらないのでやりたい放題です。

アルデビルド様、お茶の時間はノリノリで僕を膝の上に乗せ、カップを持って飲ませてくれました。


一日の終わりにはなんとお風呂まで入れてくれました。体洗ってもらったけれど、力が強すぎて背中がヒリヒリします。アルデビルド様は体を洗うのむいてないですね。


お風呂から上がったらあとは寝るだけです。なのでベッドに入ったらアルデビルド様が枕をもってやって来た。そしてベッドの中に入ってくる。


「今日は1日、離れたくないんだろう?」


確かにそう言ったのは僕ですが、寝るのまで一緒だなんて考えてなかったですよ!僕の心臓がドキドキしている。

ガウェン様とも一緒のベッドで寝たじゃないか、それがアルデビルド様に変わっただけ。

そう思っていてもドキドキはなかなか治まってくれない。僕はアルデビルド様に背中を向けた。


「シーネ、もっとこっちにおいで」


そう言って僕を引き寄せて抱きしめた。


「アルデビルド様!」

「ふれあいの時間が欲しいんだろう?」


アルデビルド様はクスクス笑いながら言う。これはやり過ぎだと思います!僕の心臓はかつてないほどバクバクしている。恥ずかしい!これも恋なんですか、ウェルスタイ様!

これでは眠れない。絶対無理!


「アルデビルド様、はなして?」

「ダメだ」


僕のお願いは却下されました。そしてより一層強く抱きしめられる。なんでこんなことになってしまったんだ。僕が一日張り付いていたのが迷惑だったら、今仕返しされているんだろうか?

ともかくこんな事されて眠れるわけがない。


「アルデビルドさまぁ」


抱きしめられているから顔だけ後ろを向けて、情けない声を出す。あ、ちょっと涙でそう。離してくれないと僕の心臓が持ちません。


「っう」


僕の情けない声が効いたのか、アルデビルド様は僕を離してくれた。よかった、ちょっと安心です。とんでもない速さで動いている心臓を押さえて、顔の火照りが落ち着くのを待つ。

よし、大分落ち着いてきた。


僕はアルデビルド様の方に体を向けた。なぜか顔が少しだけ赤くなっているアルデビルド様。僕をからかい過ぎて、笑いを堪えていたんだろうか?まあいいや。


「アルデビルド様、手、にぎってもいいですか?」


抱きしめられるのは恥ずかしいけれど、手を握るくらいだったらそこまで恥ずかしくない。


「どうぞ?」


そう言って方手を差し出してくれた。僕はその手を両手で握る。温かい。手が冷たい人は心が温かいっていうけれど、アルデビルド様は手だけじゃなくて心まで温かいと思う。

何だかすごく安心する。

温かい手を握っていると、なんだか瞼が重たくなってきた。


ウトウトとし始めた僕を見て、アルデビルド様は握られていない手で僕の背中を軽くたたいてくれる。

リズムよくたたかれて僕の瞼はとうとうくっついた。

くっつく前におやすみ、シーネという声と何か温かいものが額に落ちてきた。だけど眠気に負けてなにが落ちてきたのか確かめることが出来なかった。


外から鳥の声が聞こえる、もう朝だ。そう思って目を開けると、目の前に王子様の顔があった。その目はばっちり開いている。


「ひゃぁ!」


ビックリした!目を開けたら目の前に人の顔があるってこんなにビックリするものなんだ。

ビックリしている僕を見てアルデビルド様は朝だからか、とっても爽やかに笑っている。ちょっとひどい。


「おはよ、ございます」

「おはよう」


王子様スマイルを間近で受けて、僕の顔に血が上る。朝から心臓に悪い人だな。胸に手を当てようとして、何か遮るものがある事に気が付いた。

アルデビルド様の手、握ったままだった。てっきり夜の内に離されているかと思っていた。ずっと握っていてくれたんだ。

僕は嬉しくなって握っていた手に力を籠める。アルデビルド様も痛くない程度の力で握り返してくれた。

そのことがとても嬉しかった。

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