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塔の中 塔の外  作者: ちとせ
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「シーネ」


横にいるアルデビルド様が僕を呼んだ。なんですかと隣を見上げる。


「どうしてこんな格好をしているのか、聞いてもいいか?」


そうでした!僕、メイド見習の恰好でした!突きつけられた現実に、僕の体温は急上昇する。

恥かしい!こんな格好見られたくなかった。そう思って両手の平で顔を覆い、下を向く。


「シーネは貴方のためにそんな恰好をしたんですよ」


ガウェン様がやって来て、僕の手を引いてアルデビルド様から離された。そしてさり気なくみんなから見えにくいよう、自分の後ろに隠してくれた。


「まずは着替えてから。それから話をしましょう。みなもそれでいいですね?」


そして、またここに戻ってくるのでそれまで待機するよう伝える。ガウェン様の言葉にみんなが頷いた。それを確認した後、シーネ行きますよと僕を連れて部屋へと歩き出した。

アルデビルド様も付いてきたそうな顔をしていたけれど、何も言わなかった。


僕たちは無言で歩く。部屋に着くと、持ってきた服に着替える。いつもの僕の格好だ。ズボンはやっぱりいいですね。安心感が違います。

着替えの間はガウェン様は外に出て待っていてくれた。何たる紳士!でも僕男なので気にしませんよ?


着替え終わると、部屋の外にいたガウェン様に声を掛ける。そしてそのまま先ほどの広場のようなところへと戻った。

みんなそこで待っていた。どうやら記憶合わせをしていたようだ。魅了されていただなんて半信半疑だった人たちも、さすがに何日も経ってたので納得せずにはいられないだろう。


僕たちが戻ってきたのを見ると、話すのを止めた。

そして僕がズボンなことに気が付いて、絶望的な顔をしている人が何人かいる。そんなにズボンと僕の顔を交互に見なくても。だましていた訳では無いのです。けど何となくごめんなさい。


「戻りました。それでは説明しましょう」


ガウェン様が話し始めた。簡単に言うと、彼女は魅了の魔法に近い何かを使ってみんなを操っていましたよという事。中には家にも帰らず彼女の側にいたことを伝えた。そして僕の方を向いて、彼があんな格好をしてまで情報を集めてくれたんですと言った。

いや、僕はぶつかって罵られただけですが。大したことはしていません。

みんな信じられないと言った顔をしていたけれど、本当の事です。貢がされていた人もいましたよ。


「シーネ、本当の事なのか?」


アルデビルド様は信じられないと言った顔で僕の方を見る。エルゴン様とパフィエルも同様だ。

僕は頷き、貢がされている人がいたことを話した。


「今、この時代に魅了の魔法は無いはずです。私たちは本当に魅了されたのですか?」

「彼が身に着けていた守り石の色が薄いピンクに変わりました。魅了に近い何かが発動していたことは間違いありません」


確かに僕の付けているネックレスの石はまだ薄いピンクのままだ。それをみんなに見せる。みんなも僕の石がピンクなのを見たら、納得してくれたようだ。


「しかし、どうやって魅了の魔法を・・・」

「彼女は異世界から来たと思われます。彼女の世界の魔法だとしたら?」


その言葉にみんなハッとした顔をしていた。この世界になくても、彼女の世界にあったのだとしたら?という事に気づいたのだろう。そういえばカレンは何か言ってなかっただろうか?


「ガウェン様、すきるって何ですか?カレン言ってました」


確かそんな言葉を言っていた気がする。魔法とは違う何かなのだろうか?


「すきる、ですか?この世界にはない言葉ですね。もしかしたら彼女の世界では、魔法と同意語なのかもしれません。みなさん、彼女と接したときに何があったか覚えている人はいますか?」


みんな考えるが一向に答えは出ない。何か法則があって発動するのではないのだろうか?

そもそもこの世界の魔法は発動するとき声に出さない。必殺技みたいに叫ばないのだ。理由を聞いたら逆になんで叫ぶんだ、今からすることが相手にバレるじゃないかと言われた。


確かにそうですね。この世界の人たちは髪の毛の色で何の魔法が使えるのかわかる。だから相手が何の魔法を使うのかわかっているのだ。

声に出したら居場所までバレてしまう。だからみんな何も言わずに魔法を使う。街中だと声をかけあうけどね。


「アルデビルド様、カレンと初めて会った時、どうしたの?」


まずはアルデビルド様から情報収集です。アルデビルド様は思い出すように目を瞑り、顎に手を当て考え始めた。


「確か俺たちのクラスに彼女は顔を見せに来たんだ。1人1人に手を握って挨拶をして、去って行った。それくらいしか覚えていないな。後は記憶がない。気づいたら時間が経っていた」


そんな短時間なんだ。次の人に話を聞いてみる。聞きやすいエルゴン様お願いします。


「確かアルデビルド様をお迎えに行った際、彼女が隣にいたんです。アルデビルド様の様子がおかしかったので、何かあったのか彼女に声を掛けたらなぜか自己紹介をされて・・・。ああ、そうだ。手を握られながら自己紹介をされたんです」


後は記憶が無いですとエルゴン様。次はパフィエル!


「少し遅れて2人の所に行ったら様子がおかしくなってたな。どうしてこうなったのか、近くにいた女に声を掛けたら急に手を取って自己紹介してきた」


3人の話を聞いたけれど、意外とわかりやすくない?どうやら魅了の魔法が発動する条件は、手を握って自己紹介することっぽい。

みんなにも確認してもらったら、そうしたら、みんなそういえばって言い出した。どうやら間違いないみたい。

僕ってば名探偵になれるかも!

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