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すきるって何?魔法とは違うの?
謎の言葉だけれど、カレンが魔法っぽいものを使っていたという事は間違いないみたい。
「あんたそのネックレスを寄こしなさい!」
そう言ってカレンが僕の方に走ってくる。きっとこのネックレスが原因だってわかったんだ。このネックレスがないとまたみんながカレンに操られちゃう!
そう思ってネックレスを守るように体を丸めた。
「何をする!」
僕とカレンの間にアルデビルド様が入ってカレンを組み敷く。床に押さえつけられたカレンは僕を見上げて睨みつけてくる。
「シーネ!」
ガウェン様の声がした。僕の来た方向から走ってくる。その後ろには何とか団の人の姿もある。
ガウェン様は僕の所にやってくると怪我は無いですかと確かめている。
「貴様、カレン様に何をしている!」
ガウェン様の後ろにいた何とか団の人がアルデビルド様をカレンから引き離そうとしていた。
「ジオグアイル!早く助けて!」
カレンが助けを求めると、何とか団の人は嬉しそうな顔をしてアルデビルド様に手を上げようとした。
「そこまでにしてください」
「アルデビルド様に手を上げようとするだなんて、とんだ無礼者だな」
エルゴン様とパフィエルが何とか団の人を取り押さえる。
あれ?魔法は解けたんじゃないの?もしかしてさっきの光に当たった人限定?なんて局地的!
「くそっ離せ!」
「そうよ、離しなさいよ!」
2人が暴れる。それを見ていた人たちはどうする?と遠巻きに見ている。確かに僕も当事者じゃなければ遠巻きに見ていたい。しかし僕は当事者の一人だ、そんなことは許されないだろう。
恐る恐るアルデビルド様とカレンに近づく。噛みつかれないかな、心配です。
「彼女、アルデビルド様操ってた」
魅了の魔法に掛けられていたとは言いづらい。操られていたでも間違いではないだろう。
「アルデビルドは彼女に魅了されてシーネの事、蔑ろにしていたんですよ」
「そんな馬鹿な、俺がシーネを蔑ろにするだなんてあるわけないだろう」
僕の気遣い、ガウェン様によって無いものにされた!
「あなただけではありません、そこにいる人たちみなさん魅了の魔法に掛けられていたようです。どなたか自分が何をしていたか、覚えている方はおられませんか」
ガウェン様の言葉にみんな首を傾げている。どうやら誰も覚えていないようです。
「では質問を変えます。今日が何日かわかりますか?」
今度は不思議なことが起きた。みんなバラバラな日付を言うのだ。中には同じ日付を言う人たちもいたけれど、正解はだれもいなかった。これはいったいどういう事?みんなも不思議がっている。
「どうやら魅了された日から記憶がなくなっているみたいですね」
なるほど、だからみんな日付がバラバラなのか。
ガウェン様が今日の日付を言うとみんな驚いていた。そうだよね、アルデビルド様は2週間分の記憶がなくなっているんだもんね。それは驚くだろう。
「シーネ、ガウェン様の言葉は本当なのか?」
僕は頷く。
「おい、カレン。シーネの言っていることは本当なのか」
押さえている手に力を込めたようで、カレンの顔が痛みに歪む。
「誰が言うもんですか」
その言葉は肯定しているのと同じだ。自分で魅了することが出来ると言ったも同じ。
だけど問題はどうやって魅了するのか、このまま拘束したとしても再び魅了の魔法を使われれば同じことの繰り返しだ。
カレンはフンっと顔を背けた。
「とりあえずは守り石を何個か用意しましょう。そして彼女を尋問します」
尋問?それって拷問するの?それは流石にかわいそうだ。僕はガウェン様に近づいて腕をギュッと掴む。そんなことしないであげてください。痛いことはしないでください。
僕の気持ちが伝わったのか、ガウェン様が痛いことはしませんよ?とにっこり笑った。
「『痛いこと』はしないと約束しましょう。シーネ、それでいいですか?」
うん、痛くないなら安心だ。僕は頷いた。僕は再びアルデビルド様の元に戻る。今はなるべくアルデビルド様の近くにいたい。
「誰かこちらへ」
ガウェン様が声を掛けると、何人かがガウェン様がの元へ。
そして何かを言われると、どこかへ走って行った。暫くすると騎士の人たちが何人もやって来て、2人を縄で拘束し、どこかへ連れて行った。
あの騎士の人たちは魅了の魔法かからないのだろうか?そう思っていたら、ガウェン様が女性騎士に任せたから大丈夫と言っていた。流石ガウェン様ですね。
僕はカレンと何とか団の人が去って行くのをアルデビルド様と一緒に眺めていた。




