51
お昼休憩が終わるようで、集団は離れて行った。僕とガウェン様も馬車に乗ってお城に帰る。
お城に着いてからガウェン様の部屋に戻ったら丁度お茶の時間。
今日のお菓子はシュークリームでした。カスタードが絶品でした。
お茶を飲んでお菓子を頂いた後、僕は気づいたことをガウェン様に報告した。
ガウェン様は顎に手を当てて考えるポーズ。
「彼女は分かっていて今の状況にいるという事ですか?」
「たぶん。もうちょっと見てたら、もっとわかるかもです」
学校が終わったら毎日街へ遊びに行っていると聞く。今日も行くはず。そこを僕たちが観察するのだ。学校が終わるまでもう少し、それまでたわいもない話をして時間をつぶした。
そして夕方になった。そろそろ少女たちは街に繰り出す時間だろう。
再び馬車に乗って今度は街に向かう。学校よりも大分近かったみたいですぐについた。
少女はどこにいるだろうと街を見渡す。本当なら買い物をしたり、出店を覗いたりとかしてみたかったけれど今日はそんな時間は無い。
どこにいるんだろうと街を探索する。すぐににぎやかな集団が見えてきた。きっとあれが少女のいる集団だろう。近づいてみると正解だった。
少女が一人の男の人の腕に縋りつきながら歩いてる。男の人の鼻の下は伸びていた。
「あれが欲しいな」
ハートマークがつきそうな声で男の人におねだりをしている。他の男の人たちはそれを苦々しい表情で見ていた。おねだりされて羨ましいんだろうか?
少女がおねだりしていたのは高価な宝石のついた指輪だった。
「いくらでも買ってあげるよ」
デレデレとした表情で値段も見ずに買うことを決めていた。それでいいのか、男の人よ。
少女は満面の笑みで男の人に抱き着いていた。
「ありがとう、大好き」
そう言って男の人のほっぺたにキスをしていた。男の人は更に締まりのない顔になっていた。
他にも何軒かお店を見て回る。少女が欲しいと言った物を次々と買い与えていた。
少女は気が済んだのか今日は帰ることにしたようだ、馬車を呼んで乗って行ってしまった。その馬車の中には数人の男の人が乗り込んで行っていた。
アルデビルド様はここで帰るようだ。エルゴン様とパフィエルを連れて馬車を呼び居なくなった。
「シーネ、私たちも帰りましょう」
ガウェン様に言われて頷く。なんだか今日は疲れた。呼んだ馬車に乗ってお城に戻る。
「シーネの言った通り、彼女は分かっていて男の人から貢物をもらっていますね」
コクリと僕は頷いた。今日は夕飯を食べる元気もない。ガウェン様は育ち盛りだからご飯を食べてきてくださいと声をかける。最初は断っていたけれど、僕がどうしてもといったら行ってくれた。
食べ終わったらすぐに帰って来てくれた。
「さて、彼女が男性を虜にしているという事は分かりました。僕が見た所、魔法を使っているという事もなさそうです。純粋に彼女の魅力で男性陣が寄って行っていると思われます。シーネ、どうしますか?」
そう言われて僕は考えた。遠くから見ていて、確かに彼女は綺麗だったし、スタイルもよかった。けれどこの世界の人の方が綺麗な人は多いし、スタイルもよい。なのになぜ彼女にあんなにも人が集まるのだろう?
この世界では彼女のような顔つきの人がモテる?そう思ってガウェン様に聞いてみた。
「確かに彼女は綺麗だとは思いますが、私はそこまで魅力があるかはわかりません。人それぞれだとも思いますし」
確かにそうだ。人それぞれに好みがある。この世界でも共通だろう。黒髪が好まれるとかあるのだろうか?それも聞いてみたけれど、特に好かれる髪の色とかはないそうだ。
それじゃあ彼女は雰囲気いいとか、お喋りが上手とかなのだろうか?
うーん、と僕は考える。
「ガウェン様」
「なんですか?」
「僕も彼女に会えますか?」
これはもう会ってみるのが一番だろう。もしかしたら遠くからではわからなかった魅力があるのかもしれない。
ガウェン様は少し考えこんで、廊下ですれ違うことなら可能かと思います。と言った。
なるほど。同じお城にいるのだから、偶然すれ違うこととかもあるだろう。それならば時間を合わせさえすれば挨拶をするなり、ちょっと声をかけるなりできるかもしれない。
前の世界では善は急げと言っていたので決行は明日の朝だ。彼女は毎朝同じ時間に通る廊下があるという。明日はちょっとだけ早い時間にその廊下に行って、彼女を待つことになった。




