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クリスタルの記憶  作者: 遊人
第1章 始まり
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第004話 学園生活への誘い!!

■クリスタニア大陸 クリスタニア クリスタニア学園 チーム・ナディア会議室 ナディア・リシャール


 入学式から2カ月が経過しようとしている。


 学園の方針では1年は学課(冒険者への技量講習等)が多く思ったより厳しい日々が続いている。


 私たちは入学すると冒険者課程を選考した時点で、Ⅰ-ランクの冒険者となっている。


 その為、冒険者としての活動もしなければならない。基本的は1年生から2年生に進級する時に見習いであるⅠランクを卒業して、Hランクになる事が基本だ。


 そのため、入学後は能力に応じてチームを組む事が義務付けられている。そして、各チームは活動計画書を作成し、それを実践しなければならない。


 チームは10名で構成すると学園で決められている。


 今年度に入学した250名は騎士課程(100名)・冒険者課程(150名)に分かれて訓練や依頼に励む。


 冒険者課程の150名は入学した際の試験で行われる戦闘実技の実力と魔力量を多く有する順にチームの長を命じられた。


 チーム長はもちろん断る事も出来るが、冒険者として生計を立てたいと思う人は大役を断らない。


 ここでの4年間をチーム長として過ごす事が出来れば、将来において冒険者ギルドの活動が有利になるからだ。


 つまり、ギルドから信頼のある冒険者という扱いになるのだ。当然、直接名指しの依頼も来る。これは非常に大きいなメリットだ。


 我が、チーム・ナディアは2カ月の活動の中で、10名全員がI-ランクからIランクになっている。


 Iランクの冒険者の活動は、町の雑用・調査依頼・薬草の採取がメインである。


 魔物の討伐は行わない。つまり、Iランクの活動は、一般人にも可能な範囲であるが、多少の危険があるという程度なのだ。


 もちろん此処で挫折するなら冒険者としての資質を疑われる事になる。後10カ月でI+になって、I+ランクを卒業しなければならない。


 どのチームも脱落者は出ていない。順調に活動しているのだから…


 我がチームもIランクの活動として、8日前にクリスタニア近郊の森で薬草採取依頼を受けた。


 チーム10名が当然であるが参加している。薬草を取り終えると、一人の隊員が瀕死の冒険者を発見した。


 何と戦えばこのような状況になるのかと思わせる状態だった。そんな魔物がこの近くにいるとも思えない。各隊員に近辺の調査を指示すると、50m先で魔法陣が残されていた。


 多分、転移魔法だろう。この人は、戦いに敗れて撤退したに違いない。私は名も分からない冒険者を見た。これは重傷だ。もしかしたら助からないかもしれないと思った。


 冒険者が危険と隣り合わせという事を再確認した。そして、冒険者の基本として困っている者を助ける義務もある。


 優先する事は、自分の命だ。私たちに命の危険が無ければ人命救助を優先する事になっている。隊員にこの冒険者を町の教会に運ぶように指示を出した。

 

 あれから8日が経過した放課後、理事長から進路指導室に来るようにチーム・ナディアが呼び出された。


 他の隊員が問題を起こしたのだろうか。私と副長は急いて皆を招集して進路指導室に行くことなった。



■クリスタニア クリスタニア学園 進路指導室 アルフォード・ウィンザー


 フレイアさんとグレイア教官と3人で雑談をしていると進路指導室の扉が開き、チーム・ナディアと思われる面々が現れた。


 10名はいるだろう。部屋に入ると生徒たちは、理事長や教官に礼をする。チーム長が1歩前に出て、理事長に申告した。


「チーム・ナディア、全員揃いました。」


 フレイヤさんが、呼び出した理由を説明する。


「ナディアさん、今日はあなた達にお客様が見えているの。覚えているかしらアルフォード・ウィンザーさんよ。年齢はあなた達と同い年みたいね。」


「お客ですか。アルフォード・ウィンザー? そんな方は存じませんが…」


 そういって、彼女は教官の隣に座っている僕みて驚いた顔をした。


『初めまして、アルフォード・ウィンザーです。この度は救助して頂いて、ありがとうございます。』


 チーム・ナディアの面々は目をパチクリさせている。どうやら死んだものが生きているそんな目だな。そんなに酷い怪我だったのだろうか。


「初めまして…もう傷はよろしいのですか?」


『はい。教会の方で治療魔法を施して貰ったようで、体調は悪くなりません。』


「そうですか…」


 フレイアさんが会話に割って入ってくる。


「今日は皆さんにお礼に来たようです。立ち話もなんですから皆さん座って…」


『少し、状況を聞いてよろしいでようか。』


「何でしょうか。」


『僕は、意識が無い状況だと伺いました。あなた達が何者かを撃退してくれたのでしょうか。』


「いいえ。私たちは冒険者の見習いです。まだ、実践の戦闘経験はありません。発見したのも偶然です。森で薬草採取の依頼を受けた時に発見しました。」


『そうですか。何かの手掛かりになると思ったのですが…』


「手掛かりになるか分かりませんが、発見したところから50m先に転移系の魔法陣がありました。多分ですが、そこに着地して自力であそこまで移動したのだと思います。」


『転移魔法ですか。』


「それにしても年齢も変わらないのに上位クラスの魔法が使えるなんて凄いですね。」


『上位魔法ですか。正直なところよく分かりません。』


「どういう事です。」


『記憶が失われているのです。』



■クリスタニア大陸 クリスタニア学園 進路指導室 チーム・ナディア ナディア・リシャール



 やはり、あの状況では何があってもおかしくないと思った。それほど酷い怪我だと思う。


 他の隊員も無傷でいる今の状況が納得出来ないでいるくらいだ…


「そうですか…」


『本当に、お世話になりました。助けられたお礼をしたいのですが、皆さんには何か必要なものとかありますか…』


「結構です。危険の無い状況で助けるのは冒険者としての義務ですから…」


『分かりました。ありがとうございます。何か困った事があれば話して下さい。その時に返せる事があれば返したいですね。この恩は…』


 一通りの事を言い終え、私たちチーム・ナディアは部屋を退室した。



■クリスタニア クリスタニア学園 進路指導室 アルフォード・ウィンザー



 彼女たちが退室してからフレイヤさんが僕に一つの提案を出した。


「登録カードに学歴無と書いてありましたね。」


『はい。』


「あなたが良ければ、この学園に通いませんか。」


『僕がですか。』


「ええ。あなたはB+冒険者です。皆から歓迎されるでしょう。」


『大丈夫ですかね。』


「今は記憶が無いので、苦しい状況かもしれません。それでも貴方には基礎が体の中に眠っているのなら、冒険者として必要な事をここで学べば良いと思うのです。」


 確かにそうかもしれない。これから普通に生活するにしても、知識は必要になる。


「あなたなはまだ15歳。人生はやり直せます。それに、ゆっくり生きる事も大事だと思うのです。そして、力を合わせて何かを積み重ねて行くことも大事ですよ。」


 学生か。確かに一度くらいは経験した方が良いかもしれない。僕には友達と呼べる人間はいないのかもしれない。それにお金にも不自由がない。少し考えてみようかな。


『ありがとうございます。少し考えさせて下さい。それと神父さんにも相談します。』


「分かりました。決心がついたら私の処に来なさい。手続きはこちらでしてあげます。」


「分かりました。色々とありがとうございます。」


 そう言って、僕は学園を後にする事にした。今日は本当に疲れたなぁ…

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