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魔剣士喰い  作者: 黒糖まんじゅう
3/3

優柔不断

10分間の作戦会議のを終えて、訓練が開始された。作戦会議といっても、自身がどんなことをできるか説明した程度で終わってしまったが。

「それでは、一斉に始め!」

真城先生の合図とともに、訓練が始まった。この学校の体育館は他の高校に比べてかなり広いらしく、隣では別のチーム同人も訓練を行なっている。一つの体育館で4人対4人の試合が5カ所で行なわれている。これを、真城先生は一人で監督している。

(こんなので、全員の実践能力を判断できるもんなのか?)

そう思いながら、相手の攻撃を捌く。猛攻を仕掛けできている相手には、まるで興味がない様子。相手はしびれを切らしたように魔術を発動してこようとする。

「ガッ……」

鬱陶しかったため、峰打ちで一撃で相手を気絶させた兎凪。今の相手には、例の美味しそうな少女はいません。兎凪は、心底退屈といった態度でした。

(ん?)

兎凪の足首に違和感。目線を落としても、何もない。

「?!?!?!」

兎凪は気がつく。

(何者から攻撃を受けている?!バカな…気配も何もない。だが、まるで足首を掴まれたような感覚が今も…)

兎凪の身体が宙に浮く。そして、何度も地面に叩きつけられる。

(攻撃を受けているのは間違いない…だけど、どこのどいつだ…どんな魔法かもよくわからん。でも、足を掴まれてる感覚がある。不可視の手を操るとか?地面に叩きつけられる程度なら大したダメージじゃないけど、肉体の形を変化させられない以上、どうにか抜け出さないと。)

視界の端で、何者かが立ち上がった。

「っぶねぇなぁ…魔術で守ってなかったら気絶するもころだった…」

見ると、先ほど気絶させたと思っていた男が立ち上がっていた。言動から、この不可視の手で首元を守って気絶を免れたのだろう。

(足を取られてる以上、魔術の使えない僕が抗う術はない…か…触手とか出せばなんとかなるが、こんなところで異形とバレるわけにはいかないしな……)

「ギブギブギブ!!降参するからやめてくれ!!」

兎凪は辞退宣言をしたことで、倒された判定になる道を選んだ。彼にとって、ここでの勝利は大した問題ではない。計画の進行には、何の支障もない。ただ、例の美味そうな子と戦うことを楽しみにしているだけ。

「さっき余裕そうだったのに、降参するんだな?」

魔術を解除して、先ほどの男が話しかけてくる。

「気づいてるかもだが、僕は魔力がないんでな。魔術が使えないんだ。だから、足を取られたら抗おうにも抗えないんだよ。それより、仲間のサポートに行ってやれよ。まだ試合は終わってねぇんだからよ。」

その言葉に、男はハッとしたように

「あっ!そうじゃん!あんがとな〜」

そうして男は駆けていく。だが、途中こっちを振り向き

「そういえば!お前なんて言うんだ〜?僕は【氷室来未(ひむろくるみ)】って言うんだ!」

「え?なんで今そんなこと…」

思わず兎凪がそう返すと

「クラスメイトだから?」

兎凪には到底理解できなかった。異形は一匹狼が基本。群れることは滅多にない。協調性や団結力といった概念が異形にはないのだ。力による恐怖の支配は異形にも存在するものの、やはり来未の言うことは理解できない。

「僕は傘下兎凪だ」

「オッケー兎凪ね!覚えた!」

「ほら、さっさとサポート行ってやれ」

「あいよ〜ありがとな!兎凪!」

勇天が相当ストレスだった兎凪は、来未のようなちょうどいい距離感をわかってる人間は素晴らしいとまで思い始めている。そして、来未も自分を欺いて詰みの状態を作り出したとのことで、興味を持ち始めるのであった。

(あの美味そうな子もいいけど、来未も食ったら美味しそうだなぁ〜いつか食ってやろ)

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