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クラスで一番可愛い、隣の席の巨乳美少女に告ったら、セフレが三十人いた話。  作者: きたみ詩亜


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第一話 告った娘に、セフレが三十人いた。

「か、海杜かいとくん……。あたし……セフレ、三十人いるんだけど……大丈夫だった、かな……?」

「え……セ、セフレ……三十人……っ?! 野々ののかに……っ!?」

 夕方、俺──吉原よしわら海杜かいとの部屋、ベッドの上。

 四月に出会い、一目惚れした種町たねまち野々ののか。告白して関係が崩れることを恐れ、三ヶ月もの間、のらりくらりと関係を先延ばしにしていた俺が、ついに勇気をだして告白し、運よく彼女からOKをもらうことができた。

 そして告白した直後──あっという間に『そういう雰囲気』になり、お互い全裸になって、いざことに及ぼうというその瞬間──野々花は突如として爆弾を投下した。

 腰まで伸びた櫛目の通った黒髪に、清楚な顔立ち。高一とは思えない程の巨乳と、下腹部に生え揃った淡い茂み。クラスでもトップクラスの美しさを誇るその容姿からは想像もつかない発言に、俺は思わず言葉を失う。

「うん……やっぱりちょっと多いよね……。エッチしてるだけの『男友達』とは言え……」

 シュンとした様子の野々花。──いやいやいや、『男友達』とか多い少ないの問題じゃないだろ!

 『セフレ三十人いる』というふざけたワードに、俺の脳内は混乱し、目の前の光景がぐらりと揺れた。

 俺と野々花は、高校に入学した四月に同じクラスになり、隣の席になった。それ以来、三ヶ月経った七月現在、共通の趣味である深夜アニメで意気投合し、下の名前で呼び合う仲になっていた。

 彼女はクラス屈指の美人だが、若干きょどり体質があり、クラスの隅でニヤニヤと深夜アニメの原作コミックを読んでいるような控えめな女の子だ。それなのに、その清楚な見た目からセフレがいるなんて。──それも、三十人も!?

「冗談……だよな……?」

「い、いや本当、だよ……」

 若干言い淀みつつも、彼女は恥ずかしげに目を伏せ、ポツリと続けた。

「……あたし、なぜかよく男子から告白されるんだけど、『好きな人いるから』って断ってたら、セフレでもいいから付き合ってほしいって言われて……。『セフレ』って、『セックスするお友達』って意味でしょ……? 『お友達』なら付き合うわけじゃないから、無下に断れなくて……」

 彼女のあまりにも歪んだ、とんでも理論。しかし、一番気になったワードを俺は繰り返した。

「野々花の『好きな人』って……」

「か、海杜くん、なの……。実は四月に入学して隣の席になった時、すぐに一目惚れしちゃったの……!」

 心臓がドクンと大きく跳ねた。なんてこった! 彼女も俺に一目惚れだったというのか!

「……セフレって、そんなのいつからはじめたんだよ……」

「今年の四月……実は『男友達』とが初エッチだったんだけど……アハハ」

 俺が告白を躊躇うあまり、皮肉にも彼女のセフレ増殖に一役買っていたわけか……! てか、三ヶ月で三十人から告られるとかすげーな……。もし俺がもっと早く告白していれば、彼女がそんな泥沼にハマることもなかったかもしれない。

 彼女のとんでも発言に脳を焼かれつつも、俺はなんとか状況の軌道修正を図ろうと試みる。

「わ、わかった、野々花……やっちまったものは仕方ない。と、とりあえず、セフレとは縁を切って──」

「あ、あの、海杜くん……セフレとはさ、あくまでセックスする『男友達』だから……そのまま継続、じゃ駄目、かな……?」

「は……?」

 俺はその言葉に理解が追いつかず、ただ呆然と立ち尽くすことしかできなかった。

「……あたし、実は『スポーツ』とか『体を動かす』のも案外好きで……『濃厚マッサージ』とかしながら『男友達と遊ぶ』のも好き、だし……」

 無意識なのか、髪をいじりながら話す野々花。しかしその単語の裏に隠されたのは、あられもない悦楽の隠語だ。彼女にとって、それは日常的な運動や娯楽と同列の単なる「癒やし」に過ぎないのだという、残酷なまでの無垢さが透けて見える。

 野々花の衝撃の言葉に、俺は息を呑む。

「な、なんだよ、それ……? 男友達と、そんなことするなんて……」

「だって、海杜くんにも『女友達』いるよね? ふたりでよく『遊びにいく』って前に話してたよね……?」

「ま、まぁ、そうだけど……」

 たしかに女友達はいるが、それはただの友人関係だ。野々花のような関係とは根本的に違う。

「でしょう? あたしも『男友達と体を激しく動かして遊んでる』だけ……。恋人ばかりを優先して、『お友達』との関係を蔑ろにするのはよくないよ」

 その発言にはたしかに説得力があるように錯覚してしまう。歪んだ論理に、俺の理性が侵食されていく。

「野々花……」

「──だからさ、『お友達』とのエッチは続けるけど、『それ以上のお付き合い』はもちろんしない。海杜くんとは、『エッチする』し、『エッチ以上のお付き合い』もする。……ど、どうかな……?」

 ──いや、どうかな? じゃないだろ!

 提示されたのは、「恋人」という聖域と、「セフレ」という語の単なるレトリック。背徳的で、かつあまりにも効率的だ。彼女の中では、俺との関係と彼らとの関係は明確に区切られているという主張。狂気じみているが、彼女なりの純粋な論理なのだ。

「もっ、もちろん、海杜くんも、セフレ作っていいから……! 駄目……かな……?」

 野々花がウルウルとした上目遣いで、縋るように俺を見つめてくる。

 目の前の双丘。もう俺以外の男──三十人のセフレが、欲望のままにいじり倒したであろうその膨らみ。そして下腹部に開いた、三十人のセフレたちが貫いたというヌラヌラとした暗闇。その背後にある、顔の見えない男たちの影が脳裏を過る。

 普通ならここで激昂して部屋を飛び出す場面だろう。しかし、俺は抗いがたい衝動に駆られ、結局、目の前の野々花を選んでしまった。

「……わかった……それでいいよ……」

「よ、よかったぁ……! 海杜くんが『わかってくれる優しい人』で……!」

 彼女は蕩けるような笑みを浮かべた。

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