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今日も3話更新予定です。
『よし、じゃあ、食事に戻ろうか。おっと、すみません、はナシだ』
シグは皆に告げ、創樹が口を開きかけるのを直前で制した。創樹が肩の力を抜き、頷く。
『でも…ありがとうございます』
それから小さく微笑んで、告げた。シグも頷き、ザットと共に座卓を回り込む。
食事が再開された。
『美味い。美味いんだけど、量がなぁ…もうちょっとあれば申し分ないんだが』
残り少ない食事を全て平らげ、ザットがため息をつくと、ビールの缶を開けた。実は食事をしながらずっとザットはビールを飲んでいて、既に三本目である。
『あの、よかったらこれ、食べて下さい。ご飯はまだありますし』
手をつけぬままのてんぷらや鍋物を創樹がさし出す。
『いいの?』
『ええ。私はこんなにいらないので』
身を乗り出すザットの空っぽの皿と自分の皿を入れ替え、それから創樹はザットにご飯をよそった。
『ありがと、ソウ』
満面の笑みでザットが、さっそく食べはじめる。
『シグザウエルも足りないでしょ。私のエビあげる』
峰春がえびや付け合せの野菜の載った皿をシグの方に押しやる。
『…お前の場合エビの殻をむくのが嫌なんだろう』
『あれ? バレた。手が汚れちゃうもの』
『まぁ、ありがたくもらうよ』
ペロリと舌を出す峰春に苦笑して、シグは皿を引き寄せた。
『ご飯のお代わりいりますか?』
『ああ。ありがとう。軽くでいいよ』
創樹に問われ、シグが茶碗をさし出す。創樹は軽めによそってシグに返した。
『ありがとう』
『いえ』
創樹は首を振り、自分もいったん箸を置いて、ふたを開けておいた茶碗蒸しを手にした。
途端、創樹の肩の上に二匹の猫が現れ、創樹に擦り寄る。
「わかってるよ。隠れて食べてね」
創樹は微笑み、茶碗蒸しの中身を空っぽの皿に移して、畳の上においた。
「はい、どうぞ」
創樹の言葉に幻と現は小さな声で鳴いてそれを食べはじめる。
『ユメとウツツは食事をするのか?』
『宿神ってメシ食うの?』
『初めて見たわ』
眼を丸くして三人がその様子を見ていた。
『…この子たちは、私と出会うまで、普通の猫のように食事でエネルギーを補給して、何とか消えずに済んでいたんです。今では別に必要ないんですが、その頃に味をしめた好物は時々食べたいらしく』
創樹の説明に三人は納得した。
その後もおしゃべりをしながらの食事を続けるが、相変わらず凄い勢いで次々と創樹が渡すものをザットが平らげて行く。猫たちは茶碗蒸しを食べ終わると満足したのか、消えた。創樹が皿を机の上に戻す。
それから勢いのとまらないザットに、
『お刺身もいりますか?』
と尋ねる。さすがに、ザットも箸をとめた。
『ソウ、俺はありがたいけど、ソウはちゃんと食ったのか?』
『そうよ。今朝はまぁ、朝はあんまり食べないのかな、と思ってたわ。お昼もあんまりお腹すいてないかな、と思ったわ。でも、夕食もほとんど手をつけてないじゃない』
『…一応、一膳はご飯食べましたけど…』
『だが、一回の量はザットの半分じゃないか。コイツはそれを五回もお代わりしたが、創樹は一膳だけ』
『いつもの量ですけど…』
『あれで? ありえないわ。小食にもほどがあるでしょ』
峰春が眉根を寄せ、ザットはあんぐりと口を開ける。考えられないのだろう。
『前から、あまり食べませんし…食べる必要も感じないといいますか…。お腹もすかないので』
『あれだけの宿神を宿しながら…』
つぶやきかけたシグが、ふと首を傾げる。
『もしかしたら、ユメとウツツの反対なのかもな』
『反対って?』
ザットが次の缶ビールを開けながら問う。ほんのりと顔が赤くなっているだけで、酔いは回ってないらしい。
『創樹と出会うまでユメとウツツは仕方なく食物からエネルギーを補給していた。だが…創樹が生命エネルギーをそのままエネルギーとしてとり込める体質だとしたら、別に食べなくても生きていける。中国の仙人のようなものかな。霞を食べて何千年も生きるという伝説があるんだろう?』
シグの言葉にザットと峰春は感嘆し、創樹は静かな瞳で納得していた。
デザートまでしっかり味わい、雑談していると、タイミングよく仲居さんが現れ、食器を片付ける。
全て綺麗に部屋が整えられると、おもむろにシグが地図を取り出した。
ここからはシグを中心とした、真面目な作戦会議の最終段階だ。
ある程度のことは長戸に協力してもらい、決まっていたが、最後の詰めだ。
『ホンマにしても宿主だ。機械の影響を受けないはずがない』
『つまり…彼自身は、何らかの防御策をしていると考えた方がいいですよね?』
『ああ。そこはユメとウツツに記憶をたどってもらって、その策を逆手にとればいいんだが…問題は見つからずに出来るかどうか、にかかっている』
『ニンジャみたいにいければいいよな。サル…何とかみたいに』
『今日歩いたトコで修行してた忍者ね』
ザットと峰春の会話がそれる。
『猿飛佐助。…俺たちのことを猿飛佐助が知ったら、ずるいと思うだろうな。修行もせずに跳べる』
シグが苦笑する。
『問題は俺たち…特に俺とザットがホンマの近くに跳べば、感づかれることにある。…ユメとウツツだけで侵入するのも普通の人間に追い払われる危険があるな。跳べば宿神だとバレるし…』
『猿飛佐助』
創樹が不意につぶやき、どうしてそこへ話しを戻すのだろう、と、三人が首を傾げる。創樹らしくない、と。
『木の葉を隠すなら?』
『森の中に隠せ…』
創樹の問いに眉根を寄せつつシグが答え、不意に納得の表情になる。
『なるほどね…』
シグのつぶやきに、今度はザットと峰春が首を傾げた。
最初の投稿、間違えました。
というわけで、最初の投稿より、内容が追加されてます(^^;;




