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神宿り  作者:
第2章
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30/103

13

 光が収束し、猫の体に消える。

 同時にその場にいた皆の意識が、現実に引き戻される。


『……なるほど、さっきの少年が、クボタか…』

 シグの確認に、創樹が頷いた。


『確かに気になるな…。はじめのシーン、あれはクボタが邪魂に乗っ取られそうになっている…。やはり、それ以来、ということか…?』

『おそらく。乗っ取ろうとしていた邪魂(じゃこん)は不完全だった。だから彼は逃れられた。………あの不完全な邪魂が今の邪魂、そして鬼の原型だとしたら…?』

 シグは創樹の言葉に、軽く目を瞠る。


『あくまでも、私の憶測に過ぎません。ですから本気でとられても困りますが…』

『…いや…確かにその可能性は否めない。さきほど幻神と現神が見せてくれた記憶…あの記憶の中の邪魂は少し違っていた。今のおかしな邪魂の原型と言われても、納得できる部分がある…』

 シグと創樹は瞳を交わし合った。


『ちょっと待てよ。ってことは…邪魂が短期間の内に成長したとでも言うのか…?』

 二人の会話をザットがさえぎった。

『成長…じゃないな。変質とでも言うべきか…』

『あくまでも、仮定の話です』

『だが、それを否定する決定的な根拠もない』

 シグと創樹がザットに告げた。


『…私が知っているのはこの程度です。そろそろ失礼しても?』

『ん? あぁ、そうだったな。巻き込んで悪かったね。助かったよ』

 創樹の言葉にシグが頷いた。

『今後のことについてだが…よければ、何か判明したり、危険な目に遭ったり、不審な事態が発生した場合、俺の携帯に連絡して欲しい。これが番号だ』

 シグはポケットから名刺を取り出し、創樹に差し出す。

 書いてあるのは、名前だけ。

 受け取った創樹は名刺を裏返した。そこに、携帯の番号が手書きで加えられている。


『わかりました』

『ありがとう。頼んだよ。それと…君は今後もこの件について調べるつもりなのか?』

 創樹が頷いたのを確認し、シグは問う。

『……別に、私たちは調べているわけではありません』

 創樹はかたわらの砕牙と顔を見合わせ、ゆっくりと言った。


『ただ…身近で起きたことを出来る範囲で処理していたら、神父にたどり着いただけです』

『……これからも…?』

 創樹の言葉にシグは問いかけると言うより、確かめる口調で言った。

『ええ。これからも』

 創樹もこたえ、頷いた。


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