兄バカ末っ子伝説
ただ単に、兄大好きな末っ子を書きたかっただけなのに、重度のブラコンになってしまった末っ子。
だが、後悔はしていないっ!!
あの自己紹介の後、私は父と母と一緒にお客さんたちの相手をしている。
うぅー、自己紹介が終わったら長男のとこに行って良いって、言ったのに・・・。
「とぉちゃまにょ・・・うちょちゅき」
思わず、隣に居る父を見上げ、睨む。
幸いな事に父はお客さんと話している為、聞こえなかったらしい。
全く、憎たらしい。今、話している貴族っぽいオッサンと同じようにハゲろっ!!
「じゅ、ジュリ?」
何かを感じとったのか、こちらを恐る、恐ると見下ろす父。
それに私は、滅多に浮かべない満面の笑みで答える。
「にゃあに?とぉちゃま。べちゅに、うりゃんでにゃんか、ニャイヨ」
うふふふー。にっっこり。
本当にマジで、ハゲろや。糞ジジイ。
父が何かをモゴモゴと言っているがこれ以上、笑顔を浮かべるのも面倒なので、視線を女性が集まってる一角に向ける。
そして様々な美しい女性達が、集まってる真ん中には一人のイケメン。
イケメンとは、長男の事だ。
長男は女性嫌いなのに、やはり貴族なのか外向けの顔で対応している。
・・・今私が長男と喋れないのに、なんで"私の長男"に近づいているのかな?レディ達。
まぁ?うちの長男は超絶美形だから?モテるのも当たりm・・・って
ちょっと!!長男に業とらしくその肉の塊(胸)を、押し付けるのをやめろっ!!!!
は?何長男に顔近づけてんの!?ちょ、然り気無く長男の体を触るなっ!!!
ちょっと!?長男後ろに気付いて!?なんか、ふがふがと匂い嗅いでる変態がいるよっ!!!!
ウズウズと長男の元まで、走り出しそうな体を押さえる。
そうしないと、後で母に何を要求されるか、判ったもんじゃないからねっ!!
あぁ・・・!!今すぐ、彼処にいって長男に甘えまくりたいっ!!
するとそんな私を見かねてか、鶴の一声が掛かる。
「ジュリ、よく頑張ったわ。ご褒美(長男)のとこに行っても良いわよ」
それは意外な事に母だった。
でも・・・許可されたなら、すぐご褒美(長男)のとこにいかねばっ!!
私は駆けながら母にお礼を言った。キッチリ、大好きとも言っといた。
目指すは、毒花に囲まれた長男の元へっ!!(※傍観者から観たらただのハーレムである)
え?お前、コミュ障じゃなかったのかって?
何イってるの?(別に変換が可笑しい訳じゃあ無いんだな)そんなのよりも、長男の方が大事ですが?
私は毒花に近づいていくにつれ、大声をあげた。
あと二十メートル。
「ぼきゅの・・・」
あと十メートル。
「ぼくにょ、おにぃたま・・・から」
あと三メートルを切った!!
「ぼくの、おにぃたまから、はにゃれてぇぇぇぇぇえええっ!!!!」
そう叫び、走った勢いのまま中央に向かって、飛び込んだ。
一人称が変わったことに皆お気付きだろう。私は心のなかでは『わたし』外では『ぼく』なのだ。
驚いた顔をしていた長男は予想通り、飛び込んできた私を受け止めてくれた。
そして大声を出した私に何事かと、人々の視線が集まった。
だが、今はそんなことに気づける余裕は無く、私は大きな声で言った。否、言ってしまったのだ。
「おにぃたまは、ぼくの、ぼくのにゃから、ベタベタしちゃらめにゃのぉぉぉおお!!!!」
と。
やがてそれは兄バカ末っ子伝説の一頁目を飾り、成長しても語り継がれる黒歴史になる。
そして、このパーティーに居た者達は、貴族、使用人関係なく皆思い出しては生暖かい視線を、ダルテス家が四男、ジュリアス・エド・ダルテスに向けるのであった。
これで、誕生日会終了。
なんか、最近舌足らずを打つのがめんどくさくなってきました・・・。でも、この章を書き終えれば主人公も作者も、舌足らずから脱出できる・・・っ!!
とにかく頑張って、この章を終わらせるのを目標にします!