面白さとは:①面白いとは読者に評価されること
小説を書くときに目標とするのは、「面白い作品を書く」ことではないかと思います。では、この「面白い」とは何を意味するでしょうか。
「面白い」のような曖昧な感情を表す言葉は、具体化するには向かないテーマです。面白いと思った作品がなぜ面白いのか、を言い表すのは不可能に近いです。
■ 「面白い」のテンプレを作ることは可能か?
面白いと思った作品を選んで、共通する要素を抽出したとして、それらをすべて満たす作品ははたして面白いと言えるでしょうか? 以下のような例を考えてみます。
・ファンタジーの世界
・魔法が出てくる
・主人公が努力をして強くなる
・ヒロインがかわいい
・強力な敵キャラが出てくる
・主人公は毎回苦戦するが、仲間と力を合わせて敵を倒す
・最後に主人公とヒロインは結ばれる
これらの要素をすべて満たした作品は面白いか? と聞かれたら、「作品による」としか言いようがありません。こういう設定で面白い作品もあれば、面白くない作品も当然あります。
世の中にはいろいろな作品があり、それぞれジャンルもテーマも作風も違います。そんな中で「面白い作品とはこういうものだ」という定義して、その枠に当てはめようとするのはさすがに無理があります。
■ 「面白い作品」をどう定義するか?
ではどう考えるか。ここでは、「面白い作品」=「読者に評価される作品」と置き換えてみます。
読者という存在を意識すると、話がグッと分かりやすくなります。「面白い」という概念を語るのではなく、読者というターゲットを設定して、どう楽しませるかという方法論に落とすことができるからです。
では、小説において、どうやって読者を楽しませるか。重要なのは、以下の二点です。
・ストーリーに登場する必要な情報を、間違いなく、過不足なく読者に伝えること
・読者の期待に応えること、または期待を上回ること
まず、読者が作品を楽しむ上で、「話がちゃんと伝わる」ことは大前提です。
作者の脳内でどれだけ面白い話を考えついたとしても、それが読者に伝わらなければ、好き、嫌い以前の問題です。描写不足や設定の矛盾、日本語的な間違いなどは極力避ける努力をします。
その上で必要なのは、読者の期待に応えるということです。ここが「絶対的に面白く書けてさえいればよい」ではないことには注意が必要です。
そして、この「読者の期待に応える」というのはゴールではなく、スタートラインでしかありません。面白い作品、売れる作品は、大抵の場合、読者の期待を上回ってくるものです。
■ 読者の期待に応える展開の例
例として、追放ざまぁ系の作品を考えてみます。
追放ざまぁ系の作品の読者が期待しているのは、「主人公が成功し、追放した側が落ちぶれる展開」だろうと考えられます。
そのとき、主人公を追放した人たちの末路はどのようなものがいいでしょうか。
・魔物に食べられて死ぬ
・王族の不興を買って投獄される
・すべてを奪われて乞食として暮らすことになる
こういう感じの展開であれば、話として最低限成立はします。しかし、
・主人公と仲直りして、切磋琢磨していく
・追放せざるをえない事情があったことが判明し、結局主人公をパーティーに呼び戻す
・とくに深く語られることもなく物語から退場する
こういう感じの展開だと、話の主題である「ざまぁ行為」がそもそも行われていません。この展開が実際にものすごく面白いものだったとしても、ざまぁを期待した読者からすれば期待外れと感じるはずです。
【今回のまとめ】
・面白い作品とは、「読者に評価される作品」である
・面白さは、「読者の想定する期待値に対してどれだけ上回ったか」で評価する




