★chapter43 「固定資産台帳」って何!?
ある日の部活終了後のこと。
私はまた煉先輩を捕まえて、日商簿記3級の内容を教えてもらっていた。
「…それで、今日は何につまづいているんだ?」
「……これです!!」
問2 次の固定資産台帳を見て、2020年3月31日の決算に必要な固定資産の減価償却に関する仕訳を行うと共に、『減価償却費』『建物減価償却累計額』『備品減価償却累計額』の各総勘定元帳の空欄に当てはまる言葉や数字を解答用紙に記入しなさい。尚、固定資産台帳の???部分は、各自推算すること。また、当社の固定資産は全て定額法により減価償却を行い、間接法により記帳している。
「これは、固定資産台帳って奴だな」
「はい。仕訳が…
(借方(左側))減価償却費 ×××
/
(貸方(右側))建物減価償却累計額 ×××
備品減価償却累計額 ×××
になるのは分かるんですけど、台帳の???部分が邪魔して、総勘定元帳の数字と共に仕訳で使う数字が分からないんです…」
「なるほどな…それじゃ、まず、固定資産台帳の仕組みから見てみようか」
「はい」
「まず、取得年月日は会社の資産になった日。この日から減価償却がスタートする。用途は何に使用しているかだ。期末数量は前期末時点での所有数量。耐用年数はその固定資産が使用に耐えうるとされる年数で、法律で決まっている。期首(期中取得)原価は期首または購入した時の原価。期首減価償却累計額は、前期末時点での減価償却累計額の合計。差引期首(期中取得)帳簿価額は、原価から減価償却累計額をマイナスした純粋な固定資産の金額。最後が当期の減価償却費だ」
「…ということは、2年前の期首(4月1日)に購入した建物の減価償却累計額と、毎期の減価償却費は同じ金額になるわけだから、建物の当期減価償却費は¥60,000ということですね!」
「正解!よくできました!!」
「…よく見ると、原価を耐用年数で割ると、当期減価償却費になっているんですね!」
「そうそう!!だから、備品欄の???も、計算していけば埋まるって訳さ」
「事務用PCとして使われている備品は、原価が¥1,000,000で耐用年数が4年、商品棚の方は原価が¥960,000で耐用年数が8年、それぞれ原価を耐用年数で割って…」
「ちょっと待った!!それぞれの取得年月日をよく見るんだ!!」
「………あ゛あ゛!!商品棚の方は、期首じゃなくて、会計期間の途中(期中)で購入しているんですね…」
「そう。つまり、商品棚の方は『月割計算』が必要になるってことだ」
「しくしくしく…事務用PCは1,000,000÷4=250,000、商品棚の方は、960,000 ÷ 8 × 7/12 = 70,000 になるから、???部分を記入すると…」
”サササササ…”
「こうなるってことで、決算の仕訳は
(借方(左側))減価償却費 380,000
/
(貸方(右側))建物減価償却累計額 60,000
備品減価償却累計額 320,000
ってことですか??」
「そういうこと。???の部分さえ分かってしまえば、総勘定元帳の空欄は埋めることができるよな!?」
「はい、確かに埋められますね!先輩、ありがとうございます!!」
「日商簿記3級は改訂が入って、俺が受験した時よりも難しくなっている。でも、その分実践で役立つ内容に切り替わっているようだから、しっかり勉強して、合格してくれ!俺も可能な限り手伝うからさ」
「ありがとうございます、煉先輩!!」
chapter44 に続く