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冥王さま異世界に憧れる。  作者: なまけものなのな
ヒューズ編
172/173

バラルフドダンジョンのボス戦5

 マジシャンスケルトンモナークは、少しだが白い息を漏らしては表情の変化が見られない頭蓋骨なのに、何故か苦しいそうに見えていた。


 その間にもフェルセ達は、緩む事なく次々と攻撃をしている。

 それにも耐えているマジシャンスケルトンモナークも凄いと思ってしまっているんだが。


 その時、マジシャンスケルトンモナークが発光している色が、金色から黄色に変わる。


「みんな。 黄色に変わった!!」

「電撃系じゃん?」

「冥王さまっ。 そこで何休んでいるんですか!?」


 フェルセの、目が怖かったが俺は直ぐに、女三名に結界を貼る。

 そして、マジシャンスケルトンモナークの口から白い息が吐き出された。


『ホォール、ルーム……。 ライトニングストライクゥッ』


 壁や天井、床の溝が光輝き、辺り一辺無数の電撃の線が走り俺達を襲いかかってきた。

 だが、一度見ているし驚きもしない。


「これ一度見たじゃん。 そんな魔法なんて、私に効かないよ」


 相手に向かって挑発しているナツミに、ユカリは頭を抱えていた。

 その隣でフェルセは、何やら頭を下げ普通なら聞き取ることさえ難しい程、ブツブツ言っている。


「金色の魔石……。 あんなやつ一瞬でぶっ殺せるのに。 金色の魔石……」


 ユカリもナツミも聴こえてないらしいが、俺には聴こえる。

 今、放たれているマジシャンスケルトンモナークの魔法が終わって胸部の光が黄色のままなら、フェルセは直ぐに片をつけるだろうし、俺もその方が良いんだが。

 ホームルームライトニングの効果が、消えて行くと同時に胸部の光が黄色から金色に変わりだした。


「ユカリ、ナツミ。アイツの骨を粉々にするわ」

「姉さん。了解っス」

「フェルセさん。でもアイツの弱点」

「弱点なんて狙うだけが、戦いではないわ」

「さすが姉さん。ユカリ!!そう戦いではないじゃん」

「……」


 何がなんでも金色の魔石を手に入れたいフェルセの言葉に同調してしまっているナツミは、胸部の光に攻撃せずにマジシャンスケルトンモナークの骨という骨に攻撃し、欠片が床に釣り積もっていく。

 そんな、状況でユカリもフェルセとナツミに合わせて骨に攻撃していた。


「ボロボロ骨落ちてきたじゃん」

「まだまだですよね、フェルセさん?」

「ええ、こいつの骨が塵となって山になるまで削ってやる」

「……」


 無言で攻撃としている三人。

 俺は、その状況に少し引いいている。

 だが、削り取られた骨が、ある程度山になると金色に輝いていた光が徐々に小さくなっている。

 それに、いち早く気づいたのはナツミだ。


「ね、姉さん! 光小さくなってるじゃん」

「えっ!?」

「本当!! さっきまであの、鼻の穴まであったのに」

「ちっ、厄介ね。 ここであの魔石を取ってし………」


 骨を削りながらフェルセは次の行動に出ようとしていた。

 剣を鞘に収め、金色の輝きに手を伸ばし光を発している元を掴もうとする。

 その時、マジシャンスケルトンモナークの目が、赤く発光する。


「何?」

「こいつ、戻ろうとしている?」

「骨がぁ! 骨がぁ戻っているじゃん」

「元に戻って……。 戻らせない!!」

「フェ、フェルセさん」


 崩した骨が再び戻るその最中、フェルセは、二本の剣を振るう。

 フェルセと共にユカリも、マジシャンスケルトンモナークの骨を斬りつける。


「戻るのが早っ!!」

「こいつ、笑ってるじゃん」


 フェルセは、口よりも手を動かし骨をザクザクと落としている。

 だが、フェルセの削った骨の欠片さえ地面に着く前に戻る。

 ユカリもナツミも段々言葉数が少なくなるが、それでもマジシャンスケルトンモナークへ骨の欠片が戻るのが早い。

 そして、地面が綺麗になると同時にマジシャンスケルトンモナークの目が燃え上がる炎の様に光を発する。


「グッォオオオオオォォォォ」


 マジシャンスケルトンモナークの咆哮が、この部屋全体小刻みに振動する。

 小さくなっていた金色の光が、再び大きく広がる。


「元に戻った……。 復活したって事?」

「チッ」

「最悪じゃん!! あーっ腕生えやがった」


 二本の腕でだけでなく、あの奇妙な動きのする腕さえ生えている。

 アンデッドだから不死なのか?

 あの金色の光が、再生能力があるのか?

 骨だけ削り落としてもこれじゃぁな。

 そう思っていたらフェルセが。


「また、やるわよ。 あのクソ骨!!」

「やりましょう。 削って削って」

「どんどん削ってやるじゃん」


 女三名、何か同調してしまっている。

 間違っているぞ!!

 俺も、分からんが多分あの金色の光が怪しいのにそれを狙わないなんて。


「フェルセ!! 金色の光を……」

「あの骨! ボロボロにしてやろ!!」

「はい!!」

「おー!!」


 俺の声がフェルセ達の掛け声にかき消されたようだ。

 あの金色の光に興味が無い訳では無いが、ずっとこの部屋にいる事が更に無意味。

 早く外に出たい。

 ダンジョンは飽きてきたのだ。


 そんな中、フェルセ達が、骨の欠片を床に撒き散らす。

 マジシャンスケルトンモナークも、四本の腕を振り回したり、魔法を放ってフェルセ達を遠ざけようとしている。


「骨、戻らせない」

「このまま行くじゃん!!」

「あの腕、怪しい動きするから二人とも気をつけて」

「「はいっ」」


 四本の腕にあった物理耐性や魔法耐性が、今回はないみたいだ。

 フェルセとユカリの攻撃が普通に当たるし、ナツミの魔法も当たる。

 腕からも骨の欠片が落ちる。


「ガッアァァァ!!」


 マジシャンスケルトンモナークは、口をめいいっぱい開け威嚇する。

 金色の光が力強く発光する。

 床に散らばっていた骨の欠片が、再び宙に浮きマジシャンスケルトンモナークの体に戻る。


「こいつ、もう!!」

「やっぱり、あの金色の光がヤバいんじゃん」

「ユカリ、ナツミ!まだまだいける」

「でも、さっきより戻るの早くないですかっ」

「巻き戻しじゃ……。 ん」


「もぅいい!!」

「ギャァァァアアァァ!!」


 俺の黒いハルバードが、マジシャンスケルトンモナークの胸部で光っている金色の光に突き刺さる。

 もちろん、神力を込めたハルバードだ。

 金色の光の中心が、ヒビ割れ広がっていた光が消える。

 目の部分で炎のように赤い光もプッツンと消える。

 口を大きく開けてもがいていたマジシャンスケルトンモナークの動きがピタリと止まると、途端にまるで砂のように崩れ落ちて骨の欠片が山のように積み上がった。

 その上に何かが突き刺さった黒いハルバードが、落ちた。

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