バラルフドダンジョンのボス戦4
四本の腕を落とされても、平然と振舞っているマジシャンスケルトンモナークは、ゆらりと少しづつ後退する。
落ちても尚、奇妙に動いている二本の腕と、微動だに動かない二本の腕。
そこから徐々に遠ざかるマジシャンスケルトンモナークと俺たちは次第に距離が生まれる。
「逃がさない!!」
フェルセの部屋に響く声に、ハッとするユカリとナツミは再び武器を握りしめマジシャンスケルトンモナークをフェルセと共に追いかける。
勿論、俺も遅れを取らないように追いかけるが。
四本の腕に近づくと、奇妙に動いていた腕が中に浮き手の平を俺たちに向ける。
「ヤバい!!」
ナツミの声と同時に奇妙な動きの腕から炎の弾と氷の弾丸が連射される。
まるで嵐の様に吹き付ける雨のように放たれる弾丸。
フェルセは、二本の剣を素早く動かして交わしているが、ユカリとナツミは交わすことが難しいらしく近ずけないでいる。
「ちょっ。 これ近づけないじゃん」
「数多すぎ。 弾けない!!」
「姉さん。 あんな所まで行っちゃってる」
「私が、この弾防ぐから、ナツミ! 魔法で」
「了解!!」
奇妙な動きの腕から離れているユカリは、難なく炎と氷の弾丸を剣で弾き、その間にナツミがサンダーボルトを二本の腕に当てている。
ダメージを負っている様子も無くひたすら炎と氷の弾丸を放つ奇妙な動きの二本の腕。
マジシャンスケルトンモナークに迫りつつあったフェルせの目の前に突如二本の腕が現れフェルセの前進を遮る。
フェルセは一瞬ユカリ達の方を確認する。
確かに奇妙な動きの二本の腕はユカリ達の目の前、フェルセの後方にいる。
マジシャンスケルトンモナークの腕が無くなっていることに気づく。
「逃がすかぁ!!」
フェルぜは、二本の腕を無視し本体を追おとし遮られ所、上手く交わそうとする。
だが、二本の腕が先回りをし、本体とフェルセの差が開く。
ユカリ達が対峙していいる奇妙な動きをしている二本の腕とは違い、フェルセの前には、どっしりと構えている二本の腕。
宙に浮いてフェルセの攻撃を交わし、魔法で反撃をしてくる。
「こいつ、当たらない」
そう呟くフェルセの剣が、当たりそうになるとスルッと絣もせしない。
そして、反撃をされるが、フェルセもそれを交わしたり、受け流したりしている。
徐々に本体と離れてく事に、焦っているように見えている。
ユカリ達は、奇妙な動きのする二本の腕に少しづつだがダメージを与えている見たいだが、それでも前にいるフェルセとの距離は離れたまま。
俺もユカリ達と離れいるし、フェルセなら尚更遠くに行ってしまっている。
やばい、追いつかないとな。
黒いハルバードを持ち、まずはユカリ達と戦っている奇妙な動きをする腕に迫る。
俺は駆け、ユカリとナツミの脇をすり抜け、奇妙な動きの腕一本へ薙ぎ払うと、そのままの勢いでもう一本へ上から切り落とす。
神力を込めて斬ったんだ。
一瞬で粉砕した二本の奇妙な動きの腕を見る事なく、そのままフェルセに向かう。
「すっげぇー」
「ナツミ追いかけるよ」
「おっおぉ!」
俺の後を追うようにユカリとナツミが、走り出す。
「フェルセ! 神力だっ」
「……」
聴こえないのか?
「フェルセ。 神力を込めろ」
二本の腕から、間合いを取るフェルセの持つ剣が少し発光する。
神力を込めたな。
剣の攻撃が滑るように当たらなったのが嘘のように、次々と骨の破片が飛び散っている。
「冥王さま!!」
「このまま、二本の腕を粉砕するぞ」
俺はハルバードを持ち直し構えた。
だが、目の前は既に、粉砕され尽くした骨の欠片が散らばって居たいた。
「なっ」
「あっという間じゃん」
「っあ〜! ムカつくムカついたっ」
フェルセの怒りの爆発がこの部屋に響く。
「最後にあいつ! 奥へ逃げているヤツをぶっ倒す」
ユカリとナツミを先導してフェルセは、マジシャンスケルトンモナークへ駆けていく。
俺は、何故か呆気になっている。
もしかしてだが、フェルセは気付きていたんじゃないか?
俺が来るまで、遊んでいたのか?
気になるが、今は奥へ奥へと去っていくマジシャンスケルトンモナークを倒すことだけ。
俺は、フェルセ達に追いつく。
既に、マジシャンスケルトンモナークに斬りかかっているフェルセとユカリの攻撃は、効いているみたいで骨の破片が飛び散っているし、ナツミの魔法も効いていた。
「どんどん、コイツを切り刻んでやる」
「はいっ」
「今のコイツ、何の属性でも効くから。うっひょーって感じ」
至る所にヒビがはいって、如何にも苦しそうな表情をし口が半開きになっているマジシャンスケルトンモナーク。
骨だから表情は変わらないんだけど、そう感じた。
見ていてフェルセ達の攻撃が一方的過ぎて、普通の人達なら引くかもしれない。
ココが最下層でよかったのかもな。
「胸部の光が、なにか変」
「小さくなってるじゃん」
「二人とも、兎に角骨を粉々にしてちゃおう!!」
「「おう!!」」
女性三名揃うと怖いもんだ。
だが、その時マジシャンスケルトンモナークの動きが変わる。
俺のところまで届いてはいないが床が赤く光り出す。
そしてマジシャンスケルトンモナークの目が、赤く光り出すと。
『ディシードマットフレイム……』
だが、フェルセ達の足元は赤く発光せずに元の床のまま。
俺が、結界を張ってやった。
この状況を理解したマジシャンスケルトンモナークの頭蓋骨が血が煮えたぎるような赤い色になる。
そして再び金色の色を発行させてゆらゆらと舞っている。
「一度見た攻撃は、私には効かないわ」
「わたしも効かないっ」
「もち、わたしもじゃん」
えっ?
そうなの?
俺は、すこに眉間に力を入れてしまったが、忘れよう。
俺が、結界を張らなかったらどうなっていた事か……。
俺が、ハルバードを持ちマジシャンスケルトンモナークに襲いかかる。
だが、俺の勢いをフェルセが、阻む。
「冥王さまは、大丈夫!!」
「大丈夫です」
「わかるけど、大丈夫じゃん」
なんかこいつら息があっているな。
俺はハルバードを杖代わりにしてこの状況を見る事にした。
そう、倒したの腕だけのような気がする……。
と思いながら。