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冥王さま異世界に憧れる。  作者: なまけものなのな
ヒューズ編
160/173

バラルフドのダンジョン2

 俺達は、今カブトムシの魔物と対峙している。

 ただ、普通のカブトムシでは無い。

 高さは、俺と同じぐらいだが幅は人間四人分位の大きさのカブトムシだ。

 何故カブトムシとわかったのかと言うと、見た目からして先が割れた大きな角に、黒い厚そうな殻と、胴体の脇から生えた左右三本三本の足だ。

 黒い目が、俺達を凝視している。

 ナツミが、持っている杖をカブトムシの魔物に向け、元気よく声を上げる。


「やはり、現れたか!」

「ヘルメッツビートル!」


 そして、ユカリも剣を構え、目の前に現れたカブトムシの魔物の名を吐く。

 これが、カブトムシの魔物ヘルメッツビートル。

 俺は、ふと懸念を抱きフェルセの顔を見る。

 だが、フェルセは、すぐにそっぽをむく。


 ヘルメッツ……。

 ヘルメット……。

 ビートル。

 カブト、カブトムシ。

 兜カブトムシだ。


 あの地球とは世界が、違うから様々な部分で微妙な違いがあるだろうけど。

 そんな事を思っていながらも、ユカリとナツミは、あの兜カブトムシ……、ヘルメッツビートルと戦っている。

 ユカリは、回り込みながらヘルメッツビートルの甲殻と甲殻の隙間を狙って攻撃をし、ナツミは牽制する為に火の魔法ファイアボールを放っていた。

 ユカリは、関節やら狙って斬撃を繰り出すが、ヘルメッツビートルの素早さが上なのか上手く交わされたり、硬い甲殻に阻まれ攻撃が弾かれる。

 ユカリの掛け声、ナツミの魔法を放つ声、それらがこの部屋に響くと共にヘルメッツビートルの動く音。


「コイツ、硬いし素早いっ!」

「ユカリ! どっちかの足だけでもまだ?」

「まっ」


 ヘルメッツビートルは、角を突き立てブゥゥゥーンと振動音と鳴らせ羽根を動かしながら、会話に気を撮られてたユカリに向かって突進する。

 ヘルメッツビートルの角によって胸部を痛めたユカリは……。


 って!

 ヘルメッツビートルは、ユカリを俺の方へ弾き飛ばしてきた。

 まさか、ヤツの視界には俺やフェルセも入ってたと言う、そんな状況ではなく、唐突に迫ってくるユカリの両肩を掴み衝突を防ぐ。

 事故ではあるが、ユカリの後ろから肩を抱く感じになっている。

 赤面するユカリに俺は、声をかけた。


「大丈夫か?」

「あっ、ありがとうございます。 大丈夫です」


 すぐに離れるユカリだが、その時。


『チッ』


 舌打ちが、微かに聞こえたのは、また俺だけのようだ。

 再び、ブゥゥゥーンと音を立て宙に浮くヘルメッツビートル。

 そのまま、方向転換しナツミに向かい角を突き立てる。

 そして、少し後退すると勢いつけナツミ突進する。

 ファイアボールを十数発ヘルメッツビートルに放つ。

 だが、ヘルメッツビートルは、怯まず勢い落ちずにナツミに迫る。

 身動き出来なく、両腕で身を守るナツミ。

 部屋に入ってくる数名の冒険者。

 だが、ナツミに迫る直前、ヘルメッツビートルの体がグルりと翻って天井にぶつかって地面へ叩きつけられる。

 いつの間にかフェルセは移動し、ヘルメッツビートルの腹を蹴りあげていた。

 そして、フェルセは、二本の剣を持ち、仰向けになって足をばたつかせているヘルメッツビートルの腹を斬った。



「さぁ、行くわよっ」


 ユカリとナツミは、呆然と立ち尽くす。

 二人が、必死に攻略しながら戦っていた魔物を、あっさりと倒してしまったんだ。

 二本の剣をしまいドロップ品を回収しているフェルセは、ユカリとナツミ、特にユカリへ強く睨み先に進む。


「何か悪い事したんでしょうか?」

「いや、わからん。 直接聞いてみればいい」

「ユカリィ。 行くよ」


 先に進むフェルセの後に続いて行くナツミが、俺とユカリの方を見て声を掛けてきた。

 一方、この部屋に着いていた見知らぬ冒険者達は、フェルセの攻撃の仕方に呆然としている。

 そりゃ、あんな大きいのを一蹴りかまして、倒しているんだ。

 普通の冒険者ならそうなるんだろう。




「兎に角、二人とも弱すぎ!」

「なっ、これでも強いんだから」

「……」

「虫というか甲虫類系なんて殆ど、ひっくり返えせば倒せるでしょ。 二人ともゴリ押しだけでは魔物倒せないっ」

「この世界って何かとステータスやらレベルとかだけで、何とかなるんじゃん?」

「ナツミ。 この世界は、ゲームじゃないんだから技術面は必要。 与えられたスキル無しで倒せないと。 スキルは、あくまで補助」

「補助……。 マジか」

「特に、ユカリ」


 ユカリの方を振り返るフェルセは、ユカリに対して睨む。そして口にする。


「冥王さまに、抱かれるなんてっ。 うらやま……。 っていうかなんで、レビオ達の召喚が使えるのに、それ以外に持っていたスキルが全く無いの?」

「それが……。 私にも分からないんです。 この世界に来た時から無いんです」

「そうそう、私なんて職業だけ勇者だけだし。 普通チートあっても良くねぇ」


 俺は、ユカリとナツミの回答を聞いて興味無かった二人の状態を確認してみた。


 ユカリとナツミのレベルは、さっき居合わせた冒険者達よりも少し上だ。

 だが、能力値が低く感じる。

 しかも、魔王エンビと戦ってたユカリが持っていたスキル、勇者覚醒、勇往邁進、戦闘民族が無い。

 と言うより、剥ぎ取られいるような気がする。

 何故なら、この世界の魔法、俺の持つ白い魔石にある鑑定レベル2出みている。

 その三つの部分が消されたように見え、その後にくだらない文字が並ぶ。


 くだらない文字をフェルセが、低い声でユカリ達に聞こえるように呟く。


「今のスキル……。 猪突猛進、不屈、真っ向勝負。 それと火属性超特化、一意専心、我武者羅」

「私のスキル全く勇者関係ないですよね」

「ユカリ、ドンマイ。 私なんて超特化あるし、武者が付いているからね」

「ユカリは、意味分かっていると思うけど、ナツミ……」


 フェルセの気を落とした声にユカリも頭を抱える。

 ナツミは、自信満々の笑顔だが、二人の顔を見て不安にかられる。


「ナツミのスキル、その意味だけど……」


 ナツミは、フェルセに耳打ちされた途端、項垂れる。

 先に進む俺達だが、ユカリは、暗い顔をしているが、ナツミの方が更に重症だ。

 そりゃそうだ。

 ナツミのスキル、火属性に特化し、その火属性一つに対してひたすら集中し、見境なく行動する。

 簡単に言えば、火属性魔法を何も考えず放つ見たいな事だろう。


 俺達は、そんな空気の中、十階層に到着した。

 移動の間、俺とフェルセが、現れた魔物を殆ど倒していた。

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