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冥王さま異世界に憧れる。  作者: なまけものなのな
ヒューズ編
150/173

ログム国国内暴動1

 自称帝国かれ来た勇者を名乗る金髪七三分けのナルシストとその仲間は、グレードデーモンと戦っている。

 黄色いイビルアイは、空高く舞い上がってその者達を目から光源を出して照らしている。

 周りの観ている俺達は以外は、その戦いに惹き付けられている。

 極普通に、悪魔系の魔物であるグレードデーモンと、勇者の戦いなんてこの世界なら、観る機会なんて皆無に等しいだろう。

 それを今観れるなんてというのもあるが、それ以上に周囲の彼らが惹かれているのは、まるで歌っているかのように声を上げ、そして動きも歌に合わせている所である。


 ――――普通、歌いながら攻撃や防御なんて出来ないだろう。


 出来たとしても……。

 普通、やらないし、しないよ。

 俺は、この状況を確認しながら自己解決する。


「ねぇ、冥王さま。あれ観てなとダメですか?」


 ユカリとナツミのやっている○✕ゲームを見ていたフェルセが、上目遣いて問い掛けてくる。

 あのグレードデーモンとイビルアイ以外魔物は、いないしあのミュージカル風の小芝居は、どう見ても帝国の自作自演だとであり、でっち上げである。


「魔物いないし、コベソ達の所に戻るか……」


 ユカリとナツミは、その場を動かない。ただ、しばしば帝国の勇者とグレードデーモンの状況を確認しては何かをやっている。


「私達なら大丈夫ですよ」


 ユカリが、俺たちの顔を見て応えてきたので、気になる事を聞いて置いても損は無いと思い。


「ユカリ達は、何でグレードデーモンと戦っていたんだ?」

「私もナツミは、あのダンジョンに潜っていたんですけど……」


 なんでも、中腹まで行ったユカリとナツミは、グレードデーモンに遭遇したが、スタンピードを起こそうとしていたのかグレードデーモンの周りには数多くの魔物がいて、それを食い止めようと戦っていたという。


 まだ、帝国の勇者一行とグレードデーモンの壮絶な戦いを、醸し出している芝居は、周りにいる民衆や冒険者そして、兵士達の盛り上がっていた。

 その状況を傍から見たら、異様な雰囲気を覚える。

 そんな事を感じながら俺は、ユカリに向かってナツミが言った言葉に疑問を持つ。


「そういえばさ、ユカリ」

「なに?」

「アイツ……」

「グレードデーモン?」

「――――そう、魔物と群れてた時、変な事、歌ってなかった?」

「んー!?歌ってた?」

「何か、歌ってたような……。気がするだけかな」


 いつの間にか○✕ゲームから、自ら書き換えていくオセロみたいなのやっている。

 すると、フェルセが驚いて俺たちを呼ぶ。


「冥王さま、ユカリにナツミ!」

「フェルセさん?」

「どっしたの?」


 フェルセが、指さす方へ俺とユカリ、ナツミは同時に振り向いた。

 先程まで敵対していた帝国の勇者一行とグレードデーモンは、同じ方向を見て進路を変えて進んでいる。

 だが、その帝国の勇者一行とグレードデーモンだけでなく、同じ方向へ歩み寄って行くのは周りにいた、民衆や冒険者達に兵士達もだった。



「ねぇ、アイツら城の方に歩いてんじゃん」

「助けなきゃ」

「ユカリ、何でよ?」


 ナツミの返答にユカリは、戸惑って足が進まない。


「おい、フェルセ。俺達はコベソ達を助けに行くぞ」

「あ、えっ?はい!」

「アイツらが、居なくなったらケーキ食えなくなるぞ!」


 俺の言葉が耳に入ったナツミが、眼光鋭く睨んで詰め寄ってくる。


「どどどどういう事じゃぁ?」


 俺とナツミの距離が、近くなろうとすると直ぐに間に入ってきたフェルセ。


「コベソ達の会社が、この世界の甘味全部やってるのよ」

「あっ、あの店のも?」


 フェルセは、そう言うがヒロアクツ商会で甘味全部は、やってないと思うけど、ナツミがそれに反応しユカリに聞いている。


「たしかー、ヒロアクツ……」

「そぉーそれっ、なんか日本人っぽい名前だなぁと思っててさぁ」


 ナツミは、再び俺の方へ振り返るが、フェルセは何故か俺とユカリの間に割り込むように入ってくる。

 正直、そんなに近くも無いし人と人が、会話するぐらいの距離なんだけどフェルセが、入ってきて俺は、少し仰け反り気味なんだよね。



「じゃぁ、やべぇっしょ。ユカリ!ヤツら倒さなきゃ」

「えっ、うん、そっ……そうだね」


 考えが百八十度変わったナツミは、ギラギラとやる気を見せているが、ユカリは、そのナツミを見てか更に戸惑いを隠せない。


 勇者としての威風を醸し出すユカリは、剣の柄を握り締める。

 そして、ナツミは、ローブの袖を捲り金色に装飾された杖を持ち出した。


「ユカリ、アレにスタンを掛けるよ。でも気持ちわりぃあの偽勇者野郎共には効かないと思うから、睡眠魔法や足止めやら色々やる」


 ユカリは、ナツミの話に『うん』と返事しながら頷いて聞いている。


「ユカリは、あのキモいグレードデーモンを惹き付けていて」

「了解」

「じゃ、冥王さんとポネちゃんは、城よろしく〜」


 軽く言ってくるナツミの話をフェルセは、「ポネ?」と呟く。


「だって、ペルセポネだから『ポネちゃん』だよ。『ペーさん』は嫌でしょ」


 その言葉に、激しく同意するように頷いているフェルセを俺は、少し引いている。


「よし、冥王さま。私達も城に行きましょ」

「あ、あぁ」

「ナツミ」

「ポネちゃん」

「「守るぞスイーツ!!」」


 ハモる言葉が、一字一句一緒なフェルセとナツミは、目にスイーツ愛という情熱の炎を灯している。



 城の方へ足を進めようとすると、早くもユカリとナツミが行動にでる。

 ナツミの魔法を観ておきたいと思って、少し遅めに歩き、そして聞き耳を立てている。

 ユカリとナツミが、帝国の勇者一行とグレードデーモン、その周囲にこの国の兵士や民間人が、いる輪の中へ飛び込みを掛ける。

 すると、ナツミの大きな声が当たりに響き俺に届く。


「我が手に顕現せよ。ニョルニム!!」


 その声と共に、大地が波を打つように激しく揺れ、そして空間が振動する。



 魔法使いスタイルのナツミの手に、見た目では普通に振るう事が出来ない重量感溢れ、金色に光り輝き、放電されている、大きなハンマーが、地面を陥没させている。

 そのハンマーの一撃は、雷の一撃。まさに雷神と言われたトールの持つニョルニムだが、しかしだ。


 ……おいっ!


 ナツミの格好は、魔法使いだったんだだぞ!なら、普通そこは魔法だろ!


 俺は眉間に力が入りツッコミそうになる。

 だが、更に追い打ちをかけてくる。


 ナツミは、ハンマーを持っていない手を帝国の勇者一行の方へ向ける。


「極限最高位魔法。『ネルノーダ』!!」


 又、その場の空間が鎮まり変えると帝国の勇者一行達が、バタバタと崩れ落ちた。


 ――――おーい!

 しかも極限、最高位……。


 まぁ、ソコは中二病患っても良いとして。

 何そのネーミング。


 ネルノーダって!!


 もっと良い名前あったでしょっ。と言うか、センス良い名前にしようよ。


「ユカリ、そのキモデーモン倒すよ」

「キモ……」


『我を愚弄するか!ヒューズの勇者どもよ』


「貴様にこの国を、滅ぼさせる訳には行かない!!」

「貴様にスイーツを、滅ぼさせる訳には行かない!!」


 勇者としてセリフが、二人とも違うけど目的が同じ方向に、向いているので、俺は心の中で落ち着かせていた。

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