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冥王さま異世界に憧れる。  作者: なまけものなのな
ヒューズ編
148/173

ログム国スタンピード6

 赤い水晶が刃をしているナイフを、直ぐにアイテムボックスへしまう。

 何だか、凄そうなレアアイテムを手に入れたと、うずうずしているが良く良く考えたらこんなにオーガやらがいるんだから、さっきのナイフは珍しくも無いんだろうという考えに変えた。

 あちこちで戦っている冒険者達の、激を飛ばす声や悲痛や苦痛の声と、武器がぶつかり合う音が聴こえ、そして魔物の雄叫びや悲痛の声も混じりあって、この空間に響き渡っているように聴こえている。


 先程まで獣系の魔物が多かったが、ここに来て虫系の魔物も出てくるようになり、人と同じぐらいかもしくは半分ぐらいの大きさである。

 黒光りした硬い殻をした大きいムカデのセンチピード。

 新緑の色をしたイモムシのグリーンキャタピラー。

 刃物が擦り合わせる音を立てながら口鋏を動かす黒い蟻。

 鋭い針をむき出しにして羽を震わせ音を響かせている蜂。

 少し前にも現れた奇妙な足の動きをするスクティゲラ。


 ……まるで、虫の大軍だな。


 見るもの全員、悍ましく感じるほどに動きが独特である虫系の魔物は、冒険者を見ると直ぐにその冒険者へ走り出し攻撃を開始する。

 ほとんどが冒険者に絡んだり乗っかったりし体液を吐き出している。

 蟻は口鋏で攻撃すると思いきや早歩きで突進していたり、蜂も針で威嚇しつつ追い回している。


 フェルセは、慣れたのか距離を取りつつ魔法で攻撃している。

「キモっ!」「虫の分際で」など、怒りを露わにしているので汚い言葉が吐き散らかせていた。

 オークやオーガ等と戦っていた冒険者達にも虫達の攻撃が、加わり状況が芳しくない所もある。

 俺の所にも気持ち悪い動きを見せながらやってくるムカデのセンチピードにスクティゲラ。

 足が沢山あって武器での攻撃は交わされ易い。

 センチピードに関しては殻が硬いせいか、普通の刃物では簡単に傷付けられなく、殻と殻のつなぎ目に傷を追わせるか足に攻撃するしかない。

 足に関しては一本二本、斬っても多少痛がるだけだ。これはスクティゲラも同じである。

 因みに、ムカデの方はシェルセンチピードで、スクティゲラもゼブラスクティゲラと言う名前だ。

 既に俺の周りには、虫は消えていてアイテムも回収済みである。シェルセンチピードは、魔力を込めた刃物なり武器なら簡単に倒せそうだ。

 ゼブラスクティゲラも、単に足が速いだけで攻撃が体に当たってしまえば簡単に倒せる。人やら生物が近くと早く距離を撮ろうとして逃げる。その性質からか魔法での攻撃が当たりやすいのだ。


 そうこう考えているうちに虫の魔物が、俺の所にまでわんさかとやってはくるが既に持っていた黄色い魔石の【ライトニングボルト】で一掃する。

 この場にいる冒険者達やあの七三分け金髪ナルシスがいる商隊も中型の魔物を倒し終え、辺にいた虫の魔物も倒しきり傷の手当などしていた。


 フェルセが、「大漁、大漁」と笑顔で俺の所にくる。


「ダンジョンの入り口で戦ってたな」

「まぁー。 魔物溢れてくるからいい運動ですよ」

「これで終わりじゃなさそだよな」

「ダンジョンから何にも出てこないですけど……」

「ユカリと……。 居ないじゃないか」

「ふむー」


 この場にはやはり、数組の冒険者達と金髪の商隊しか居なくユカリ達が見えてない。

 俺は、見回していると後方から大きな物が落ちる。

 その音は、焼け焦げた建物等に反響する程大きく、砂煙が舞っている。


『イタタタタ……』

『大丈夫?』

『あんな所から落とされて大丈夫なわけあるか!』

『……だよね』


 痛々しい声をしながら元気にやり取りしている女性の声が、聞こえてくる。

 煙が晴れるとユカリは、手で砂を払いながら剣を杖代わりして立っている。

 もう一人のナツミは、両膝をついて座っていた。


『おやおや、もぅダンジョンの魔物倒し終わってたのですか!』


 その声は、この場にいるもの全員に聞こえる位の大きな声。

 一人の冒険者が、「上だ!」と指さすと全員上を見上げる。

 飛翔してこの場を見下げる、城の会場で見たグレードデーモンがいる。


「グレードデーモン」

「……マジかよ」


 その存在に、持っていた武器を落とす者、膝を落とす者や立ち竦む者がいる。


『私だけでは、無いのですよ』


 グレードデーモンが、両腕を広げると、次々に現れる黄色い目をした魔物。

 黄色い目の魔物は、蝙蝠の様な羽根を生やし鳥のような足をぶら下げて飛んでいる。

 トベソの部下が、見たと言っていた黄色い目がコイツらなのだろう。


「イビルアイ」

 冒険者の一人が、驚きの声で辺りを響かせる。

 すると、グレードデーモンが笑いだす。


『クックゥックックック。()()()()……。 ()()()()の魔王の部下!このグレードデーモンが貴様らを皆殺しにしてくれる』

「ヒューズ……」


 冒険者の何人かボソボソっと口に漏らすとその時にグレードデーモンへ剣を向け堂々と立ち振る舞う。


「ヒューズ、ヒューズの魔王が何だ!この()()の……。()()()()()がお前たちを、亡きものにしてやる!」


 剣を向けたのは、あの商隊にいた七三分け金髪のナルシストで、前髪を少し摘んでは払い横目でグレードデーモンを見ている。


『なっ! て()()のぉぉぉ()()だとぉぉぉ()()の!』

「ここに降りてきて私。 ()()の勇者と戦え!」

「ぐぬぬぬっ。イビルアイよ!良く見て我が勇姿を()()()()だ! ()()()()の魔王へ届けるんだ」


 飛翔しているグレードデーモンの足が、地面につく。

 七三分け金髪ナルシスの自称帝国の勇者は、持っている剣を構えグレードデーモンと睨みあう。


「君たちは、手を出さないでくれ!この私()()()()()が必ずや倒す!そして君たち、ログム国の国民を守る!」


 芝居のステージの上で観客に声が行き渡るように話す、七三分け金髪ナルシスの帝国の勇者。

 すると、冒険者の中から「おお、帝国!!」と声が聴こえたら。


「帝国の勇者! 帝国! 帝国の勇者!」


「帝国! 帝国!」


 と冒険者達や、救助していたこの国の兵士達は、グレードデーモンと帝国の勇者を囲むようにし盛り上がっている。


「なにこれ?」

「ああ」


 勇者が国名を連呼するって飛んだ茶番だよ。

 呆れる俺とフェルセは、この状況をただ見ているだけにした。

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