ログム国スタンピード2
石畳が外から城に一直線上に続く。
舗装された道が街の状態が一目瞭然である。
小柄な魔物が小走りにて建物には近寄っては人を襲い、武器を持つ者は先に行かせないと魔物の行く道を阻んでいる。それがよく見えるのは、建物に火が燃え上がってよく見える。だか、火災による黒い煙が夜空を埋めつくし、焼け焦げた臭い、さびた鉄のような血の臭い、魔物から発せられる臭いが混じって悪臭が立ち込めている。
逃げ遅れている数十名の獣人が俺の横を通り過ぎて城へ避難している。
大声で避難を呼びかける人、叫んで助けを求めながら走る人、泣きながら疲れを抑えて走る人、そしね俺の目の前で転ぶ人、いや子供がいる。
「びぃえ〜ん、ママっ!!」
俺の後ろから子供の名前か、呼ぶような声が聞こえるので、多分目の前に転倒した子供だろと思い、その子供の腕を引っ張り上げ立たせる。
「向こうで、呼んでいるのそうか? 行け!」
子供は、大きく頷き濡れている瞼を腕で拭って、声の聴こえる方、城の方へ走り出した。
既に俺よりもかなり前で、白と黒の扇形した剣の軌道が見えている。
あれ、まるでフォトンソード、ライトセー……。
そんな状況のフェルセを見ていたら、とんがっている大きな鼻に、血走って真っ赤になって四角く黒い瞳孔の目をした、三匹の緑色のコブリンが黄ばんだ歯を出して笑いながら、俺にボロボロのナイフやショートソードを振りかざして襲ってくる。
もう、色々考えるのを止めようと思い、右手に持っている黒いハルバードを左へ三匹のコブリンを払うように振るう。
そして、既に右側に戻っているハルバード。
俺が、ハルバードを動かした事も分からずに、三匹のコブリンは、攻撃された事も分からずにド汚くドス黒い血を路面にばら撒きながら、三匹のコブリンは、俺の脇へ六体に分かれて転がって行った。
転がった頭は何も分からずに薄気味悪く笑っていた。
コブリンの目が白くなる瞬間、体が消え艶が消えた黒く小さい魔石が現れる。
コベソに言われたし、取っとくか……。
出てきたアイテムは、全部取っていった方がいいな。
先に進んでいるフェルセの辺りには、コブリンやコボルトはいるが、フェルセよりも大きい魔物も見えている。
「フェルセ! アイテム回収しているか?」
「もちろん。 ケーキ! ケーキ! 魔石! 魔石!」
フェルセは、魔石しか目がかないと思っていたら、ケーキにも目がないのか。そう言えば冥界にいる時も甘いの好きだったな。
俺は、防衛していた兵士や冒険者達を追い越し、前線へ向かう。
「冥王さま、この街の中にダンジョンがあるって話ですよ!」
「そうか、魔物が溢れてきたってことか」
ここでは、少し武装が小綺麗なコブリンや、毛並みの良さそうなコボルト。
そして、槍や剣など様々な武器をもったリザードマンやオークに、様々な種類の魔物がいる。
もちろん、フェルセや俺だけでなく、ランクが中堅から上の様な冒険者や、屈強な獣人の兵士達も応戦をしている。
「冥王さま、リザードマンやオークを倒した方が……」
「何でだ?」
機動力が高いのか小柄なコブリンやコボルトが、次々に俺へ攻撃してくるものだから払い除けるかのように、ハルバードでヤツらをバラバラにしてアイテムを回収している。
「コブリンより、リザードマンやオークの方が良い物落としますよ」
サーベルを軽々しく振り回し左手に円盾、硬そうな鱗と共に身に纏う胸当てやすね当てを装備しているリザードマンは、黄色い目を動かして赤く細い舌をピョロピョロと出したり引っ込めたりしている。
そんなリザードマンが、四体左右前方から迫ってくるが俺は、ハルバードでリザードマン一体の喉に一刺し、残り三体を払い切る。二分割、三分割されたリザードマンは、目を大きくした途端、姿が消えアイテムに変わるが俺は、すぐ様アイテムボックスへしまった。
「フェルセは、アイテム何が出たか確認しているのか?」
「えっ? そんなの確認している暇ないですよ! バンバン回収しちゃって……」
魔物のいる所へ突進するフェルセの声が、荒れた街の音で聴こえなくなった。というよりフェルセは、戦うことに集中し始めた。
ぶっとい棍棒を持ち股間を隠した腰巻をする、巨漢な二足歩行の豚であるオークは棍棒を振り上げる。
その動作は鈍いので俺は、胴体を真っ二つにする。
真っ赤な血を噴き出しながら消えていくオークはアイテムへ変わるが、何が出たか分からずに直ぐ、回収した。
いかにも、ダンジョンに出そうな魔物であるコウモリや蜂もいたり、コブリンやリザードマン等、目に入ったらハルバードで一突きや薙ぎ払って次々にアイテムへ変えていく。
中には何も出さないのもいたが、何か出てきて何を回収しているのか分からないので気にせずにいた。
本当は、ダンジョンに入って、現れたアイテムを確認しながら回収し冒険を堪能したいと心の中で思っている。
俺は、だんだんとイラついてきたのか心の奥がムカムカしてくる。
少しずつダンジョンの方へ近づいている俺だが、戦っている冒険者や兵士達には協力さえせず浸すら歩き、向かってきた魔物を、まるで指揮者が指揮を振るうかのようにハルバードで粉々にしていく。
先に進んでいたフェルセが、何故か足を止め襲いかかってきている魔物だけ切り刻んでいた。
「どうした?」
「どうしたも、こうしたも無いですよ!」
「?」
「冥王さま。 少しは自重してください」
フェルセは、俺に見ろと言わんばかりの頬を膨らませた顔をして指をさす。
俺は、フェルセの指した指の方をみる。
あっちゃぁー、やっちまったよ。
俺が通った所には二匹ぐらい兵士か冒険者が戦っている者しかいないし、燃え上がっていた火で明るかった街が、いつの間にか火は消えて暗くなっている。
「冥王さまが、ハルバード振り回すから、この辺り一体の魔物は消えてしまいましたよ。 それに振りました風圧で火は消えてるし」
やばい、辺りを見回してその……。自重しようかな。
少し落ち着く俺だが、フェルセは、まだまだ魔物がいる方を指さすから俺もその方向に目をやる。
「さっき会場にいた商人や冒険者らは先に行っちゃってるんですねー」
「見てないからそうなんじゃないか?」
「あっちの方が強そうなのがいるのかな」
口角が上がり先に進み始めたフェルセに声を掛ける。
「フェルセも、自重しろよ」
「私は常にしてますよ。冒険者ランクが、高いからぁぁぁ」
火の手が上がっている所へ行ってしまったフェルセを、俺はその後姿を見ていた。
そう、冒険者のランクが高ければ……。
そう、自重し過ぎなくてもいい。
これでもこの世界の環境とやらに影響与えない程度には抑えていたんだけど、人々に影響与えてしまうって事だ。
極力自重しなくちゃいけない状況と、付きまとう冒険者のランクとやらムカつきを覚え俺は、フェルセが向かった魔物がいる方へ足を進める。
少しずつ冥王のダーク的な部分見れましたでしょうか?
神様ですからね。