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冥王さま異世界に憧れる。  作者: なまけものなのな
ヒューズ編
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赤ずきん2

 レッドフーディは、いきなり怒り出し辺りを急に冷やすが、それも元に戻り、落ち着きを取り戻している。


『ふぅ…… まぁ、いいわ。 ここにあった死骸全て回収させて頂いたもの』


 レッドフーディは、バスケットの蓋を擦りながら喋る。


「埋まっていた遺体を取ったって言う事か?」

『そうね。 人の死体はちょうど良い低級から中級アンデッド量産に良いのよ。 本当は亜人種がいいのだけれども、まぁいいわ。 そんなに構えないでくださいな、コチラは戦う気はないんですわ』


 俺とフェルセは、レッドフーディを前に武器を構えながら臨戦態勢になっていた。フェルセは、奇妙な現れ方をしたレッドフーディに問い掛けている。


「あなた、なんなの?」

『あら、先ほどから言ってるじゃないの。 レッドフーディよ。 ――――そういう事かしら。あぁ言うのは子供っぽくて好きではないのだけれども、私使わせて貰おうかしら……。 あの玩具、レッドフドが使ってたヤツをね』


 レッドフーディの幼い顔が、悪態を想像する嫌らしい顔になる。

 俺はただ、目の前にいる女の子をどんな行動するか見ているだけなのだ。同じようにフェルセも剣を構えてはいて余裕そうである。


『――――死王――――。 これを名乗ろかしら。 うふふ』


 笑い声が複数聴こえる不気味な笑いに、口を抑えながらも表情はニタってなっているレッドフーディを見て俺は、少し寒気を感じる。


『今回は、良い物を見せてもらいましたわ。 そちらの女性…… 貴女! 二本の剣からして、そして、その微妙な美人顔。 双翼のフェルセと思いますが、でもそちらの男性の方がフェルセよりも強そうで……。 私と同じぐらいかもしれませんね』

「び微妙なって! 美少の可愛い女なのは認めてやるわ。微妙な美人では無いっ」


 フェルセの言いたいことが良く分からない発言に、空気が止まる。

 沈黙が少しの間だけ流れると口を開いたのはレッドフーディだった。


『――――まぁ、そそうですわね。 魔王達が天使にそそのかれて何か企んでいますが、気をつけないな。一度でも魔王と絡むと面倒事はついて回るものですわ』


 ハイソサエティな貴族の笑い方を真似するようにレッドフーディは、『私は、これで失礼しますわ』と言い残し黒い煙が地面から噴き出す。その煙がレッドフーディにまとわりつくと同時に直ぐに拡散し、跡形もなくレッドフーディは消えていた。




「なんなんですか! あの失礼な女」

「何が?」

「わ私を、微妙な美人って。 酷すぎですよ」


 あー、そこ?

 それよりも色々考えるところが有るだろう。


「それよりもな――――」

「それよりもではっ! 無いです。 女神が微妙なって!!」

「うーん。 本質は女神だけど、豊穣の女神じゃ無くなってるし。 美女三人の中にも入ってないしなぁ」

「アフロディーテやアテナ、ヘラに負けるのは当然です。 でも私、女神ですよ! 少なくても可愛い割合が多い美人で言えば良いのに」


 やたらとプンプン怒りを出しているフェルセは、俺に愚痴を言いながらも落ちている魔石を拾っていた。


「それにしても、これどう報告する?」

「えっ、どうもこうも調査だけだからそのまま魔物倒したって言いますよ」

「だけどな、これ見ろよ」


 俺がこの戦死者が埋葬されているこの辺りを指さすが、フェルセは何も気にしてない様子だ。埋葬されている死体は既に掘り起こされていたり、俺たちの戦いであれに荒れて墓標は倒れているし、土もぐちゃぐちゃになっている所が沢山見えてしまっている。


「大丈夫ですよ。これ」


 フェルセは、アイテムボックスから白い物を取り出し、俺に見せたと思ったらすかさず閉まってしまった。


「ね、大丈夫ですって言ったじゃないですか。 骸骨カラスの頭蓋骨を数個回収しましたから」

「そんなんで通じるのか?」

「大丈夫です。 証拠もあるし、なんたって私はランクAの冒険者ですよ。 任せてください。 冥王さまも魔石落ちてないか見てくださいよ」


 フェルセは、鼻を鳴らしながら自信満々に答えながら落ちてそうな魔石を探している。


「なぁ、もう拾い尽くしたんじゃないのか?」

「あの骸骨カラス、あと数羽分の魔石が無いんですよね」

「数覚えているのか?」

「まぁ、魔石は大体ですけどねー」


 ドヤ顔になるフェルセを見るが、仕事の時もそんな集中力発揮してもらいたいもんだ。でも後数羽で魔石は頭蓋骨の中にあったんだから……。


「フェルセが、持っている骸骨カラスの頭蓋骨に魔石ないのか?」

「あっ!」


 フェルセは、目を大きくした途端、頭蓋骨を俺に見せないように隠しながら何かブツブツ言っている。少し経つと急に俺に向かって何事も無かったように、


「冥王さま、二フライに戻りましょう」

「おい、魔石はあっ――――」

「さぁ、さぁ、進んだ進んだー」


 フェルセは、俺の背中を推してこの埋葬地から出そうとしている。そんな俺は、魔石の事を誤魔化されたままで納得もいかないが魔石は全てあったみたいなので二フライに戻る事にした。

 埋葬地であったレッドフーディは、魔王エンビの所にいたレッドフドと見た目は近いが存在感は雲泥の差である。

 レッドフーディに感じた存在感は、魔界にいる者の雰囲気に似ていたようにも気がするが、この世界で一番強い魔王がレッドフーディみたいな者のかな。と少しだけなんだけど、これまた面白い事になってきたと心の片隅で思ってしまった。でも、面倒事はゴメンだけどね。


 二フライの冒険者ギルドに着いたら、フェルセは直ぐにカウンターへ行き、依頼の報告をしている。俺は、それを見ていたらすんなりと依頼達成したと承認貰っていたのは、驚きだった。俺なら細々と問い詰めるんだけどな。


「ねっ、言ったじゃないですか。 すんなりといけるんですよ。 これが冥王さまだったら幾つか質問されてましたけどね」


 これまたフェルセが、ドヤ顔になって俺に言ってきたが、


「明日はコベソ達と隣国へ行くんだ。アイツらの別便戻ってきたか知りたい。アイツらの宿へ行くぞ」

「まだ、あんなに依頼あるのに行くんですか?」

「日が沈みかかってる! と言うか、やらない!」


 俺は、フェルセの言葉を突っぱねて冒険者ギルドを出てコベソとトンドのいるであろう宿に向かっていった。

読んでいただきありがとうございます。


これからも精進していきますので何卒応援よろしくお願いします。

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