赤ずきん
おおがらすや骨だけのおおがらすやカラスの鳴き声に不快感を感じている俺は、ハルバードの柄を地面に着いてただ、立っているだけだがカラス達は、中々攻撃して来ない。
この、光景をただ見ているとふと思った事が出てきたのでフェルセに聞いてみてた。
「フェルセ、この骨だけのって……」
「こっのぉ、魔石だせやボーンズビッグクロウ!!」
「……えっ、何その横文字?」
身体があるおおがらすは、おおがらすなのに骨だけになると何その横文字になる?
その骨だけのおおがらすの名前は、骸骨カラスでいいんじゃないか?
「横文字の方がファンタジーっぽく無いですか?」
「長過ぎて言い難いし。 あれ、骸骨カラスと名付ける」
「急にダサくなりましたよ」
「うるさい。 カラスの骸骨だから、ちょうどいい」
フェルセは、納得いってない素振りだがひたすら骸骨カラスを叩き割って魔石を回収している。群がってくるおおがらすや普通のカラスは、フェルセの攻撃に巻き添いを喰らい血を噴き出しては死骸へと化す。
そんな俺も次から次へとやってくる普通のカラスを倒している。普通のカラスをおおがらすにしないようにしているが、油断していたら、おおがらすの死骸を離れたところに持っていかれ、それに群がって次第におおがらすと成っていた。
俺も神力を薄めただけの魔力を黄色い魔石に流し込みライトニングボルトを放つ。閃光が、おおがらすに命中し直ぐに息絶えるが、直ぐに他のカラスが群がっていた。
「チッ。 やってもやってもキリがねぇ」
俺はほんの少しだけ苛立ち始めてきたのを、フェルセが感じ取り、
「冥王さま、ほらあれ。 少なくなってきてますよ。 戦いを楽しみましょう」
俺を宥めるようにフェルセは、慌てた顔をして俺に言ってきたがそんな事お構い無しにアレを出した。
「め冥王さま、それ使う必要あります?」
「使った方が楽にカラス共を倒せるだろ」
「カラスにそんなの使わないでくださいよ」
フェルセは、俺の周りに彷徨いている黒い球体に合わせて目を動かしながら、俺にこれを使うなと言ってくる。これを使えばどんな奴でもイチコロの楽勝なのに。
俺の周りに動いている黒い球体は、神器 虚無乃白キ無垢ノ闇だ。俺の意のままに行動するから使い勝手が良い。
でも、神器である 虚無乃白キ無垢ノ闇をみてフェルセは、怯えて少しだけ涙目になっている。
「アレースの時の戦いを思い出したのか?」
俺の言葉にウンウンと頷いているが、あれはちょっとアレースのやり過ぎだから仕方がない。それは置いといてフェルセを説得する方が早い。おおがらすもいるし骸骨カラスもいるから。
「安心しろ。イラついてはいるが怒ってはいない」
「イラつきも怒るも大差ないですよ」
「普通よ、増殖するモンスターがカラスって有り得ないだろ! ファンタジー定番としたらスライムなハズだ」
「言いたいことは分かりますけど、ソレを出すまでじゃないですよ」
「スライムなら楽しいんだろうけどな。 あのカラスみたいな黒い鳥って殆どの世界にいるだろ! 俺はスライムが良い」
「なっ、んてワガママー」
フェルセは、俺に呆れた顔をしているが俺は、そんな事もさらさら気にしない。カラスが、自然の摂理で増殖するならまだいいが戦闘で増殖し、そしておおがらすになる。更にやられたら骸骨カラスになってまたカラスが増えるってどうなんだ?
しかも攻撃パターンは嘴で突っつくか突撃しか無いと見える。
そんな状況の中、だんだんカラスとの戦闘に嫌気が指してきた。
「手っ取り早く、カラス共を滅殺する」
「巻き添えイヤですよ」
「今回は、カラスだけだっ」
黒い球体が俺の前で止まり、少しブルっと震え少し上空に翔ぶと極細の糸のような目を凝らさないと見えない針が、無数に伸びる。すると、『ギャー』など苦しい鳴き声と共にバタバタとカラス共が、周りの木から落ちる。地面へと落ちたカラスは、石になったかのように身動きすら無い。
「戻れ」
神器の虚無乃白キ無垢ノ闇は、少しだけ震え完全な球体になり俺の中に戻っていった。
「おい、終わったぞ」
「超極細の針で身体貫通されるなんて真っ平ゴメンですよ。あれ使わないで欲しい」
「今回は、カラスが増殖するのが悪い」
「それ、ワガママですよ。そういう世界なんですから」
俺は、腕を組んでカラスを一掃した事に満足しているが、フェルセは、胸をなで下ろし剣で体を支え休んでいる。
カラスを倒して何気ない会話をしていると俺たちの目の前に黒い煙が、急に立ち込め人の形へと変わる。
『あら、不思議な魔法をお持ちだこと。 もしかしてスキルですかね?』
その煙から登場してきたのは、茶色いブーツに膝は少し黒ずんでいる。服は、ファンタジーで村人が着ているふわっとしたスカートに、茶色い手袋とこげ茶色の蓋付きバスケットを腕に引っ掛けている。そして茶髪の三つ編みを下げ前髪がきっちり整った童顔の女の子。だが、その女の子は赤い頭巾を被っていた。
『あら、急に出てきて驚いた? でも――――』
「レッドフド……」
死王レッドフドの名をフェルセが、小声で放つとその言葉を聞き逃さなかった目の前にいる女の子は、俺たちを睨むように目を動かし口角を少し上げ二歩ほど向かってくる。
『レッドフド……。 惜しい、私の名はレッドフーディ。 レッドフドは、昔魔王のエンビにあげた私そっくりの人形だわ。しかもあれ、魔物作成が出来る優れものなのよ』
睨んでた目が閉じて笑顔を見せている。
「なんだ? お前……」
『お前ってぇぇ―――― 私の名前はレッドフーディ』
怒りを顕にするレッドフーディの三つ編みが少しだけ浮き上がり体から黒い煙が噴き出す。そして、周りの木々の葉が怪しげに揺れ騒めき、彼女から不快感のある風が吹き付けてくる。その風が辺りの気温が急に冷え肌寒さを感じる。
レッドフーディは、不気味に微笑み落ち着き始めた。
読んでいただきありがとうございます。
復活ではなく本家ですか?普通現れてしまいました赤ずきんの女レッドフーディ。
これからもよろしくお願いします。
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