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冥王さま異世界に憧れる。  作者: なまけものなのな
ヒューズ編
131/173

オブルの街にて依頼報告

 キマイラは、ピクリとも動かず地面に横たわっている。それは、俺やフェルセが、トドメを刺し息の根をとめていた。

 商人で護衛の依頼主であるコベソとトンドを乗せた馬車が、俺達のいる場所にたどり着きキマイラの死骸に目をやる。


「いやー、キマイラを倒しちゃうとは。やはりランクAの双翼の姉さんですね。それとあんちゃんの活躍も見てたよ。遠くからでふけど、くっくっく…… やりますね」

「お二人ともさすがです。このキマイラどうします。もしよろしければ、ウチらが素材として丸ごと買い取りますよ」


 コベソとトンドは、拍手しながら笑顔で俺たちに声を掛けてきたと同時に、キマイラについて話を持ち掛けてきた。


「私は、魔石さえ貰えれば良いけど……」

「そう、言いつつ姉さん、既に魔石取っているじゃないですか?」

「まっ、まあね。アハハハ……」


 フェルセは、いつの間にか蛇と羊から魔石を取って眺めている。

 トンドは、やれやれという素振りをして俺に話しかけてきた。


「兄さんは、どうです? キマイラ何かあります?」

「俺は、要らないから全て買い取りで良い」

「さすが、あんちゃんと姉さんですな。 初めにキマイラとは……」

「初め?」

「いえいえ、気にせんといてください」

「コベソ、これ」

「姉さんですかな、キマイラ討伐の……。 あらゃ魔石に集中して聞こえとらんね。あんちゃん」

「おうっ?」


 突然コベソが、筒状にした書類を渡してきたので俺は驚いた。トンドは、その書類の話をしてくれた。


「兄さんに渡した書類は、キマイラ討伐を確認した署名が書いてあります。 キマイラの買い取りウチがしたと言う事も書いてありますので、これを冒険者ギルドに出してくれれば完了報告になります」


 普通なら魔物の部位か素材買い取りで認められるのが多いが、商人と一緒ならこういう事も出来るらしい。

 コベソとトンドの部下達が、キマイラを素早く解体し馬車の荷台にしまう。そして、俺とフェルセは、商隊と共にオブルの街に向かう。

 道中かなり走っているのだが、魔物が、この商隊を襲ってくること無く、現れたと思ったら遠ざかってしまう。フェルセもそれを見て「つまらなーい」とボヤく程だ。それの理由をコベソに聞いてみたら、


「あんちゃん、良く気付いたな。 これはトンドの作った魔除の魔法道具だ。荷台の片隅に置いてあるやつだ」


 そんなに気にはしてなかったのは、見た目はほとんど水筒のような筒状の物だ。それに手を伸ばそうとしたら、


「おっと、あんちゃん。 それには触らんでくれ。 俺達の秘密道具だからな」

「いやいや、兄さんこれは、単なる魔除の魔法を発動させる道具だから。だけど、作り方は教えられない」


 たぶん、魔除の魔石とか使って魔力を入れて使っているのだろう。だが、魔力を流して入れる人すらいないこの商隊で誰が入れてるんだろうと疑問になったが、答えてくれなさそうなので気にしない事にした。

 コベソとトンドと会話しつつ時間は流れオブルの街に到着する。コベソは、キマイラ討伐の時に渡された筒状の紙と同じような物を俺に渡してきたので受け取る。


「あんちゃんが、俺達の依頼を受けてくれて助かったー。 これは依頼完了の手紙だ」

「あ、ありがとう」

「――――所であんちゃん達は、これからどうする? このままニフライまで行くのかい?」

「予定では……。 そうだな」

「なら、あんちゃんと姉さん。 ワシらと一緒に二フライまで行かないか? いや、そのまま隣国まで行きやすか?」

「少し考えておくよ」

「トンドとワシの一部がこのまま帝都に行くが、ワシらはココに一泊して二フライに向かうのでな、そうだな――――」


 コベソが、当たりを見渡し何かを発見したみたいで、ソコを指さして、


「あの、緑色の看板が掛かってる店にいるから、声掛けてくれ。 あの店美味しいご飯有るんだよ」


 トンドとコベソが、袖で口を拭っていた。それほど美味しい料理が出るのかと期待もあるが、やはりギルドに報告してから考える事にしコベソ達と別れ、俺達はオブルの冒険者ギルドへ向かう。

 ギルドに入り、コベソから貰った依頼完了の書簡をそのまま受付の人に渡したら「少しお待ちください」と言って慌てて何処かに行ってしまった。

 このオブルの冒険者ギルドを見回してたら以前、食堂か酒場をやってたかなと言う作りで、冒険者や依頼主か数名点在している。

 気になる事は無いかなぁと思ってたら、フェルセは依頼ボードの前に立ってたのに気づいた。何処かに行ってた受付の人が戻り、「お待たせしました。確かに依頼完了受けたまりましたのと、護衛の依頼も完了確認しました。カードどうぞ」

 俺は、カードを更新するが護衛の依頼だけで、ポイントのみ増えているだけだった、これは軽くショックを受ける。

 フェルセが、カウンターにやってきて更新するがAランクなので何も変わらずただ、依頼完了の報酬を貰いまた依頼ボードへ走っていく。


「さすが、Aランクですね。 障害物の無い所でキマイラ討伐出来ちゃうなんて」

「ん? キマイラ討伐難しくないのか?」

「ダンジョンや森等、障害物や空間が確保されてればですけど。 キマイラを魔法封じの罠を張って掛れば羊と蛇なんて飾りなんで、ライオンの方を倒せば余裕らしいですよ」


 今回は、広い場所で閉所でもないので魔法封じできなかったらしい。

 そんな話も聞けてそのままギルドを去ろうとすると、フェルセが呼んできたのでそこに行く。いる場所と言えばもちろん依頼ボードの前なんだ。


「これ、どうです?」

「却下だ。 このまま二フライまで行くんだからな。 方向が違うだろ?」

「遠回りすれば新しい発見があるかも、ですよ」

「いらん!!」


 俺の一言で、フェルセがまたブーブーと文句を垂れながら依頼書を貼り直している。その依頼内容は、はぐれのワイバーンの討伐で、群れに戻らず街道に居座り、冒険者や行商等の通行する人たちを襲っていると。俺はワイバーンを一度戦ったことあるし、ましてや行く方向とは違うなら、尚更お断りだ。


「その依頼より俺達は、東の街二フライまで行くんだ。 コベソ達も行くと言っていたからその護衛をする」

「やはり、そうだと思ってたんですよねー。 討伐依頼やりたくないですか?」

「それは、わかるけどな。 でも、帝国を抜けてからだ」

「帝国抜けたら討伐依頼やりますよ」

「あぁ、わかったよ。 コベソ達と待ち合わせしているからな」

「緑色の看板の食堂なんかですかね……」


 フェルセは、美味しい料理が出るお店と心弾ませながら、嬉しそうにギルドを出ていき、それに続いて俺も外の光が眩しいと目を細めながら冒険者ギルドをでて、コベソ達が待っているお店へと向かう。

読んでいただきありがとうございます。


次回は二フライまでの道中です。


ブックマークや評価ありがとうございます。

励みに頑張っていきます。

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