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冥王さま異世界に憧れる。  作者: なまけものなのな
ヒューズ編
130/173

キマイラ討伐依頼実行

 魔鉄よりも魔力を通しやすく硬い黒魔鉄に、刃をミスリルで造られた黒いハルバードをコベソから買い取り、それを持ってキマイラと応戦しているフェルセの所へ向かう。


 遠くから見て全く気がつかなかったが、意外と大きく象ぐらいあり、基本がライオンに毛のない羊が合わさり、尻尾は蛇とオーソドックスなタイプのキマイラだった。


「冥王さま、来たんですか? 私だけで充分なのに」


 ブー垂れながらキマイラを見ているフェルセは、二本の剣を構えキマイラとの間合いをジリジリと詰めている。

 そんなキマイラもフェルセを前に、唸りながら出方を見ているみたいだ。



 ガァオォォォォ



 ライオンの頭部が口を大きく開き咆吼を上げ辺りの砂利が俺やフェルセに向かって飛び散り、更に衝撃波のような突風が吹き荒れてくる。

 羊が横を見たと思ったら直ぐに空を見上げ、俺達の方を見て目が赤く光輝いた途端、キマイラの周りから十数個の火の玉がボッと燃え上がり俺達に向かって矢のように放たれる。


「冥王さま、あれ防せ――――」


 フェルセの注意を伝えようとするがそれよりも早く火の玉が、俺達に届いてしまった。

 俺にとって、避けるのも動作ないことだが折角、手に入れたハルバードに魔力を込めて、俺達に降り注ぐ火の玉を打ち返して見ようかな。


 黒魔鉄に魔力を少し流したらほんのりと光り輝く。魔力がハルバード全体に行き届くのが分かる。

 たけど、光り輝くとしたら普通青や赤もしくは黄色とかだろ、と思ってたら俺のは黒かったよ。正に黒いハルバードって感じだな。


 降ってくる火の玉を避けられる物は避けるが、ハルバードで爽快に打ち返す。そういえば、魔王エンビも同じ様な攻撃してたようなと思ってたらキマイラは、火の玉を更に多く発生させ俺達に放ってきた。



 ガァオォォォォ



 キマイラが怒号を上げ辺りを震撼させたと思ったら、一秒間も満たないが少しの間身動き取れなくなった。


「この状況で、それやってくる?」


 フェルセも、驚いているがそんな事お構無しに降ってくる火の玉を避けてたり、剣で防いでいる。



ギャオゥ


 そんな中、一発だが俺の弾き返した火の玉がキマイラのライオン頭部へ当たり、後二発ほどキマイラの胴体に当たりそれ以外は、キマイラ付近に落ちる。

 我ながら狙っても無いのに当たるなんてセンスの良いことと、思って火の玉を打ち返している。


「冥王さま、弾き返してるんですか?」

「そうだ。 避けるだけは、つまらん」

「よ、よく出来ますね……」

「はっ?」

「あのキマイラ、魔法障壁を使ってるんですよ。 だから当たらないはずなのに」

「まぁ、出来ているから良いんじゃないか。 で、あの蛇は何してるんだ?」

「魔法障壁使っているのあの蛇ですよ。 さっきから本体に能力向上の魔法使ったり、私たちに状態異常や能力減少の魔法使ってきてるんですよ。全く効果無いのに」

「……こうして、対面していると、エキドナのヤツとこのキマイラも変わらんな」


「――――私、直接攻撃行きますね」

「おっ、まて――――」


 キマイラは、目の前に現れたフェルセに驚き後ずさりしながら前足の鋭い爪でフェルセの頭上を引っ掻こうとした。それをしゃがみ交わすフェルセ、起き上がるついでに剣でライオン側の首元に斬撃を浴びせる。すると、キマイラは痛みからか鳴き喚く。



 ギャァァオォォ!



 思いっ切り噴き出した血が、深い傷を浴びせたと思ったらみるみるのうちに回復をする。後ろの蛇が白く目を光らせてキマイラの体全体が、微小ながら輝いている。

 羊の頭が、フェルセの動きを捉えなつつ頭にある角から電撃を放ち、フェルセを遠ざけようとしている。

 フェルセも当たらないよう見事な攻撃の誘導で離れず、隙を見てキマイラの横腹に二本の剣で斬りつける。

 フェルセの攻撃が、痛手なのがわかるように、傷付けられたキマイラの悲痛な雄叫びが、激しく地面を振動させているように感じる。

 羊の頭部が怪しく動き、羊の目が青く光ったと思ったら氷の拳大の弾キマイラを取り巻くように作られ、フェルセに向かって順々に発射される。

 フェルセは、避けきれなかったのか氷の弾をキマイラへ弾き返すが、キマイラに当たる直前で粉々になりかき消される。

 それを見た俺は、先程フェルセが言ってた事を思い出した。何故俺の跳ね返した物がキマイラに当たったのか不思議になる。

 俺もキマイラに近づき攻撃をしようとするが、キマイラは、前足で攻撃して俺を迫らせない様にしてきている。


「冥王さま、これ私の獲物!!」

「うるさい!もう勇者もいないんだ。 俺も好き勝手にやらせてもらうぞ」

「……好きなんて」

「ボーッとするな。 キマイラの攻撃まだ来るぞ!」


 俺は、黒いハルバードでキマイラを牽制しつつ、右前脚を斬り落とす。すると、キマイラの体制が崩れ、よろめきながら前に進み激しい地鳴りと共に地面へ倒れ込む。


「フェルセ!」

「はいっ」


 蛇の目が、白く発光し再びキマイラ本体の回復させている。だが、キマイラの右前脚が再生途中で俺の黒いハルバードが蛇の頭を跳ね飛ばし、白目となった蛇の頭は地面へと転がっていった。

 その頃、フェルセも羊の頭に生えてある角を二本の剣で斬り落とし、逆手に持った二本の剣を羊の頭へ突き刺し、剣先が顎まで貫通させる。


 右前脚が無い状態で立ち上がったライオンの頭を残すキマイラは、悲痛なのか怒りなのかわからないが、恨みの詰まった激しい咆吼を上げた。

 だが、直ぐに俺は、黒いハルバードでライオンの喉元を突き刺し、フェルセも二本の剣で喉元に斬撃を入れ双方から血が、噴き出す。


 キマイラは、体を痙攣しながら崩れ落ちるように倒れ、ライオンの目は白くなり動かなくなった。


――――――――――――――――――――――


 冥王とフェルセが、キマイラと戦っている時。その頃コベソとトンドは。


「おい、あれ魔力通しているよな?」

「あー、完全に通しているな。 まさかいるとは思わなかった」


 キマイラから結構距離が離れているコベソとトンドは、小型の望遠鏡で二人の戦いを観ていた。


「魔力装撃なんてできるのは、勇者ぐらいなもんだろ」

「やつら、勇者って事か?」

「な、訳あるか!勇者なんていたら魔王が、何処かに現れているって事だろ?」

「彼らは何でい?」

「わからん。 だがなぁ、あの二人使えるぞ。 ヒューズにある例のダンジョン踏破――――」

「あー、難関のダンジョンか?」

「そうだ、あそこのドロップ品を安く買い取れば――――」

「なるほど……」


 望遠鏡を覗き込みながら何やら怪しい企みをするコベソとトンド。その顔はイヤらしくニヤついた顔をしている。それを見ていた部下達は物凄く引いていた。

一読ありがとうございます。


これからも精進していきますので何卒応援よろしくお願いします。

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