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冥王さま異世界に憧れる。  作者: なまけものなのな
ヒューズ編
129/173

キマイラ討伐護衛依頼

 ロムケの街から出発しオブリの街に向かっている俺達は、二人の商人だけかと思いきや各十名いる。そんな、大所帯の商隊の依頼だった。

 馬車を六両ある。その内一台は、他のに比べ荷台が少し長い。

 なんでも偶然なのか、たまたまこのロムケの街で出くわしたと言っている、長身でお腹がボコっと出てる男コベソと、丸っこい体型の男トンドは、兄弟なのだ。

 まぁなんでも良いが俺の予想としてギルドの悪どい受付の人は、戦うことが出来ない人が多ければ、キマイラが現れると思って俺やフェルセに対して、大人数の依頼を任せてしまえと思っている。


「あんちゃん、なにしかめっ面しとる?」

「いや、この街道。強い魔物でるって聞いてな」

「おお、オブルの近くでキマイラ出るって聞くからな。俺達ランクの高い冒険者を待っとったんでな」

「いやそこの姉さんが、Aランクの双翼とはなぁ。俺達運があるな」


 コベソとトンドは、同調しながら頷いていて見た目は、全く似てないのに兄弟だなぁと思わせる。そしてトンドは、持っていた鞄の中から液体が、中に入っている小さい透明の容器を数本出して俺やコベソに見せてきた。


「俺はなこの薬を売りに行くんだけどな。コベソは、武器を売りに行くってさ」

「俺達二人は、戦争では欠かせない物を売りに行くってわけさ。だから、キマイラをどうしても超えなくちゃぁなんねぇって訳よ」

「コベソ、この薬凄いんだぞ。なんでもこれハイポーションと言ってな。骨折は、もちろんかなり深い傷も回復させちゃうんだぜ」


 兄弟の商人コベソとトンドは、お互いの荷物を話しながら盛り上がっていた。


「兄さんよ。実はな、この帝国が最近採用した武器を知っているか?」

「コベソ。凄い自慢気な顔しているじゃないか。なんだ特殊な武器なのか?」


 コベソの言った武器の名を聞いて俺は、まさかあの武器が採用されているとは思いもしなかったが、ここは、帝国を褒めてやろう。


「実物は荷台にあるが、ハルバードってヤツだよ。これがいやぁ扱い難いって思うんだけどな」

「なんじゃい?そのハルバデってやつは?」

「ハルバードだ。なんでも槍の様なやつなんだがな、先の方に斧と鉤爪が付いていて、突いたり切ったり殴ったり、しかも鉤爪で捕らえて振り回す事もできる……」

「ほぉー、何だか凄い物だの」


 二人が、熱く語るようになったので俺は、その中に入れずオブルの街に向かう風景を楽しんでいる。


「おー、どうしたあんちゃん。外ばかり見てウチのハルバード見るかい?」

「兄さんも見た方がええ。コベソの武器凄いぞ!魔鉄含んでるんだろ?」

「魔鉄を少し入れる事でな、魔力が通り安くなって強い攻撃が、できるらしいが。正直わからんのだが、鉄よりは丈夫になっているのは間違いないぞ」


 コベソが、手に持っているハルバードを、販売するかのような口調で見せてくる。


「魔鉄って高いんじゃないのか?」

「おお、あんちゃん詳しいね。そうだけど鉱山を持っている、俺にとっちゃぁ安くできるわけよ」

「さすが、コベソだな。もしかしてミスリルもか?」

「それは、秘密だな。あんちゃんの前では言えんな」

「もぅ、その解答持っていると言っているようなもんじゃないか?」

「だぁー、してやられたわい」


 コベソは、大笑いしながら自慢気な笑みをして丸いお腹を太鼓のように叩いている。それを見てやれやれといった顔をしながらトンドは、


「自慢したいならハッキリ言えば良いのによ。ミスリル鉱山なんて持っているだけでも金持ちなのに」

「トンドよ。ミスリルの鉱石は、採掘しにくい。ミスリルを見つけたと思っても小さかったり、当たり外れはあるもんだ」


 コベソは、何か言いたげそうな素振りをしているが、自らは言わずに誰かに聞いてもらいたいのか、ニコニコと笑顔で俺とトンドを見る。


「何か有りそうだな」

「コベソ、何か隠しているだろ?」

「さすが、あんちゃんにトンド。そりゃ帝国に売りに行くんだ、普通の武器では相手にもされない。帝国で私の商会名を広める為にな、このハルバードを作ったんだ――――――」


 見せてきたのが黒い金属で作られたと思える、ハルバードの先はブロードソードの刃の形状、斧の部分が少し大きく、刃も幅広く綺麗に研がれている、そして鉤爪の所が、ドラゴンの羽を長く鎌を模した様な造りになっている。


「――――――これ、凄いんだぞ。なんとあの黒魔鉄を存分に使い、刃の部分は、ミスリルを使っているんだ」

「黒魔鉄ってあの高い魔鉄?」

「あぁさすがだなトンド。黒魔鉄は魔鉄よも硬い割には加工しやすく、そして魔力も通しやすいんだ。実際通しているやつなんて見たこと無いけどな」

「それ、もし俺が、欲しいと言ったらいくらぐらいで譲ってくれるんだ?」

「あんちゃんかぁー。実際売り物じゃないから…… 十万オルグかな。帝国のお偉いさんに見せて野郎の思って作った物だからな」

「コベソ頭、何かこっちに向かって着やがる……」


 俺がいる馬車の御者が、困っていそうな顔をして不安になったのか、コベソに向かって言ってきたら、


「冥王さま、何か向かってきます」

「全体、馬車を止めろ!!」


 御者達は、トンドの掛け声に馬車を止め、馬達を落ち着きつかせていた。

 並行している荷馬車から俺に伝えてくるフェルセは、砂煙を上げて地鳴りを立てながら向かってくる物体をみている。


「ありゃ、キマイラだろ!?」

「トンドが言うなら間違いなぃな。あんちゃん、姉さんよろしく頼むぜ」


 呑気に座っているコベソとトンドだが、周りの御者や部下達が、慌てたり青ざめている者もいる。

 キマイラが、俺達の方に向かって威嚇をしてきている。


グゥアァァァァ



 フェルセは、二本の剣を持ちながら少し嬉しそうにキマイラへ駆けていく。それを見て俺も行こうと考えたが、そういえばこの前、魔王エンビに武器を溶かされたのを思い出しコベソの近くにある黒いハルバードが、目に入る。


「コベソ、その黒いハルバード俺に売ってくれ」

「えっ、あんちゃん何を?」


 コベソは、俺の問を再度しかも、お金持っているのかと言う目をして聞き直してくる。


「そのハルバードを売ってくれ」

「あぁ、良いけどあんちゃん、金あるのか?」

「金はある、さっきの言ってた金額だ」

「おっ、俺も男だ。この黒魔鉄のハルバード持っていけ。あんちゃん、キマイラよろしく頼むぜ」


 俺は、新しい武器となって黒いハルバードを持ってキマイラに向かって行く。

読んでいただき有難うございます。


お気に召しましたら評価ブックマークよろしくお願いします。

評価ブックマークそして読んでいただき、これからも励みに頑張っていきます。


次回はキマイラと戦います。

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