帝国国境付近
俺達は、ライルベルズと帝国の国境にあるダグリと言う街にいる。ここは関所ともあって流通は多いが商人やら業者が、通行するだけで地元の企業や個人が、商い等行っている。
その為賑やかでなく良くある普通の住宅地と言うぐらいで、馬車の車輪が駆ける音が建物に響き渡っている。
「このまま、帝国に行っちゃいますか?」
「ライルベルズに残っても良いけど、この国の雰囲気が、ベルクホルンと似てるんだよな」
「なら、帝国に行っちゃいましょう」
フェルセが、笑顔で関所の方に体を向けて進もうとすると俺は、フェルセの襟元を掴む。
「ぐっへっ、なっなんですか?冥王さま」
「そうやって勝手に進むな。 お前が帝国、帝国って言うとな何やら怪しい雲行きが、し始めるんだよ」
「なんにも無いですよ。 魔王やら勇者とかもう無いですよ」
「それ自体だな、前回もお前が、言ったそばから起きただろ。 俺は、この世界で縛られること無く魔物退治やら他の事が、したいんだよ」
「わかりますよー。 うんうん」
フェルセは、腕を組み分かったかのように頷いているが、俺の予想は全く分かってない。むしろ魔王や勇者が、現れてくれる事に期待してそうなんだよね。
「帝国を通るしかないが、ギルド寄らずにそのまま通り過ぎて――――」
「ギルドは寄りましょうよ。 変わった依頼があるかもしれないじゃないですか?」
「――――そのまま隣国に行く。 これは決定だ!! 絶対に寄らん」
「ぶー、ぶー。 冥王さまの…… 何も無いけど、ぶー」
「ギルドに寄るとまた面倒事に巻き込まれる。 良いか? もう一度だけ、ギルドには寄らないぞ」
「冥王さま、それって……」
「フリでは無いぞ。 フェルセ」
ダグリの街を出て国境にある関所に着いた俺達は、ライルベルズの側の看守にギルドカードを見せ「通ってよし」と許可を貰いそのまま帝国側の関所へ行く。同じ様にギルドカードを見せるが、「入国税100オルグ頂戴するぞ」と金銭を要求してきたので普通に払うが、辺りを見渡すと払えない人がいたり、立ち止まっている人が、ちらほらいたよ。
「帝国では、商工や冒険者のギルドカード持っていても入国税が必要なのは納得いかないですよね。 普通なら不要なのに」
「でも、入国税だけじゃなさそうだぞ、もしかしたら関税も掛けられてるんだろうな」
俺とフェルセは、そのまま帝国側の関所を通り近くの街に向かって進んでいく。
着くと如何にも帝国っていう雰囲気を出していそうな、石壁で組み上げられた建物は、キレイに並んでいる。道も舗装され魔法で点灯するのか街灯が、均等に並んで帝国の国旗が付けられていた。
「この街ロムケから出ている乗合馬車がありますよ」
「どこに行くのかわかるか?」
「このまま東に向かうとオブルと言う街に……」
フェルセが、コンソールシステムのマップデータを見ながら答えてたら、数秒黙って軽めの咳をした後、再び俺に行き先を言ってきた。
「そのオブルから出ている乗合馬車で、北のレイブルに行くと、アレですよ」
フェルセの変な発言に俺は、眉間にシワを寄せて「アレ?」と聞き返すと俺の意向とは違う回答がやってきた。
「そのまま首都に行くと北東と南西の街にダンジョンがありますよ」
「ダンジョン!」
俺の頭を横切るキーワード。異世界物でよく聴くダンジョン物だ。しかもこの世界のダンジョンは、魔物もといモンスターを倒して報酬を稼ぐと言った場所なのはわかっている。でも俺はそんな誘惑に負けること無く。
「オブルより東に行くぞ。 この国を通り抜ける」
「えーっ、冥王さま。 ダンジョンですよダンジョン。 異世界物なら良くある名物じゃないですか! ワクワクしません?」
「俺だって行ってみたいけどな、あっそうだ」
俺は思い出したかの様に、狙ってた様な笑みを浮かべながらフェルセを見る。
「冥王さまどうしました? あやしいですね……」
「ダンジョンに行きたいならフェルセ行ってこいよ。 俺はこのまま東に向かうぞ」
「それは、却下です。 冥王さまを――――」
フェルセは、腕を使ってバツのサインを見せ、少し睨んでいる。
「――――一人にしたら何をするか。 やましい事するかも、それが問題です」
「何もしないと思うが、まぁいいか。 ここで一応冒険者ギルドによって、オブル行きの依頼とかあったら受けてみるか?」
「それがいいですよ。 冒険者なんですから、ギルド行かないと面白くないですよ」
俺達は、ロムケの冒険者ギルドに足を運ぶ。もちろん道案内はフェルセに任せて俺は、この街の景色を楽しんで着いて行く。
何故か疑問に思ったのが関所で待ちぼうけしていた商人もいるのは見てわかってたが、それにしても、歩いていると多くの商人らしき格好をした人物とすれ違ったり、散策してそうで多く見受けられる。
その疑問も冒険者ギルドに着くなり直ぐにわかってしまった。
「冥界一行の冥王さま。 左手にあるのが、ロムケの冒険者ギルドですよ」
フェルセは、片手で旗を振るような動きをして左手をギルドに向ける。まるでツアーガイドの様な素振りをしてくるフェルセを俺は、無視して冒険者ギルドに小走りで入る。
「冥王さま、無視しないでくださいよぉ。 って、どうしました?」
ギルドに入ると人の多さにびっくりして俺は立ち止まってしまった。フェルセもその光景をみて驚きを隠せてない。
冒険者も少なからずいるのだが、商人らしき姿をした人物の方が、多くカウンターで怒号の様に声が飛び交っている。
『おい、こっちもだっ』
『いや、こっちこっち』
『おい、順番は俺が!先だろっ、割り込むなよ』
恰幅のいい人や長身で細い人など、カウンター前でいがみ合っていた。
壁に貼り出されている依頼の多さに驚いたフェルセが、それを見に言って肩を落としているように見える。俺もそれを見たとたんわかった気がした。
「これ、全部。輸送の手伝いですね」
「ああ、二フライにまで傷薬届ける…… 二フライまで輸送の護衛か。 殆ど二フライにまでだな」
『おっ、お兄ちゃん達冒険者か?』
ガッチリとした体型なのにお腹が、ボッコりと出ている少し長身の男性が、背後から声を掛けてきので返事をしたら、
「今、戦争中でさぁ。 二フライまでしか護衛の依頼だせんのよ。 全く困ったもんだぜ」
「戦争?」
「あんちゃん達知らんのか? ここの帝国と隣国ヒューズが、バチバチしてんのを」
別の方向から横に大きい丸っこい商人らしき男性が、話しかけてきて商人同士話が盛り上がっていった。
二フライを超えるとその先にヒューズと言う国が、あるがそこと帝国は、常に戦争をしていてかれこれ六年も経過している。
国を自由に行き来出来ないよう、侵攻を防ぐかのような高い防壁が、国境全域に建てられていると、商人達に教えて貰った。
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