ユカリ達と別れと魔界の者
オリシスは作業を終えたように、両手のひらを互いに払い、一息ついて俺の方を見る。
「所で冥王様」
「なんだ?」
「そう言えば、ヘカテー殿が居ないみたいですが――――」
オリシスが改まって俺に聞いていたので、俺も「さっきまでいた世界に着ているみたいだが……」と答えたら、フェルセの方をガンと見るとフェルセはオドオドして口にする。
「わ、 私知らないわよ」
「――――まぁ、ヘカテー殿がこの御三方と同様な問題を確認しようと、向かったらしいのでお早めに合流を」
「あぁ、わかった早めに合流する」
「有難うございます。 休暇中の中すみませんが宜しく御願いします。私はこれを返しに行きます」
「オリシス体を大事にな。持ち主のタルタロスに宜しく言っといてくれ」
「そのお言葉、有難き。 タルタロスにも伝えておきます」
オリシスは歩いて次元の壁に穴開けて去っていった。
俺が、地球側の方を指さして、
「ユカリ達、そろそろ向こうに着くが……」
「ユカリそろそろお別れね」
「フェルセさん達は来ないんですか?」
「私達は行かないわ。 向こうに用があるもの――――」
ユカリは涙ぐでいたらフェルセは何事も無いように
「――――でも、私や冥王さま、時々日本に行っているのよ。 またそのうち会えると思うわ。 死んでも会えるし」
「死んでも……」
「だって、冥界の神ですもの――――」
フェルセの真顔な受け答えにユカリは小さく笑っている。
「――――でも、ユカリ。向こうに行ったらヤスユキと……」
「……」
ユカリは、何故か無言でモジモジしている、その後ろでヤスユキが赤い顔になっていると、マサキがニヤニヤしながら。
「そうだぜ、戻ったら付き合うんだろ?」
「ごめん、笹本くん」
ユカリが、改まってヤスユキの顔を見て目と目があった途端、直ぐに下を向いて誤っている。
「何が? 鈴木さん?」
「あの付き合うって話無かったことにして…… 実は帰れるって事知らなくて自暴自棄でOKしちゃったの――――」
ユカリの言葉にヤスユキは目を丸く見開いて驚いている、その後ろにいたマサキは、少し引き気味になっている顔で吹き出さないように堪えていた。
「――――笹本くん、栗原夏実と付き合ってたよね?」
「えっ? あぁ」
「夏実、親友だし。 笹本くんの事色々聞いてて……」
「……」
「…………」
「ゴメンなさい」
深々と頭を下げるユカリに、ヤスユキは崩れるように床に座り込む。それを見ていたマサキは何故か腹抱えて笑っているよ。
「康幸。 ダメだったろ。 鈴木さんは窓際の美少女なんだよ」
「高木くん。 なにそれ?」
「鈴木さんは知らないのか? 外や廊下から教室でずっと本を読んでいる鈴木さんを指しているんだよ。 鈴木さんに告った人みんな撃沈してるじゃん。 康幸お前には高嶺の花だって」
「窓際……」
「正樹、てめぇー」
二つ名があるユカリは顔を赤くして、ヤスユキは振られたことに赤くして、マサキは笑って赤くなっている。
「なぁ、 フェルセ」
「なんですか、急に?」
「美少女ってのはああいう者を言うんだよ」
「冥王さま、分かってないですね。私のは美女よりも少し落ちているけど美人なのです。 人間と次元が違うんですよ」
「そんなもんなのか……」
「そうです」
当たり前の顔をしているフェルセを横に俺は、再びユカリ達に目を向ける。
「三人ともそろそろ光が……」
「またの機会がありましたら、よろしくお願いします」
「短い間だったけど、なんか貴重な体験できたしな」
「お前は最後に振られたけどな」
「冥王様もフェルセさんもお達者で……」
三人が光に包まれ元の世界へ戻っていく。俺とフェルセは次元の壁に穴を開け、再びあの俺が異世界と呼んでいる世界に戻っていった。
着くなり直ぐにフェルセは、俺に文句を言ってくる。
「冥王さま、なんでこの場所なんですか?」
「わからん。 何も考え無しに降りたんだけど、 この場所どこだ?」
「ここって、冥王様が最初に降り立った場所じゃないですか」
「いや、全く違うな。景色は似ているけど何かが違う」
「確認してみますね」
フェルセは、コンソールシステムの画面を開き、地図を見ている。俺は、その画面を覗こうとすると、勘づいたフェルセがその画面を隠そうと俺から離れていく。
「ライルベルズの東あたりですね。 西のあっちがオズの街ですよ。 何でまたこんな所に……」
「何か都合が悪いのか?」
「まだこの国だから良いですけど…… すぐそこ国境ですよ。 しかも帝国ですよ帝国」
「だから何かあるのか?」
「冥王さま。 勇者・魔王と続き帝国ですよ」
「そういう事か…… 完全にフラグ立ちまくりだな」
俺とフェルセは、少ししょげているが、フェルセが空を見上げて、
「まぁ、近くの街に行きましょう。 まだ帝国に行くとは決まった訳じゃないですか」
「そうだな。 近い街って」
「オズの街も近いけど、 ダクリって言う街です」
「日も暮れそうだしな。 行くか」
俺とフェルセは草原を抜け街道に出て、ひたすらダクリの街に向かって行く。
―――――――――――――――――――――――――
魔王エンビが地球侵略の為に勇者達と転送された時、とある場所にて黒いフードを被ってうねった長い髪をする女性が、広い円卓に豪華な椅子がある部屋の片隅で話すと、椅子に座って肩肘つている者、円卓に脚を乗せている者など、数名が笑顔でその女性を見ている。
「ついに、エンビが向こうに行ったわ」
「ゼウスが、管理している所か」
「あんな体を乗っ取るだけの力しか無ぇ、魔王の冠を被った矮小なヤツをその世界に送った所で、どうせ直ぐにやられてるぜー」
「噂だと、ゼウスの管理している世界は、魔法が無いって言うか使えないって聞いたわ」
「嘘言え。 ならなんで、勇者として現れた異世界人が、魔法を使う事が出来るんだよっ」
「おい、お前たちその話はどうでもいい。 だが何故あの世界を足がかりに、ゼウスの世界を攻撃する?」
「それは――――」
「黙っちゃぁダメだぜー」
「――――あの世界がアテナの管理している世界……」
「アテナの…… そういう事か、 でもそんなもんゼウスならすぐ見抜くだろ?」
「おい、 そういう事って、 どういう事だぜー?」
「あー。 つまり信頼しているアテナの裏切りを装う、みたいな話ですよ」
円卓を囲っている者たちが、笑いながら壁にいる女性を見ているが、一番豪華な椅子に座っている男が肩肘ついて、その女性に問う。
「何故、神であるお主が、実行せん? 我々魔界の者に頼んでくる?」
「そ……」
「いや、暇な俺たちには丁度良いのかもしれんし、そろそろアイツのリベンジも考えねばな」
「さすが我が主」
「アイツの願い聞き入れてやらないとな」
豪華な椅子に座っている者が再び女性に問う、その女性は深く頭を下げ答えている。
「あの世界、魔王と言う存在が冥界の輪廻に行かず、幾度も転生するとは面白い…… で、次はどんなヤツが魔王となるんだ?」
「次は帝国にて魔王を、火の扱いが上手い魔王です」
豪華な椅子に座っている者が、小さな青い水晶を女性に向かってほおり投げる。
「なら、これをそいつに渡せ」
「これは?」
「火の扱うならその弱点克服せねばならんだろ。そいつどおせ氷か水属性が弱点なのならその水晶で無効化せい」
「使わせて貰います。では失礼……」
黒いフードを被り髪がうねった女性は、煙のように消える。
「下賎な……」
「どうします? あの女見張りつけますか?」
「そうだな。 着けとけバレんようにな。 ヤツが我らを欺くというのであれば、それまで上手く使わせて貰うさ」
「では、早速……」
豪華な椅子に座っている者の存在が、消えたと同時に椅子に座ってた者たち全員消えこの部屋から存在が消えていった。
読んでいただきありがとうございます。
次回からSSを挟み新しい章へはいります。
これからも頑張りますので宜しく御願いします。
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