勇者達の帰還3
姿を消して隠れていた魔王エンビ、それを呼び出せる力を持つあのかぼちゃ帽子を被ってたベルクホルン王の従者。
そのかぼちゃ帽子の従者は何者なのか気になっているが、今やるべき事は目の前にいる魔王エンビを封印する事、消す事は簡単なのだがかぼちゃ帽子を知る者、だから念の為封印する方法をとる。
『裏方君の攻撃は殴る蹴るとかだろう。 私は間合いを取らせて時間稼ぎさせてもらうとするか』
魔王エンビは手を広げ腕を少し曲げて上下に動かし、人を馬鹿にするような顔をし踊っている。
「裏方…… 裏方って言われてもな」
俺は裏方って言われる事には、気にすらしていないんだけど、魔王エンビのあの顔や動きがイラついてしまう。
「まぁ、冥界もある意味裏方って感じだよね――――」
フェルセがユカリに伝わる様に、目を合わせて言っているが、ユカリは無言で頷きさえしない、地球の人と思ってたのが本当は神だったので驚いているのだろう。
「――――でも、私たち神だから驚いてる?」
「フェルセさんも神なんですか? 二人とも神っぽく無いんで何にも――――」
ユカリはあっけらかんとした顔をしてフェルセの問に答えている、フェルセは少しだけ目を丸くして驚いている。
「――――神って布一枚着てるって感じじゃない?」
「あー、 『神だ!!』って現れそう」
マサキが低い声をだしながら胸を張ってポーズをする、ユカリとヤスユキは頷き「そうそう」と同意していたら、ユカリは「でも、日本の神なんて色んなキラキラした服着てそうだけど、なんで海外の神って布のかな」
「「さあ?」」
ヤスユキとマサキは顔を横にふったり分からない素振りをしていたよ。
神なんて何かの象徴的存在なんだけど、美術や歴史の授業とかで見る彫刻などのイメージが強いのだろう。
ユカリ達の会話が面白かったので聞いてたら、魔王エンビが寂しそうに怒鳴ってくる。
『――――おーい 裏方ぁぁ! 無視か?』
「ん? なんだ」
魔王エンビが何か話してたみたいだが全く聞いてなかった、それを気にしているみたいな魔王エンビは怒っている、だけどいつの間にか距離が離れていた。
ヤバいヤバい、何時でもどうでもなる魔王エンビをそのまま放置状態だったよ。地球に近づいているのでタルタロスが持ってくる壺にアイツ、魔王エンビを壺に入れてしまえばいいんだけど。
『裏方君攻撃してこないのかい?』
「させてもらうとしますか」
『武器は先の戦いで溶けてしまった裏方くーん、 どぉするのかなぁー? やはり殴る蹴る?』
「まぁ俺としてはこの武器を使わせて貰うかな」
異世界で戦うなら、やはり向こうの武器でと思ってたけど、今は全く関係ない場所だし、ユカリ達が帰る地球に悪影響を及ぼす存在を退治するんだから、遊んでいる訳にはいかないよね。そう思いながら俺は無装飾で真っ黒い二股の槍を何処とも無いところから取り出して、カッコつけながら数回グルグル回して構える。
『うぉっさすが! 裏方は裏から物出すの上手いな』
魔王エンビは、拍手をしながら俺を馬鹿にした顔をして言っている。いくら馬鹿にされてもこいつの運命は決まっているので、何も気にすらして無い。そして指を指して、
『さぁ、裏方くん。 ココで君をブチッて殺してやるぅ』
――――浮かれすぎて気持ち悪い顔になっていた。
踊るようにグルグル上下に回り六個の火の玉を作り出し、俺に向けて矢のように放ってきた。俺は持っている槍でその火の玉を突き刺し、薙ぎ払い、切り落として次々にかき消しているが、直ぐに魔王エンビは、先ほどの倍はある十二個の火の玉を同様に飛ばしてくる。
俺は、魔王エンビに勢いをつけて近ずきつつ、火の玉をかき消しているがヤツも少しずつだが距離を取るように後退していた。
『――――う、コイツ。 魔王エンビ様を舐めるなよ』
何かガマンしている感じで、腕を引き、握り拳を腹まで持ってきている魔王エンビの顔が紅潮し力を貯めている。
火の玉が無くなって、ただ真っ直ぐに接近するだけの俺を見て、
『来たなぁ!!』
――――俺の顔を見てニヤッとし、力を吐き出す様に腕や手、体を大きく広げ、
『プラズマサイクローーン!!』
魔王エンビの体を中心に無数の雷光がほとばしりながら、ヤツに向かって、引っ張られるように吸引されていくのを俺は必死に堪えている。
このプラズマサイクロンと言うのは、魔法なのか、魔王エンビの技術なのか、分からないがサイクロンで身動き止めてプラズマの電撃で焼き尽くすと、この名前と初見でそう睨んだ。
電光で次元の壁に当たり白い火花が至る所で光っている。ヤツに近づけば近づく程、雷光に当たる確率があがる。
『近づかないと私は倒せないぜぇ。 私から近づいてやろうか?』
魔王エンビは俺に言いながら、筋肉自慢をするポージングをして少しずつ近づいてきてる。
破裂音が、この空間を覆い尽くすかのように響き渡って四方八方から聴こえてくる。
「そうだな、近づいてくると助かるかな」
『だろう。 近づいていってやるぜ』
胸筋を揺らして俺に向かってきてる、吸引力が強くなるが、俺は勢いつけて魔王エンビに猛突進する。
白い火花の破裂音が、俺の近くで無数に鳴り続けている、俺はそれを気にせずに魔王エンビに向かって突き進む。
何故、サイクロンに突っ込むのを躊躇したのかと言うと……。
「冥王さま、こっちは大丈夫です。 私がユカリ達を守りますから」
俺が魔王エンビに攻めてない理由が、フェルセにはユカリ達へ攻撃行かないようにする為にと、そう見えたらしいが本当は違う。
あのプラズマが、俺の服に当たって焦げたらイヤだなぁと、思ってただけなんだよね。
よくよく考えて俺の神力纏わせておけば大丈夫じゃんと思って攻撃に転じたんだ。
正直そんな事口が裂けても言っちゃいけないと思ったよ。
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