勇者達の帰還2
魔王エンビは手から幾つもの電撃を放ちフェルセを遠ざけている、フェルセも近づこうと上手く交わしているが近づけず、魔王エンビの方が一枚上手のようだ。
『だぁー! ハッハッハァ。 どうした? さっきの勢いは!』
「まるでプラズマね」
『そりゃそうだ、 私の得意な魔法だからな。 あの場所では何故か使えなくてな。 クックックゥ、 どうだ近づけずけまい』
「お前も同じでしょ。 このままずっと変わらない」
『負け惜しみだな。 私は彼の者から力を貰って更に強くなっている。 しかもだな、 永久リジェネのスキルまで頂いた』
「?」
『おや、 疑問なのか? 私は常にどんな所でも回復していると言う事だ。 貴様の剣など効いても直ぐに回復するわ』
「回復する前に叩き込んで斬って斬って斬りまくってやる」
『ムリムリ。 近づけずけないのにどうするんだ? えっ?』
魔王エンビの言葉通り、確かにフェルセはプラズマみたいに放たれている電撃を回避するだけで精一杯のようだ。
しかもこの次元の中何が起きるかわからない、あのプラズマみたいな電撃が俺達神にでさえ危機たる物かもしれない、彼の者と言うのはエリスの事なら尚更危険だ。
俺は魔王エンビの電撃が来ないよう、ユカリ達を守っている形でフェルセの行動を見守っている。
しかし魔王エンビもおかしな奴だ、何故現状維持のような攻撃しかしないのか? 回復するなら攻撃を中心に行動すれば良いのに。
フェルセは二本の剣を握りし電撃を交わしながら、何か閃いたのか離れている魔王エンビに向かって剣を振るう。
『グッ ベェッヘ!!』
「やった。 成功」
魔王エンビの放っていた電撃を切り裂き、飛んでいく斬撃が魔王エンビの魂に亀裂が入る。
一旦止んだ電撃を見逃さず、フェルセは魔王エンビに向かって飛んでいく斬撃を繰り出し当てている。
『アッ ガッダデェ!!』
「これで終わりぃ」
フェルセは魔王エンビの目の前を飛ぶ、そして二本の剣で切り付けようとしたら、魔王エンビは不気味な口になりフェルセが黒紫した閃光に包まれ俺の近くまで飛ばされる。
『クックックゥー。 常に回復している私に取ってさっきの攻撃は痛くも痒くもない。 しかも電撃で威力を削っているのだ無意味無意味ぃー』
腰に手を置いて気持ち悪い踊りをしている魔王エンビを牽制しながら、俺はフェルセに近ずき神力を与える。
「いてててて。 す、 すみません。 冥王さま」
「痛いのか?」
「ええ、 痛いですね」
「神に痛みを与えたという事か?」
「そうですね。 一般の魂レベルが神に……」
「なっ 何かあるのかも」
フェルセの傷は無く痛みも引いていた、そのフェルセは立ち上がって魔王エンビを見ている。
「フェルセさん、 大丈夫ですか?」
「ユカリ。 大丈夫」
フェルセはユカリ達に笑顔で答えている、それにしてもこんな攻撃が有るのにずっと電撃放つだけなんて、魔王エンビは何を考えているのだろうと考えていたら。
「そろそろ、向こうに光が!」
ヤスユキが帰還転送の終わりが見えている、その事を俺たちに伝えてくれると、
「このままなら、あいつ日本にくるんじゃねえ?」
「どっ どうする?」
「どうするも俺達、 武器もねぇし魔法も使えないだろ? フェルセさんのメイオウさんに任せるしかない」
慌てふためくユカリ達だが、魔王エンビの企みが分かってきた。「アイツは俺達を倒す必要なんて無かったのだ。 時間が経てば地球へたどり着けるんだ、無闇にやられる様な事をしなくていいって事だな」
『クックック! よぉーくわかったなぁ。 回復役の裏方くんだぁ』
そのニヤッとした顔で答えてきたので、俺は更にピキっとイラつく、魔王エンビは浮かれ顔しながら気持ち悪い踊りをまだしている。
「フェルセ。 ヘカ…… オリシスに魔王エンビの魂の権限を、俺に移せるか確認できるか?」
「えっ、 あっはい。 確認で……」
フェルセはコンソールシステムを開き、オリシスにメッセージを送っていると思う。次元の流れが進み徐々にユカリ達がいた世界の光が見えてくる。
『おお、何してるのかな。 ソコの強いお姉ちゃんは?』
「気にする事では無いだろう」
『おーおー。 言うねぇ。 裏方君が』
魔王エンビは顎を上げて腕を組み威張るように振る舞い、俺を見下す様に気分よく動いている。そんな中フェルセはオリシスに会話をしていた、少しだけ聞こえてくるのが『いま…… タルタロスのエリア…… あー、コイツで……』とオリシスのイケメン的な低い声が聴こえてくる。
「そう、そいつはどうなの?」
『まぁ……』ガッガッガッ
「分かった。 冥王さまに報告する。 ありがとう」
どうやら分かったらしいけど、すぐそこまで地球の光が見えている、魔王エンビは地球に降り立つのを待っている、それを待ち望んでいる為行動を避けていた。
「冥王さま、そいつ管理とか無いって言ってましたよ。あの世界にもアテナにも無いって」
「そうか、俺の出番か。 フェルセ。 タルタロスに壺を用意して置いてと伝言してくれ」
「でも、エリアが…… アッ 了解です」
『何かやろうとしている、みたいだけどな。 裏方君は回復でもしてれば良いん…… アガッ!!』
俺は神力を使って手のひらから波動をだす、余裕を噛ましている魔王エンビを跳ね飛ばしフラフラしている。
『裏方君がぁぁ、調子に乗るなよっ』
魔王エンビは怒りを込めて俺に殴りにくるが、俺はそれを交わしそのまま魔王エンビの顔に殴りつける。
「冥王さま、怒って……」
「フェルセさん、メイオウさんって?」
「あの人、メイオウって……」
「あっ、冥王星の冥王?」
マサキが俺の事を分かったみたいでユカリとヤスユキの顔を見ている、そして二人は驚いた顔をしてフェルセの方をみる。
「フェルセさん。 メイオウさんってハーデス?」
「そうだけど。 冥王さまは、ハーデスやプルートって呼ばれてるけど…… 名前無いんだよ」
「おいおい、神様じゃんか?」
俺の事を話しているみたいだけど正直どっちでも大丈夫なんだよね、異世界転移で来ていると言う設定だから隠すのは当たり前だし。
『おお、裏方君よぉ。 何やらギャラリーはこっちを見ているぞ。 頑張らないと、私ならお前を一瞬で倒しちゃうからよぉ』
「はぁ、そうだな」
『クックックァ やはり分かるのだな。 力の差があるの分かっているのだな……。 あー、 そうだ、魔王の恐ろしさ知って死んでしまうえっ!!』
俺は浮かれすぎている魔王エンビの発言を流してコイツどうやって絶望感を与えようか考えいる。
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