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冥王さま異世界に憧れる。  作者: なまけものなのな
ライルベルズ編
118/173

魔王エンビ戦 2

 魔王エンビは、先程まで戦っていた勇者ヤスユキとマサキにその冒険者達にトドメを刺そうとした時に、何処と無く現れたユカリに攻撃を喰らい傷は回復するが、痛みは覚えるのかスゴい形相で睨んでいる。

 そして、その睨まれているユカリは、魔王エンビの行動に対応する為真剣に見ている。正直、ユカリも傍から見れば睨んでいる様に見える。


 因みに俺は、倒れている人順々に[ハイヒール]と[リジェネ]の回復魔法と[物理攻撃力向上][物理防御力向上][移動速度力向上]の支援魔法を掛けている。

 冒険者ランクが、低い俺なので[オールヒール]多分、全回復魔法だと思うがそれは、使わない。使ったら使ったで何か言われそうで中盤な[ハイヒール]で[リジェネ]を追加しておけば全快は無理にしろいい所までは回復するだろう。

 支援魔法も掛けとくことで俺が戦闘向きの冒険者じゃ無いって思われる様にしておくけど本当は、もっと戦いたいんだよね。


 俺が、魔王と戦って倒す。そんな事をこの異世界に来た時に、そうなったら良いなぁと思いながら、ユカリと魔王エンビの戦いを見て次々に魔法をかけていく。

 直ぐに掛け終わったらまた、勇者ヤスユキとマサキもそして、冒険者達も戦ってしまうので時間を使ってゆっくりとやっている。

 魔王エンビの攻撃をフェルセが、こちらに来る事は無い様にしているので安心して介抱しているのだけども。


『あのまま隠れてれば良いものを。また訳の分からんヤツが現れたな』

「訳の分から……」


 魔王エンビは、ユカリに素早く近づき拳を繰り出して攻撃をしてくる。それを剣で防ぎながらユカリも魔王エンビの隙を狙って斬りかかっている。


『中々やる。まだまだだな』

「……」

『私の言葉に返答出来ないとはな。私には余裕があるぞ』


 魔王エンビの拳は、ユカリのダメージを奪っていき、それに耐えながらも剣で魔王エンビの体を傷付けて行くが、傷付い部分が直ぐに癒えてしまっている。


「おい、そこの俺を早く……」


 勇者ヤスユキが、順々にゆっくりと回復している俺を睨んでいそうな顔をして呼んでくる。


「順番にやってるから待て」

「鈴木さんが!」


 確かに魔王エンビは、無傷なのに対しユカリだけ傷ついて戦っている。そして、徐々に体力が奪われて息も乱れていた。

 そんな中1人の冒険者から「私は後で良いから、ヤスユキを……」と言ってきたのだが俺は、それを無視してその冒険者を回復させている。


「というか、ヤスユキとマサキもちょっとずつだけど回復してるからな。君たち冒険者の方を回復させるのが先決だろ」

「で、ですが……」

「ヤスユキ、お前も自然治癒のスキルあるんだろ?なら待ってろ」


 俺が大きく声を上げて言うとヤスユキは、「で、でも鈴木さんが、1人で……」と床を叩いて起き上がれない自分に怒っていそうだ。


『おいおい、大丈夫か?お仲間に助けて貰えてないな。お前の後ろにいる女はただ見ているだけなのか?』

「私は勇者なの。自分の力であなたを追い詰める」


『キッ、貴様ぁぁ!勇者かー』


 勇者という言葉を聞いた魔王エンビが、急に体から黒いオーラを噴き出して眉間にシワを寄せユカリを睨みながら両手に黒い炎を纏わせている。


『3人も……。クソがぁ』


 何故なのか分からないが、勇者が3人もいた事で怒りを露わにして黒い炎をユカリへ解き放つ。


『その炎は、魔界の炎。貴様らの肉1片も残さず消し炭にするっ!そうだな、名前は……』


 熱気が少し離れてても伝わる危険度が高いその2つの黒い炎は、ユカリの目の前で1つに合わさり人1人包むぐらいの大きい炎となっていた。

 ユカリは、剣を構えて後ろにいる冒険者達のことをチラッと見て防ごうとしている、フッうとフェルセが、ユカリの前に出てきて。


「後ろの事は任せなさいって、冥王さまだけなら気にしないけど」


 2本の剣で黒い炎を突き刺して左右にそのまま斬り付けながら振り払い、黒い炎が消えていく。


『なに?黒い炎がぁぁ!アガっ』

「えっ?」


 ユカリの驚いた声を部屋に響きわたりそれにつられて俺もユカリの方を見ていると、倒れ込んでいる魔王エンビの背中に座って首元に剣を突き刺しているフェルセは、ボソボソと言っている。魔王エンビは、今の状況を理解したのか顔が青ざめて頷いている。


「さぁ、ユカリ思う存分戦って……」


 フェルセが、どいて元の位置に戻るためユカリに話しかけて通り過ぎようとしている。魔王エンビは、隙のあるフェルセを見ている。離れた事をホッとして深呼吸で気持ちを落ち着きをとりもどしている。


「えっ、えー。どうして?」

「どうしてって、勇者が魔王倒すのがセオリーってもんじゃない?勇者を置いて一般人が魔王倒しちゃダメじゃん」

「でも、それで……」

「後、何かあるんでしょ?秘術みたいなの」

「あっ、そうですが」

「冥王さまが、回復終わらせるまで頑張らなくちゃ。後ろは大丈夫だから」

「わ、わかりましたぁ」


 フェルセは、魔王エンビとユカリの戦いを見守るように堂々と立っていると勇者マサキが、苦しみの中声を張ってフェルセに問いかけている。


「なぜ、双翼のフェルセ!」

「ん?」

「倒せば平和に」

「殺せば一旦は平和になるけど、ライルベルズの王が戦争を起こすと思うわ。あなたが持っている秘術を使って助けられる命もあるのにね」

「そうだ、あの秘術か」

「だが、あれを使うには体力が」


 勇者ヤスユキも倒れこんでいるのに声を張ってフェルセに言っていた。


「だから、今冥王さまが回復させているじゃん、待ってなよ。自然治癒のスキルも持ってない冒険者達が、優先なんだからね」


 フェルセは、そう言って魔王エンビとユカリの戦いの方を見て突っ立っている。

読んで頂きありがとうございます。


魔王エンビ戦は、あと少し続きます。


これからも、よろしくお願いします。

ブックマークも増えてきて嬉しい限りです。

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