死王レッドフドVS勇者ユカリ2
レビオが地に膝を着き、薄黒い炎の玉を弾き返したユカリは落ち着きを見せている。それは、炎の玉を弾き返した時に何か呟いてたら、もう一体召喚していた。
ユカリの後ろから現れてきたのはユカリと同じぐらい背丈で、小幅で歩いてくる。ボーイッシュの髪型で女性と間違えられそうな顔立ちの人物だ。いきなり両手を前にだして声を出して無いがボソボソ言っている。
ユカリとレビオの体が少し光ると2人は何が起きたか辺りを見渡していると、傷ついた部分が回復している。
『なっ、なんだ?』
「もしかして……」
レッドフドは、突然現れた人物よりもユカリやレビオが回復した事で苛立ちを見せている。回復したレビオは、すぐ様立ち上がりレッドフドへ殴りつけ地面に叩きつけ砂煙が広がる。
『グァッ、何なんだ。急にっ!クソっ』
レビオは、そのまま砂煙の中に飛んで入っていき激しく打撃音が何度も聴こえてくるが、砂煙が一瞬でかき消されると同時にレビオが吹っ飛ばされていた。しっかり受身を取ったのか立ち上がるレビオに対しユカリも剣を握りしめ攻撃に転ずる気がみえる。
レビオが突撃すると同時にユカリもレッドフドに突進をし剣で攻撃し始めるが、レッドフドは2人の攻撃を交わしつつ防御に徹している。
ユカリとレビオは、レッドフドから沢山の攻撃を受けているのにも関わらず負っているダメージが、少ないのは途中で現れた人物が回復をしているからでその途中で現れた人物は、さらに戦っている2人の方に手をかざしながらブツブツ言つと手が黄や青など微小に輝いている。
『こっ、コイツらぁっ!!』
先程余裕を見せていたレッドフドが、怒ってそうに眉間にしわ寄せて睨み顔をする。激しいリズムを奏でるかのような攻撃をするユカリのレビオにレッドフドは、喚き散らしながら攻撃出来ない状況になっていた。
「なぁ、フェルセあの人物は何だ?」
「流れからしてたぶん希桜くん」
「きお?」
「そうです。あの、[俺は君を守るためにオオカミになる]の希桜くんですよ」
あの小説のと言いたいが読んでもいないので何やら分からないが、その状況をただただ見ているだけだった。
『クッ、クソォッ!』
その声と共に激しく大気が震えるようにレッドフドの全身から衝撃波が放たれユカリとレビオがレッドフドから引きなされ地面に打ち付けられる。希桜は地面に這いつくばりながらその衝撃を耐えていた。
『クソックソックソックソックソックチョォ!』
レッドフドの狼と化している腕とが激しいく毛が立ち黒かった目が真っ赤になって今にも噴火しそうな禍々しくどす黒いオーラを全体に帯びていた。
「レッドフドぉぉぉ……。ぎゃぁっ!」
ユカリが、地面を蹴りレッドフドへ飛んで行こうとするが今でも衝撃波を放っているので反発され再び吹き飛ばられる。
空中から降りてきたレッドフドだが、身震いが激しくなり放ってたどす黒いオーラが纏わり着いていく。
『ゴラァァァァァ!勇者どもっ――――』
少女のような顔立ちのレッドフドは、見た目が大きく変わり目は血走っている程に赤く、鼻と口が前に伸ていた。顔から体全体が毛むくじゃらになりまるで狼人間と化していた。
『――――この大きな口で喰い殺してやるグルァァァ!』
「オオカミ……」
今度は、レッドフドが地面を蹴ってユカリに突撃してくると、レビオが庇って俺たちの所まで吹っ飛ばされてきた。
直ぐに立ち上がりレッドフドに向かって行ったが、ユカリとレッドフドの攻撃と防御の間に入れずにいると、希桜がレビオに向かってブツブツと口を動かしている。
レビオの周りに一瞬だけ光輝き、レッドフドとユカリの攻防の間にレビオは、入りユカリと共にレッドフドを追い詰めていた。
『こっぉぉノォォォ!』
レッドフドの周りに再び黒いオーラが放たれていくと、レビオの髪の色が、髪の先端から東部へ銀色に変わっていく。
『何なんだ。コイツらはっ……。そうかそうか彼奴がっ』
「ぐぁっ」
レッドフドは、思いっきりユカリとレビオに殴り掛かり更に左右へ蹴り飛ばしたら、狙いを定めて希桜に攻撃を仕掛けて飛んでいく。
「ピノッキオ!!」
ユカリのその言葉と同時に居るはずの無いレビオが、希桜とレッドフドの間に入って苦渋の顔をしていた。
『マタァ、おまえかぁっ!』
大きく口を開けるレッドフドは、苦しんでいるレビオの体へ我武者羅のように拳を何発も繰り出し最後に一蹴りし希桜と共に俺たちの所まで転がってきた。同時にレッドフドはレビオと希桜へ追撃をし蹴りを入れようとすると突然『ギャァァァ』と大きく叫び仰け反ってのたうち回っている。
隙を見せたレッドフドの後ろからユカリが、思いっきり斬りつけて切り口からどす黒い液体が舞っている。
「ハアハア――――」
ユカリは、息を切らし振り下ろした剣を持ち上げる事が出来ず、固まって剣先が地面に着いたままレッドフドを見ていた。
「――――ふざけんなっピノッキオに、ピノッキオを傷つけるなっ!」
『ゴォノッォ!クソ勇者ぁぁ』
傷が、治りつつあるレッドフドがユカリとレビオから間合いを取り体制を整えているがその時には既に傷さえ無くなっていた。
「あんなに深く斬ったのに……」
『グァッハッハッハ。私はアンデッドだ。お前らの攻撃など無意味ダァッハッハッハー』
「あっ」
ユカリは、剣を持ち構えレビオは、苦しそうに立ち上がり臨戦態勢になる。2人は、レッドフドが希桜を狙えないように並んで体制を整えている。
それをフェルセは、不安な顔をして俺に聞いてくる。
「冥王さま、これ不味いかも」
「まぁ、もう少し様子見た方が良いな。ユカリは、聖魔法の何か見つけたんだろ?」
「そうみたいですけど……」
「あの希桜に何か有るのかもな」
「あの小説の中で希桜くんは、ピノッキオって呼ばれてるんですよ――――」
「ん?」
「――――相性なんですけどね。本当は[櫃野希桜]って名前なんですよ」
「だから何だ?」
「わからないんですか?もぅ、冥王さまって……」
俺が悪いのかフェルセはむくれて黙ってしまった。あの櫃野希桜がピノッキオと小説の中で呼ばれてたのかな。だから悪魔系の魔物と戦ってた時に怒ってたがわかるけど、希桜か何か有るのか全くわからない。
櫃野希桜は、脚を震えながら手を前に出して少し光り輝くとユカリとレビオの傷ついたところや息が元に戻りつつあった。
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