死王レッドフドVS勇者ユカリ
目の前にいる赤いローブを纏ったと言いたいが少し違っていた。
それは、フード付きの赤いケープに赤いローブを身に纏っていた。
見えない顔が顕になると少女のような声をしていた事が納得出来る少女の顔だ。だけど死王と言う事あってアンデッドなのか眼球は黒く瞳孔だけ赤く光っている。
『万といるスケルトンソルジャーとメイジを押し退けて来るとは、だが弱そうなお前達では……。私は倒せないよっ』
口調が勇ましく上から物を言う様だったが最後は少女のような口調で言ってきてちょっと気持ち悪い。
「あなたが、レッドフドね?」
『違うよ』
口を尖らせて惚けた顔をしながら手を振って否定しているけど、いかにもお前がレッドフドだと思う。何故なら腕や脚が、まるで狼なんだよね。
「なんであなたは、そんなに脚が毛深いの?」
『これは、狼の様に速く走る為だよ』
「それじゃ、何故あなたの腕はそんなに毛深いの?」
『これは、狼の様に強く走る為だよ』
「全部走るためなんの。レッドフド?」
『フフッ、そうよ。私レッドフドは走る為に腕と脚は狼の……。ってそんな訳あるかー!!』
「つまらないノリツッコミは要らないわ。レッドフド」
ユカリは、持っていた剣を構えレッドフドに睨みつける。
『私がレッドフドとバレてしまっては仕方がないわ』
フワッとコートやフードも揺らいで見えにくかった顔が見える。
「女なのか?」
「メイオウさん、騙されないで。アイツはアンデッド」
レッドフドは、瞳は大きいが黒く瞳孔は赤いのは分かってたが幼い少女の顔であった。ただ首の辺りにゾンビのような傷痕がありローブの下は街人の様な服装だが薄汚れてる。
見た目からして騙されないけど、ユカリはなんでそんな事思ったんだろうな。
『まぁ……いいわ。お前なんて一瞬で壊してやる』
狼の脚力を使って突撃したと思ったら一瞬でユカリの前に現れレッドフドの爪が襲いかかる。ユカリは少し驚いた目をしたが、避けてレッドフドが通り過ぎるが再び脚力を使い襲い掛かる。
今度は剣でレッドフドの攻撃を防ぎ弾き返す。それが合図かのようにレッドフドは狼の腕と脚を使いユカリへ拳の乱撃を繰り出していく。脚のバネが強いのか拳にのる力も大きい。そんな攻撃を上手く剣で防いでいるユカリ。
両者とも言葉を発せずにひたすら殴る、そしてそれを防ぎながら少しづつレッドフドへ斬りかかってる。
辺りにいたアンデッドであるスケルトンソルジャー等が、ユカリとレッドフドの攻防に巻き込まれて粉々になったり避難している者もいたが、よく見てみるとスケルトンメイジが殆ど居なくなっていた。
見た目からして黒に近いローブを頭から被っていた骸骨が杖を持っているのでスケルトンメイジは、わかりやすい。
そんな姿が無くなりローブさえ宙を舞って消えているのもある。
勇者だとは知らないレッドフドは、勢いが失う事無くユカリと競り合って辺りに砂煙が立ち込めている、そんな所にブツブツ言いながらフェルセが、俺の所にやって来てくる。
「冥王さま。倒したメイジからは、全て魔石回収しましたけどあのどす黒いやつと同じですよ。もぅー、嫌になってきちゃう」
「何に使えるか分からないからな持っといて良いと思うけどな」
「汚い色のなんて冥王さまに、あげますよ。少し期待したんですけどね。あっ、戦っているのユカリですか?」
「そう、相手はレッドフドだけど」
「レッドフドってそのままじゃないですか。レッドフード、赤いフードそのまんま」
「あぁ、捻りとか何も無いよな。魔王は、名付けセンス無いんだろうな」
レッドフドは、フードが外れ少し長い髪が乱れるように激しく殴りかかっていると思っていたら狼の脚で蹴りも繰り出して攻撃の幅を広げている。
『おめぇ!何もんだ?一端の冒険者じゃないでしょ!』
「……ハァ、ハァ」
『国にいた冒険者共を殺して来たけどそんなに手強くなかった』
「ふぅー。だから?」
『だから、おめぇ何もんだ?って聞いていているんだ』
口調が、少しづつ荒くなるレッドフドだがそんな事お構い無しにユカリは勇者という事を隠しつつ剣を弾き返されては直ぐに斬りつける。
「まぁ、私もただの冒険者って……」
『んな、事ある訳ねーだろ。このレッドフドが……』
レッドフドが、ユカリの行動を静止するかのように手を出して『フッ、このレッドフド様が』と鼻を鳴らしキメ顔している。
「うるさい、そして臭い」
『グヌヌヌッ。臭いは無い……。私だってぇぇ』
レッドフドの目が光、ユカリに襲い掛かる。武器さえ持っていない魔法を使う素振りもない、ただ体術のみの攻撃を仕掛けてる。ユカリもそんなレッドフドの攻撃を交わし剣で防ぎながら攻撃もしている。
「今までの四天王のヤツらとは違いますね」
「死王と言う名は伊達ではないって事か」
俺とフェルセは、レッドフドとユカリの激しい攻防を見てそんな感想を言っていたら『それ、いいな……。って他の四天王のヤツらを?』と心の声なのかユカリに殴る蹴るをしながら独り言の様に言っている。
レッドフドは、急にユカリから遠ざかり指を指して睨みを効かせる。
『お前、勇者だな!!』
「だから、どうした!?」
『フフ、この死王レッドフドは伊達では無い!』
「さっき、言ってたのそのまま丸パクリするな」
『なっ、良いだろ。言いたかったんだからぁ』
泣きそうな声でレッドフドは、ユカリへ怒鳴ると「わがままかっ」とこちらも睨む。
『まぁ、いい。お前が勇者だろうが、勇者であったとしても!!』
レッドフドは、体の前で円を描くように腕をゆっくり回すとそれに沿って薄黒い火が10数個現れる。
「2度同じ事を言っているの少し変えたってんわかる」
『少し変えて同じ事を2度言うとカッコイイのが分からないのか!これでも喰らえっ』
レッドフドの周囲にある薄黒い火が一気に燃え上がり炎となって1つずつ発射しユカリへ襲い掛かる。
『さぁ、避けろ。避けてもお前を逃さないわ』
ユカリは、飛んでくる薄黒い炎を避けるため横に移動するがレッドフドとの間合いを縮める事が出来ない。
「レビオ!!」
避けながら叫びユカリが、今いる所と違う方向から登場するレビオ。突然男が攻撃を仕掛けて来た事と現れた事に驚いたが上手く防御している。
『なっ、なにを?このイケメンがぁ』
レビオの打撃を繰り出すとレッドフドは、防御し攻撃に転じるとレビオはその攻撃をガードしている。
「冥王さま。まるで、某格闘アニメみたいですね」
「そうだな。レッドフドもレビオも飛行しているしな」
「でも、あの炎は自動で装填されてますね」
レビオを攻撃しているレッドフドの周りには続々と薄黒い炎が現れてはユカリに向かって放たれている。
『ムダよ、ムダ!ひとり増えた所で私の秘術……、お前への攻撃は止まらない』
レッドフドの一撃がレビオの体制を崩しその隙を狙って猛攻撃を繰り出していく。レビオは、地面に背中を着く前に体制を整えるが膝を地面に着いて息を整えている。
「レビオ、大丈……」
『自分の心配をしたらどう?早く炎どうにかしないと……。そしてそこの観客みたいな顔をしているお二人も入ったらどお?』
レッドフドは、俺とフェルセを上から目線で言ってきたのをフェルセは、イラッとした顔をし1歩進もうとする所を俺が止める。
レビオが立ち上がると同時にユカリは、放たれて来た薄黒い炎の1を剣で弾き返す。
『ウワッ!炎を打ち返してくるとわぁっ』
打ち返した炎はレッドフドの横顔に向かって行く。勢いが良かったがスレスレで交わし怒りの形相に変わってる。
打ち返してたと同時にユカリの後方から誰かが次元の穴から現れてきた。
読んで頂きありがとうございます。
ついに戦闘になりました。
これからも頑張って行きますのでよろしくお願いします。