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冥王さま異世界に憧れる。  作者: なまけものなのな
ライルベルズ編
105/173

甘酸っぱい模様と曇り空

 声を掛けてきた勇者マサキが、少し気恥しい感じでユカリに接してきている。その後ろに勇者ヤスユキもいるが、こっちを水にモジモジしている。


「なに?」

「鈴木さん、こっちの世界に来て変わったけど聞きたくて」

「私は、多分持っているスキルにも影響されてるけど、今の状態は結構……。素だよ」


 マサキは、質問してユカリを引き留めようとしているそんな素振りをしていると。


「ヤスユキ!なにしている?」

「何だ!」


 マサキは、後ろにいたヤスユキの腕を引っ張ってユカリの前に出す。



「お前も、勇者なんだから勇気だせよ」


 この3人は、高校生なのだなんだか甘酸っぱい雰囲気になっている所で、小声でフェルセが俺に語りかけてくる。


「冥王さま、これって青春ですね」

「期待の展開だな」

「大人の私達はそっと見守っていますか?」

「ああ、見守っていよう」


 下を見て黙るヤスユキ、それをユカリが、ヤスユキの顔をのぞき込むように見上げて聞いていている。


「どうしたの?笹本くん」

「いや、鈴木さん……」


 何か良いなぁこの雰囲気。俺もドキドキして2人の行動を見ている。フェルセも?あれフェルセはどこにと辺りを見渡すと何故か俺の袖を掴みながら後ろに隠れている。

 マサキもかなり離れた所でしかも、身を隠すようにこちらの様子を伺っている。


 ユカリは、わかっているのか微動だにせずずっとヤスユキの方を見ている。


「もぅ、じれったいですね。冥王さま」


 そんな事、俺に言われても何も出来ない所に、入ったところで雰囲気を壊すだけだ。こういうのは見守るのが1番だし触れない方がいい。

 フェルセも同じ考えなのかただ俺の袖を持って怖いもの見たさで動かない。

 少し時間が空いたと思ってふと気付くと今まで兵たちの声や風など自然のざわめきが、聴こえていたが急に辺りが静かになる。


「鈴木さん、もし魔王を倒したら俺と付き合って欲しい」


 ヤスユキの決死の覚悟と思える顔をしながらユカリに思いの丈を伝えている。


「ねぇ、ねぇ冥王さま。感動ですね。ねー」

「フェルセ。いつまで、そうしているんだ?」


 初々しいと言うか照れてしまう場面にフェルセも俺の袖でなく、いつの間にか腕を掴んでいた事に、本人も気づいて直ぐに離れた。


「魔王……。うん、良いよ。魔王倒して元の日本に戻ったらね」


 ユカリが、ヤスユキに向かって笑顔で返答を返す。そのこの返し方は、じつに爽やかで甘酸っぱい感じの様だがあっさり過ぎる返答の笑顔だった。

 でも、俺とフェルセは何故か嫌な予感しか無かったのは『元の日本に戻ったらね』と言う所だ。


「よっしゃぁっ!」

「やったなヤスユキ!コレで魔王に負けられなくなったな」

「あぁ、絶対倒して日本に戻る」


 笑顔で喜ぶ勇者ヤスユキとマサキをささやかな感じの笑顔で2人を見ているユカリ。やはり何かあるのか後で聞いてみるかな。


「冥王さま、ユカリ何か有りそうだね」

「あぁ、後で聞いてみた方が良いかな」



「フェルセさん、メイオウさん。行きましょう」


 俺たちに声を掛けられたのでユカリに近づき2人の勇者から離れていく。その時にユカリはヤスユキに手を振った後、俺たちと共に歩いている。


「ユカリ、何かあるのか?」


 俺の問いかけに「何も無いですよ」とユカリが否定な手振りをして話を逸らそうとするが、フェルセが更に問いかける。


「ユカリ、何かあるの?浮かない顔しているよ」

「何も無いと言うか、死王と対決しないとわからないですよね」

「対決しないとって勝敗とか?」

「アンデッドなら今の私達では、倒す事などムリじゃないですか。もし倒せなかったらと思うと……」


 不安を隠せない表情をするユカリにフェルセも俺もただ話を聞いているだけだ。

 話しながらユカリに用意されたテントに着き「どうぞ……」とユカリが幕を上げ中に通してくれて床に座る。


「今使えないスキルが聖魔法と関係なかったらと思うと……」

「じゃぁ、何故魔王と戦う方を選ばなかったの?」

「それは……。兵士がただアンデッドにやられて行くのがイヤで」


 フェルセは、詰め寄って聞いていた。俺は、ユカリの優しさを感じていながら2人の会話を聞いている。


「そりゃ勝てないと、分かってて戦うなんて沢山の犠牲が、出るもんね」

「そうですよ……」


 暗い顔をするユカリに、フェルセが明るく変な事を口走る。


「さっき、勝てなかった冥王さまと今一度闘ってみたら?」

「なんで?」

「フェルセ。今それ、かんけぇ―――」

「冥王さまに、勝てなければ死王レッドフドにも勝てないかもよ」

「―――それ、おかしくないか?」

「ユカリ、どう?」

「そうですね。さっきは、全部防がれたので落ち込んだのかも」


 俺の声をかき消すかのようにフェルセが、提案しそれにのっているユカリが、何故か燃えてきている。


「冥王さま、やりますよ」

「今度は、防がさせませんよ」

「なんで、こうなる?」


 俺が、ユカリに変わって床に手を付けて暗い顔をする。ユカリは、「やるぞーぉ」って呟きながらテントを出ていき。


「冥王さま。ユカリと同等に戦ってくださいね」


 フェルセは俺の肩をポンと叩いてテントを出ていく。そんなフェルセを俺は、睨んで見ながら席を立ち2人の後を追う。

 俺は、ユカリの落ち込み方とか暗い顔をしてた事とか何かズレている様な気がしてならない。俺と戦って死王に勝てるという保証どこにあるのかも不思議でならない。

 不思議で無くとも俺かフェルセがいれば、倒すのは容易だけど異世界物に関しては詰まらなくなるよね。

読んで頂きありがとうございます。


恋愛は難しいです。

あっさりと回答した事がどうなる?


沢山の皆さまが読んで頂いてPVやブックマークありがとうございます。評価も感謝してます。

これからも応援を励みに頑張っていきます。

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