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冥王さま異世界に憧れる。  作者: なまけものなのな
ベルクホルン編
102/173

ヘカテー異世界日記1

ヘカテー視点です。

「はぁ、無事に到着ね。ったくルルノレは、何故そんなに躊躇う必要があったのかしら」


 辺りを見渡すと潮風が少し寒い港町に降りたった。

 海は静かに波を打ち、空には雲が流れカモメと思われる鳥も飛んでいる。そんなのどかな港町だ。


「この世界にいるのは確実だけど、そうだ人族の誰かに聞いてましょう」


 と、近くの男性、そうですね。容姿は人族で言うと40代後半の少し頭部が薄い方ですわ。


「すみません、つかぬ事をお伺いしますが」

「なんじゃ、この辺じゃ見かけない顔だに。服装も珍しいの」

「あーそれはそれは、この辺に()()()はいますか?」

「はて?そんな名前珍しいが知らんわいの。この先にある冒険者ギルドに行って聞いてみたらどうだ?」

「冒険者ギルドですか……。そうしますね、さぁ行きましょ()()()()()

「わん、わん、わん」

「うぎゃぁ、魔物!!」

「魔物??」


 そう言えば、みんなケルちゃんを見て逃げてしまいますね。先程の人族もいつの間にかいなくなってますわ。

 人族のことなど気にせずにまずは冒険者ギルドへ行ってみますか。


「冒険者ギルドはここですね、さぁケルちゃん入りますよ」


 港町にある木造建築で少し大きく外にはテラスが作られていた。

 中に入ってみると港町の様な雰囲気が漂うが、壁には依頼が貼ってあったり、パーティの募集が貼ってあったりしてある。


「うわっ!ここいつ魔物連れてやがるぞ」

「おい、魔物だぞっ!」

「どっ、どうしたんですか?キャーっ!!」

「あら、あら失礼ですね。私の敬愛している主のペットを魔物扱いなんてケルちゃん」


 私は、せっかく冥王様に会うために着てきた着物の裾が、地面につかないように抑えながら、膝を曲げてケルちゃんと同じ目線になる。


「おい、どうした?あわっ魔物!!」

「マスター、どどどどしましょ」

「おい、女!!その魔物なんだ?」


 冒険者ギルドにいた、数人の冒険者と思われる人族が、武器を構えて私に睨んできてる。


「なんだとは失礼ですわね」

「「「グルルルルルゥゥゥ」」」

「ダメですわよ。ケルちゃん」

「「「わん!!」」」

「君は、もしかして【テイマー】か?」


 後からやってきた、この部屋の中にいる人族の中では1番強いと感じさせるその男は、分からない言葉をいってきたので私は、首を傾げて聞き直してしまいましたよ。


「ていまーとは?」

「先に確認したい。こちらから攻撃などしなければその……」

「ケルちゃんですか?」

「そうそう、ケルちゃんは攻撃してこないかな?」

「もちろんですわ。ケルちゃんがそんな野蛮な事したら、いっそうここで殺しますわ」


 その言葉にここにいる人族は、びっくりしていたがそれよりもケルちゃんという魔物が身も毛立って驚き平伏している。

 私は立ち上がりその男を話しを進める。


「これで大丈夫ですかね」

「有難い。所でここには何用に?」

「その前に【ていまー】とはなんです?」

「済まない。テイマーとは魔物を使役して行動する者だよ」

「ならば、私は今その【テイマー】という事ですね。うふふ――」


 私は、ついつい分からないが少し笑ってしまった。この世界で役職が手に入ったのでつい嬉しくて。


「―――ところで、冥王様という方はどこにいるか知ってますか?」

「いやぁわからんな。そんな名前聞いた事もないな」

「なら……。 フェルセという者は?」

「フェルセなら知っているぞ。双翼のフェルセかぁ!」

「双翼……。ふふっ。そいつ、あっその者はどこにいるか分かりますか?」


 双翼って何?って変なの付けられてと少し笑ってしまいましたよ。


「マスター、フェルセ様ならいまべルクホルンにいますね。同行者にメイオウと言う者もいます」

「メイオウ……。姿形はわかりますか!?」

「わからんよ。ただギルドカードを登録しているからな場所ぐらいならわかるんだが」

「そのベルクホルンのどこに?」

「すまんが、ここまでしか教えられん」

「なっ?」

「正直、君が冒険者ギルドに加入して功績が認められたら教える事も可能だが」

「わかりました。では、登録しますわ」




「大丈夫なのでしょうか?マスター」

「むしろ有難い。あの魔物は、あれは絶対ランク【SSS】のケルベロスだ。それをテイマーしているんだぞ」

「女性自身のランクは【F】ですが、高ランクの仕事してくれると助かりますね」

「だから、ああ言ったのだよ。向こうは、ランクを早く上げたいのとこっちは、今まで手付かずだった依頼を無くしたいからな」

「マスターは、悪どいですね」

「受付たるもの、マスターを信じなさい。この街の平和を守るためだからな」

「それにしてもキレイな女性でしたね」

「しかもあの服装、東方にあるワノクニの服装だぞ」

「私初めて見ました。まるで夜空にピンク色の花びらが舞っている柄でしたからね。髪もまとまってて長くて艶やかでとてもキレイでしたね」

「美人の冒険者が出来ると、俺も嬉しいもんだよ」

「マスター!鼻伸びてますよ。奥さまに言いつけてやりますから」

「やめてーーーーーぇ!!」




 何かギルドから、叫び声が聴こえましたが気にしないで行きましょう。このカードは、何に使うのか聞くの忘れましたが……。


「冥王様の手がかりが掴めたと思ったけど、まぁこの世界を知るには少し時間かけるしか無いわね。ケルちゃん?」

「「「わん!」」」

「この振袖も冥王様の為に拵えたのに、フェルセめ!!」


 もしかして、ルルノレが躊躇っていたのは私が降り立つ場所なのでしょうか?それは帰らないと分かりませんが、帰ったら聞いてみましょう。

 とにかく人族と話すのは、楽しいのですけど疲れましたわ。こう言う世界だとホテルや旅館などは無いのでしょうか?と探してましたら看板を見つけましたよ。

 立派な扉を開けてケルちゃんと共に入りますと。


「ぎゃぁぁ!!」

「なっ、もしかしてテイマーの冒険者ですか?」


 店員の方がやはりケルちゃんを見て驚いてしまいましたが、もう1人の店員は、私に聞いてきました。


「先程、冒険者になりましたからテイマーですかね。安心なさいなケルちゃんは、そんな獰猛では無いのですよ」

「今日はお泊まりで?どのくらい泊まられるのでしようか?」


 私は、1枚の紙幣をだして尋ねると、驚かなかった店員の方が目を丸くして紙幣を見ていますわ。


「これでどのくらい泊まれますか?」

「はっあー。ああっ10日ほど泊まれます」

「では、それでお願いしますね」

「あっありがとうございます。部屋を案内させて頂きます」


 いつの間にか、夕暮れとなり日が海に潜ろうとしている。


「さぁ、明日は冒険者ギルドに行って、その高ランクですか、あの依頼を受けますかね」

「「「わん!」」」


読んでいただきありがとうございます。


次回は新しい章となります。

ライルベルズ編です。


皆さまの応援でこれからも頑張っていきます。

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