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異世界に召喚されたら職業がストレンジャー(異邦”神”)だった件  作者: ぽて
魔術大国に行ってみる件

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俺の刀が斬れすぎる件について



 晴れ渡る空にカラッとした空気。絶好のピクニック日和である。そんな日に俺たちはダンジョンに潜りに来ている。


「やっぱ地道にダンジョンとかでレベルを上げるのが早道なんだなー」

「草刈りより優先すべきと、常々言ってるような気がしますけれど」


 アーアーキコエナイー。


「今回のダンジョンは、魔術を使う魔物が多いんだっけか?」

「物理攻撃が効かない者も居るそうでしてよ」


 ……物理攻撃無効? 何それ、初耳なんですけど?


「いわゆるゴーストタイプという種別ですわね。彼らには魔力を介した攻撃しか効きませんの」

「あのー、おれ、ゴッテゴテの物理攻撃手段しか持ち合わせちゃいないんだが……?」


 やっぱ予定変更してピクニックでもしないか、シータさんよ。こんな天気のいい日地下に潜るとか健康に悪いと思うんだ。と、提案したら即座に却下された。


「魔力を介せば攻撃は通るのだから、私がリュージのカタナに術を掛ければ問題ありませんでしょう?」

「ああ、いつもコボルトさん達に掛けてる攻撃強化のバフか」

「まあ、もしかすると必要無いかもしれませんが……」

「?」


 そりゃどういう意味だ……?





 魔術師の幽霊が呪文を唱え終わるより前に、サッと走り寄って刀を横に一振り。それだけで幽霊は上下に分かれて消えていった。ついでに返す刀で、隣にいた別の幽霊を下から上へと薙ぎ払う。そしたらソイツも二つに分かれて消えていった。


「サクサクジェノサイドォォ!!」


 ——俺、絶好調!


 何でか知らないが、魔断ち君ってば斬れ味が良すぎる。シータがバフ掛けてないのに幽霊普通に斬れてるし。……もしかして完成してから草刈りしかしてなかったから、血に飢えてらっしゃる?

 それにしてもやばい。良くある例えに『バターのようにさっくり斬れる』というのがあるが、まさにそれを体感している。手応えを全く感じないのに斬れてるという不思議体験。早乙女達もこんな気分だったのだろうか?


 なお、何時もの罪悪感はこれっぽっちも襲ってこない。まー、いま斬ってる奴らもう既に死んでるからね。むしろ、成仏せいやー! という気分である。


「ま、まさに獅子奮迅の活躍ですわね……」


 今までとの落差に、シータさんが少し引いてらっしゃる。なんでや! 大器晩成型な俺の才能がちょーっと開花しただけやん!


「このダンジョン。こないだの中級より俺と相性良いかもしれない」

「お陰で私達の出番がありませんが」

「そこはまぁ、今回は俺に譲って貰うって事で……」


 次にいつ今回みたいな機会がくるかわからんからな。稼げるときに稼がせて貰うッ!





「——で、正直なところどう思うよ? 魔断ち君の斬れ味について」


 明らかに斬れすぎじゃね? そりゃー、湯田が「そこらの魔剣よりも斬れる」と太鼓判押してたが、いくらなんでも自画自賛が過ぎると思ってたんだわ。


「気付いてないようですから申し上げますけど、そのカタナ……おそらく魔剣や聖剣の類いですわよ。後世に伝われば『伝説の』と名が付くレベルの」


 …………why?


 …………友人に作ってもらったおニューの刀が魔剣・聖剣の類いだった件。え、こんなお手軽にそんな『伝説の剣』的なのが出来たらマズくね?


「そう言われましても……そのカタナの刃からは、強いプレッシャーみたいなものを感じますし……」


 鞘に収まってた時は感じなかったらしい。それじゃまるで刀に意志があるみたいなんだが……いや、持ち主を蝕む系じゃないっぽいし問題ねーな。さっきヒャッハーしてたのは俺自身の意思だし。


「けどシータにプレッシャーかけるとは許せん。仲間にプレッシャーかける武器が何処にある」


 コツンと魔断ち君にげんこつ食らわす。俺に好意を抱いてくれてる娘に威嚇とかすんなよな!


「あら?」

「どした?」

「いえ、そのカタナからのプレッシャーが消えた、と申しますか……」


 ついでにコボルト君ちゃんさん達もウンウンうなづいてる。彼らも威嚇されてたんだな。



 ……つーか、まじで意志があるんすか相棒よ。




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