スケルトンの腕力ってどこから生まれてるんですかね?
心なしかシュンとなってしまった相棒だが、その斬れ味に変わりはなかった。
敵が魔術を使うには詠唱が不可欠なのだが、俺の素早さと相棒の斬れ味が合わされば発動前に斬って捨てる事が可能だ。なんかこの調子だと魔術とかも斬れそうな気がするのは気のせいか?
それにしても絶好調だ。後で反動が来そうで怖いな。筋肉痛とか筋肉痛とか。帰ったら即マッサージしないと。
「そういえば、リュージ。このダンジョンに来てから気配遮断使っていませんわね?」
「大した理由じゃないが……せっかくの刀デビューだし格好良く決めたいじゃん?」
気配遮断で後ろから斬りかかるとか、どこの辻斬りだよ!! って話だしな。みんなの作ってくれたこの刀で卑怯な真似は出来るだけしたくない。
あと、いつまでも気配遮断に頼ってたら技術が上がらないんだよなー。急所狙いしかできないってのは戦術的に幅が狭過ぎるっつーか。暗殺者一直線というか……。職業暗殺者な斉藤には悪いが、あんま良いイメージが無いんだよなー。いや、雑魚狩りとかで効率的なのは分かる。でもそれだと強敵とか弱点突けない敵が出て来た時に困るだろ?
「それに、もう少しで何か掴めそうなんだよなぁ」
「剣術が使えるようになる前兆か何かでしょうか……?」
「んー、どうだろうな。よくわからん」
でも、何となく刀をどういう風に振るえばいいかってのはわかってきた。剣術スキルのおかげか、はたまた相棒のおかげなのか。
「——と、お客さんみたいだ」
俺たちの進行方向に、鎧を着たスケルトンの剣士が数体。初めて実体のある敵だが……ここ、アンデットの巣窟か? たしかダンジョン名が「かたこんぺ」とかいう金平糖みたいな名前でうまそーとか思ってたけど、なんかイメージとちがう。
*
カタカタと骨を擦り合わせながらスケルトンが振り下ろした剣を刀で受け止める。……お、重い。筋肉無い骨だけのくせにどっから生まれてるんだこの力!
「ぐぐぐ……やべー、かも」
コボルト君ちゃんさんも他の骨相手で手一杯。期待できる助力はシータのバフくらいだが、付け焼き刃な気がする。な、なんとか攻撃を凌がないとぉぉっ!
「クカ、クカカカカ」
焦る俺にスケルトンが骨を震わせ笑う。おいこら骨、人を嘲笑ってんじゃねぇよ!
「おりゃあっ!」
怒りを力に変えて何とか剣をはじき返しつつ、奴の胴体に蹴りを放って距離を離す。今回は何とかしのげたがそう何度も続くもんじゃねぇぞ、これ。
「何か無いか……」
剣を斬れれば、剣ごと骨も斬れるだろうになぁ……それをするには腕力が足りない。っつーか、そもそも刀って腕力で使うもんだったっけ? 前になんかで違うって聞いたことがあるような……。
「カカカカッ!」
俺が思考に時間を割いている間に再接近してきていた骨が再び剣を振り下ろしてきていた。うをっ!?再び刀で受け止めたのだが、ふと重心をずらしてみた。
「クカッ?」
するとどうでしょう! 面白いくらいに楽々と骨の剣が刀の上を滑っていく。当然バランスを崩す骨。
よっしゃぁぁぁ! チャンス到来ッ!!
その隙を逃す俺ではない。剣を滑らせた勢いで一回転して、振り向きざまの勢いで骨を鎧ごと一刀両断した。……なるほど、力に力で対応しちゃいけないんだな。また一つ賢くなったぜ俺。あとこの重心をずらすやつ、めっちゃ使えそう!
ちょうどコボルト君ちゃんさんも戦闘を終えたようだ。あっちは思っくそ腕力で骨を砕いたみたいである。粉々になった白いのと鎧が見える……ラブリーわんこ以下か、俺の腕力。
「リュージ、お疲れ様です! ところで先ほどの技は何ですの!?」
すごいじゃありませんか! と寄ってくるシータ。うむ、気分が良いなぁ!




