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路地裏の錬金術師 〜魔境のような村から出てきた錬金術師〜  作者: Ruqu Shimosaka
二章 前編

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コバルトガラス−1

 アレックスは朝起きると一緒に寝ていたメグが起きるのを待つ。

 メグが起きたらお互いの髪を梳かすのが朝の日課になった。

 メグの髪は肩ほどの長さなのだが、それに比べアレックスは肩より下にまで伸ばしているので髪を梳かすのが大変だ。

 しかもオーガの角を隠す必要があるので結ぶのが難しい。


 以前に髪を梳かすのが大変ではないかとメグに伝えた事がある。

 メグからは逆に触っていて気持ちいい髪なので、梳かすのは絶対に辞めないと拒否された。

 メグが気に入っているならと髪を梳かすのは任せている。

 アレックスの髪は黒髪で光によって見え方が青や紫に見え、癖のない髪質をしている。髪を梳かして貰う場合は、身長が百八十センチあって、メグより十センチは大きいので椅子に座っている。


 アレックスは髪を整えて貰ったら、交代でメグの髪を梳かしていく。

 メグは青色の強い銀髪で少しだけ癖がある。メグは髪を結んだりしないので、髪留めで動く時に邪魔にならないように髪を留めたら終わりだ。


 身支度が終わったら三階にある部屋へ向かい、大雀の二羽の様子を見にいく。

 アレックスの相棒のピュセーマと、メグの相棒のアネモスは起きているようだが、仲良く一つの巣でくつろいでいる。

 大雀は人を乗せて飛ぶ程に大きく、体を起こせば体長は三メートル近い。翼を広げると九メートル近くなり、とても大きくなる鳥類だ。


「ピュセーマ、アネモスおはよう」

「チュン!」


 アレックスとメグは、ピュセーマとアネモスを触って体調に問題はないか確認していく。

 嘴や足などを確認して、羽根に問題がないか触る。羽毛に包まれた大雀は暖かく触り心地がとても良い。

 見た限りは体調に問題がないようだ。

 餌と水を取り替えて、二羽への朝の挨拶は終了だ。


 一階へ降りて店の開店準備をする。

 準備と言っても特にする事はなく、玄関の鍵を開けるだけだ。

 店の扉を開けて外を確認すると、店の前は馬車は通れる広さはあるが、他の大通りと比べれば随分と細い道だ。

 道は細いが、店があるのはオルニス王国の王都ヴェジストだ。店を開くのであれば普通は大通り近くを選ぶ。しかしアレックスが店を出そうと選んだ場所は、再開発地区に指定されている特殊な地区だ。

 再開発地区は本来なら住むことは難しいのだが、人伝に物件を買えば住めるようだ。


 引っ越してきてから知った事を思い出す。

 地区に住んでいる普通とは違う亜人たちの特殊な事情から、店のある地区は再開発が進んでいない特殊な場所になっている。普通は住んではいけない場所なので、この地区に住んでいる住人たちからは隠語として路地裏と呼んでいる。


 何故アレックスが大通りではなく路地裏で店を開く事になったかというと、田舎の村から錬金術師の国家資格を取りに王都へきたのが理由だ。

 錬金術師には国家資格をとった後に王都での最大五年の活動期間が義務付けられている。

 五年の活動期間は国からの依頼を受ければ減らせる為、可能な限り減らして田舎の村に帰る予定だったのだ。

 帰る予定ではあったが、メグと付き合う事になって帰るかどうかは決めかねている。


 事情が事情なので、店は特に宣伝らしい事もしていない。

 今後は分からないけれど、今のところは知っている人が来るだけの隠れ家的な店になってしまっている。

 店はまだ開店して間もない事もあって商品は少なめだが、置いてあるのは錬金術で作り出したポーション各種と、能力を付加する前のアクセサリーなどだ。

 後は錬金術を必要とする付加や魔道具製作の注文が入れば、材料と値段次第で仕事を請け負う事にしている。


 普通だったら店を出したばかりであれば、お金を必死に稼がないとダメなのが普通だが、お金は一ヶ月ほど前に大金を手に入れたので急ぎ稼ぐ必要はない。

 なのでのんびりと店を経営している。

 店の横にある厨房と錬金工房が一緒になっている場所で朝食を作って、メグと一緒に朝食を食べる。


「メグは今日はどうする?」

「採取してくるつもり。帰りに祖母に会いに行ってくる」

「そういえばニコルさん以外の挨拶って、まだ日程が決まらないのかな?」

「日程について聞いてきてみる。でもまだ決まっていないかも。随分と祖父が忙しいみたいだから。父と母は普段から祖父の手伝いをしているから一緒に忙しいみたいだし……」

「時間は一杯あるから決まったらで良いよ」


 アレックスはメグの祖母であるニコルさんには挨拶ができているが、他の親族とは会っていない。

 なので挨拶をしたいと伝えたのだが、すでに一ヶ月が経っている。

 メグの祖母と祖父は騎士で、祖父に関しては騎士団で要職についていると聞いており、騎士団の仕事が随分と忙しいようだ。

 今のところ挨拶は先延ばしにされている。


 先延ばしにされている事については、ニコルさんとメグから謝罪されている。

 会う事を拒否されている訳ではなく、仕事が忙しいだけであればアレックスとしては気にしていない。

 メグとしてもここまで会えないのは珍しいと言っており、定期的に確認するためニコルさんの元に行っている。


 両親に挨拶をしていないのに、メグが店に住んでいるのはニコルさんからの許可が出ているからで、許可なく家を出た訳ではない。

 メグと同棲して良いか聞きに行った時に、ニコルさんが随分怒っていた様子だったのは気のせいだと思いたい。アレックスに怒ってきた訳では無いので、会えていない他の親族への怒りだったかも知れない。


 メグは朝食を食べ終わると、採取に行ってくると言うので見送りをする。

 一緒に店の外に出ると、アネモスを呼び鞍を取り付け終わると声をかけてきた。


「暗くなる前には戻ってきます」

「分かった。気をつけて」


 アレックスとメグは軽くキスをする。

 アレックスが見守る中、メグの乗ったアネモスは羽ばたき飛んで行った。


 メグを見送った後は、のんびりとアクセサリー作りをする事にした。店番は居ないが、店の扉に鈴を付けて、来客があれば気づけるようにしている。

 アクセサリー作りをしていると、トロールが日焼け止めを買いに来たり、ギルド員が一人ポーションを買いに来た。

 夕方近くなったが、今日の客は二人だけだった。

 流石にこれで店員を雇ったら完全に赤字なので、雇うのは当分無理そうだと苦笑するしかない。


 家の改装で一ヶ月、店を開いて大体一ヶ月なので、そろそろ住み慣れてきた事もあって、国からの依頼を受ける事も考えた方が良さそうだ。

 今度どのような依頼があるのか調べに行ってみよう。

 晩御飯は何を作ろうかと考えていると、玄関の鈴が鳴る。来客かと錬金術をしている工房から顔を出すと、店の中に居たのはメグだった。

 どうやら言った通りに暗くなる前に帰ってこれたようだ。


「メグ、おかえり」

「ただいま。アレックス」

「晩御飯をどうするか丁度考えてたんだけど、何がいい?」

「祖母が晩御飯を食べながら話したいって言ってたんだけど、アレックスは一緒でも問題ない?」

「ニコルさんと晩御飯? 問題はないけど何かあったの?」

「また依頼を頼みたいって」


 アレックスは以前に依頼された、トロールの日焼け止めのような依頼がしたいのだと理解する。

 今回も亜人特有の問題かもしれない。錬金術で作れる物であれば受けても問題ないだろう。

 ニコルさんから依頼についての話を聞きたいので、メグの家に向かう事にする。大雀の二羽が夜中に飛行するのは危険なので、留守番をお願いしに行く。

 三階の部屋で事情を説明すると、二羽は了解したと言うように鳴き返してきた。

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