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路地裏の錬金術師 〜魔境のような村から出てきた錬金術師〜  作者: Ruqu Shimosaka
一章 路地裏の錬金術師

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ワイバーンの革鎧−Side メグ

 メグは暇があればアレックスの店に行って、二人で過ごしたりするようになりました。

 今日のアレックスは作業に集中しているようなので店番をしています。

 店は流行っているとは言えないので、どうしても考える時間が多くなってしまいます。


 初めて店を見学した時、スーザンおばさんにアレックスへの想いが知られてしまった時はどうなるかと思いました。

 ですがスーザンおばさんが、亜人をどう思っているか態々聞いてくれ、アレックスがオーガの亜人である事を聞き出してくれたのはとても助かりました。


 その後に祖母にアレックスへの好意について話されてしまったのは想定外です。

 スーザンおばさんと祖母の仲の良さを知っているのだから、先に止めておくべきでした……。

 祖母から呼び出されて色々と話を聞かれました。

 元々助けられたことは伝えていたので、祖母の反応は悪い物ではなかったのですが、路地裏に錬金術の店を構えるのなら一度会って依頼を頼みたいと言い始めます。


 アレックスなら会った時に国家資格を取ると言っていたのに、すぐに店を開いたと言うことは国家資格を取ったと言うこと。

 錬金術師として依頼を出すことは問題はないでしょう。

 問題があるとすれば、店が改装中なので錬金術師として仕事を受けられるか分からないと祖母に話しました。


 祖母は少し悩んだ後にトロールの日焼け止めであれば、錬金術を使わなくても作る事が可能だと言い始めました。

 日焼け止めの詳しい作り方を尋ねると、祖母の言う通り錬金術を使わなくても製作は可能そうでした。

 問題があるとすれば素材が簡単には手に入らないと言うことです。


 採取に行かなければならない問題点を指摘すると、祖母からどう言う相手なのか見極めてこいと言われます。

 つまり採取に同行しなさいと言う事だと理解しました。


 過去の事を思い出していると、錬金術の工房になっている部屋からアレックスが出てきました。


「メグ、お客はそうそう来ないから店番は適当で良いよ? 暇じゃない?」

「確かに人は来ないけど、アレックスに二回目に会ってオーガだって聞いた事や、トロールの日焼け止めを依頼した時の事を思い出していたから」

「オーガの話か。オーガである事は兄弟子から言うなって止められてたんだよ」

「王都でも亜人は珍しいから、それで正解だと思う」

「そうなのか」


 亜人についてアレックスと話した後に、メグは騙してしまっていたような申し訳なさがあって、トロールの日焼け止めの製作依頼をした本当の理由をもう一度話します。

 アレックスは以前に聞いた事なので気にしないと言ってくれました。

 ですが、どうやって一緒に採取に行くつもりだったのかと尋ねて来たので、せっかくなので、色々とアレックスに話をしていきます。


 アレックスについて行くために祖母が考えた方法は、地理が分からないだろうと案内をする事になる前提でした。

 祖母の考えは成功して一緒に採取に向かう事になります。

 そこからは案内をして現地に向かって、採取自体は簡単な物でしたが、男性と二人きりの野宿は珍しいため、緊張していましたがアレックスは紳士的で何事もなく乗り切りました。


 実は少し思いがけない出来事が起きないかと、期待していなかったと言えば嘘になります。

 最後にダンジョン発見という思いがけない事は起きましたが、ダンジョンは期待していた出来事では無いですね……。

 トロールの日焼け止めの依頼を終えて、祖母からの評価も良く好きにすれば良いとは言われました。


「メグも緊張してたのか」

「ええ、もしかしてアレックスも?」

「ギルドは依頼を出したり、情報収集に使っていた程度だから、ギルド員として活動した事はあまり無いんだ」

「そうなんだ」

「ニコルさんからの私の評価は良かったみたいだけど、依頼の後はメグと会っていないよね?」


 メグは再び続きを話していく事にします。

 祖母の評価が良かった事もあって、アレックスに会いに行こうと思っていましたが、改装作業が忙しそうな事もあって邪魔しては悪いと会いに行きませんでした。

 なのでギルドで会ったのは本当に偶然です。

 アレックスがギルドで依頼を出すことを知って、アネモスを助けて貰ったお礼を返したいと依頼を受ける事にしました。


 鍛冶屋への案内に関しては路地裏の住人からの紹介であれば、初対面の人でもザックは特に親身になってくれる事は知っていました。

 ザックは気のいい人なので初対面でも身構える事はありませんが、やはり紹介があれば対応が少し違います。

 初対面の人にミスリルまで作り始めたのは驚きましたが、簡単にミスリルを作れるのは知っていたので、ザックであればそのような事もあるかと納得しました。

 そこまでは普通の日だったのです。そこまでは。


「確かにその後は予想外だったかも」

「メスのアネモスが求婚の鳴き声を上げると思いませんでした」

「あれは驚いたな。故郷で飼っている大雀でも聞いた事ないよ」

「アネモスはそこまで積極的な性格ではないので本当に驚きました」


 メグも以降の話は恥ずかしくてあまり喋りたくないのですが、せっかくなので話を聞いて貰います。

 正直アネモスの鳴き声に当てられた所があって、今思い出すとかなり強引に行ってしまった気がします。


 部屋が余っているので泊まるかと聞かれて、動揺したのを今でも昨日の事のように覚えています。

 そこからベッドをどちらが使うかと言う話になって、お互い譲りませんでした。


 そこから落ち着こうと、アレックスがお茶を取りに行ったのを覚えています。

 一人になって色々と考えていると、以前ギルドで女性の懇親会を作った時、戦闘系のギルド員は女性から男性に積極的に接触する事が多いと、聞いた事を何故か思い出しました。

 それからよく分からない覚悟が決まって、一緒に寝ようと誘った気がしますが、よく覚えていません。


 ですがアレックスが困っている隙をついてキスをした事は覚えています。

 キスをしたら抱きしめられて幸せだった事も今でもはっきりと思い出せます。

 あの日告白をするつもりがなかったので、何も考えられなくて好きだとしか言えませんでした。

 告白をした後、アレックスの返事を待つ時間がとても長く感じました。同じように好きだと言われた後は本当に幸せでした。


「確かに何も考えられなかった。今考えると短いな」

「やはりアネモスの求婚の鳴き声に当てられたのかもしれません」

「確かに私もそれはありそうだよ」


 メグはアネモスのおかげで、アレックスと付き合う事ができたと実感してきました。

 アレックスにアネモスの事を話すと同意します。

 高級な食事かピュセーマとの生活で使えそうな物を用意して、お礼をする事に決めました。


 何を送るか二人で話していると、アレックスがメグにも贈り物をしたいと申し出てきました。

 髪飾りや指輪などのアクセサリーを既にもらっているので、貰い過ぎだと断ろうとします。

 すると実用的な防具だからと作らせて欲しいと言われます。

 防具を作ると言うことは、体の寸法が必要になると言う事です。


「防具という事は体を測るんですね?」

「私に測られるのが嫌だったら防具店にお願いするけど」

「嫌ではありません。少し覚悟がいるだけです」

「覚悟が出来たらで良いんだけど、ワイバーンの革が余っているからメグの防具を作りたいんだ」

「ワイバーン!」


 メグはアレックスが作った綺麗に装飾されたワイバーンの防具を思い出します。

 完成した防具はとても綺麗でした。

 実用品である事を考えると、あそこまでの物は必要ありませんが、ワイバーンの防具と言うだけでもギルド員としては夢みる装備です。


 そんな事を考えていたら、気づいたら体を測る事を許可していました。

 知られてしまう恥ずかしさより、ワイバーンの鎧です。

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