ep.11 promise 「約束」
少女がハイルの前に飛び出る。
「なっ!?」
その髭おじは少女のとっさの行動に驚いた。大剣を寸前で止める。
「てめえ、このガキはどうした?」
髭おじはハイルに異様な殺意を向ける。
ハイルは何も言えなずにいた。少女が先に口を動かした。
「ケンカだめ!」
ハイルの前に立ち、両手を大きく広げた。
髭おじは少女の守ろうとする動作に感心を抱いた。
「お嬢さん、ガキって呼んで悪かった」
「きらい」
「ぐっ. . . 」
髭おじはその言葉に深く傷ついた。けれど、今はそんな場合ではない。目の前の男が視界にいる限り殺意が続々湧いてくる。
また何か口にしようとしたが、そこに灰色の髭を生やしたおじさんが少女達の前に現れた 。
「レイン、お前は戦士だ」
「戦場以外の殺しは控えろ」
髭おじは村長の声を聞いた途端に口にするのをやめた。
「. . . 失礼しました村長」
髭おじは感情を押し殺してその場を去った。
どうやらそのおじさんはこの村の村長のようだ。背丈は先程の髭おじよりも高く、顔の至る所に傷跡が沢山ある。まるで長年戦場を渡り歩いた老人だった。
村長はハイルの瞳を見る。
「久しぶりだな、ハイル」
「. . . 」
「あの頃のまんまだ」
村長は悲しい目をしていた。
「何故ここに来た」
「っ. . . 」
ハイルは子供たちの方に目を向ける。
村長はここへ来た目的を理解し、村の案内を始めた。
「来い」
村長に付いて行く途中不思議な物を沢山目にする。
1つ目、上を見上げると円盤状に育ったであろう大きな枝の木が数十個見えた。よく見るとその枝の上には建物がある。どんな建物なのかは上に登らないと分からない。
2つ目、地面に所々に小さな木がある。何が不思議かと言うと、その木から生えている奇妙な実が光輝いていた。
カボチャの様な特徴をしているが違う点として白く光っている。
3つ目、何故一度も光が差し込まないこの地にこれほどの大きさの樹木が育ったのかである。この樹木が一番謎めいているといっても過言ではない。
恐らく村長と特定の人物だけが知っている可能性がある。
少女はそんな不思議に興味を示すも今は我慢だ。とにかくハイルがまた喧嘩にならない様に見張って置かないとね。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ハイル ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「. . . . 」
俺は何故この場所にいる?
「. . . 」
俺は何故まだ生きている?
「ユウリ. . . 」
「何か言ったか?」
「何も. . . 」
(いっその事. . . )
突然目が眩み頭を抑える。
「っ. . . 」
とある女性との記憶が蘇る。
「約束. . . 」
男女が崖の上で雲を眺めている。
「ねえ、もしあの雲が消えて空が見えるようになったら. . .」
「ハイルの心も晴れるかな?」
「. . . 分からない」
「何でそんな真面目に考えているのよ」
「ユウリは. . . 」
「な〜に?」
「ユウリは空が見えるようになったらどうするの?」
少し考え込んでからハイルの質問に答えた。
「この世界を旅したい」
「勿論君も一緒だよ」
「んっ. . . 」
「嫌なの?」
「そうじゃないんだ」
「君を守れるかが心配何だ」
「知らない場所だから何が起きてもおかしくないし. . . 」
「その言葉は本音?それとも父さんの命令?」
「んっ. . . 」
「相変わらず素直じゃないんだから」
「うっ. . . 」
「ねえ、約束してよ」
「何を?」
「ずっとそばに居るって」
現実に戻る。
「. . . 」
(生きる意味. . . )
「おじさん!」
少女は花の王冠を持ってきた。
「これあげる!」
「. . . 」
ハイルは自分の頭に少女が花の王冠を置けるようにしゃがんだ。
「はい!」
「ありがとう. . . 」
「えへへ、どういたしまして」
少女は颯爽と花を積みに行った。
少女の後ろ姿は誰かを思い出させる。
「ユウリ. . . 」
「ずっとそばに居るよ」
その様子を見た村長は何かを決心したようで、ハイルに声を掛けた。
「ハイル、話がある付いて来い」
ハイルは村長と共にどこかへと姿を消えてしまった。
つづく




