ep.10 hidden village 「亡霊の故郷」
兄弟と別れて少し時が経つ。少女はしゃがみ込む。
「あし、いたいよ」
少女の足では追いつくだけでやっとのようだった。
ハイルは少女を抱える。
「ありがとう!」
ハイルは感謝され、少年の方に目を向けた。
「自分で歩ける」
少年はそう言いつつも、強がっているのが一瞬で分かる程に足が震えている。
「無理するな」
「わ、分かったよ」
少年は両手を挙げてハイルが持ち上げてくれるのを待った。
しかし、両手が塞がっている為、どうすることも出来ない。
「登れ」
「うっ. . . 」
少年は恥ずかしさと残念なさでよじ登る。
ハイルは結局荷物と子供達を全部背負うことになった。
道を進むと一つの大きな樹木が半径500mほどの大きさで地を埋めつくしているのが見えた。
その樹木は一際異彩を放っており、灰色だらけのこの場所で珍しい緑色の葉を生やしている。
「着いたぞ」
そう言ったものの目の前は葉とツルで壁の様にギッシリと塞がれている。
「どうやってはいるの?」
少女がハイルに問う。
「周りの獣を狩る」
その時ハイルは木に隠れていた獣達を次々に狩り始めた。
バン バン グサッグサッ グシャ
木が次々に倒れ込んで落ちてきた獣の正体が露になる。
「キエエエエエエ!」
そこにいたのは、背中から無数の針が飛び出ている、猫のような生き物の亡骸があった。
少年は事前に少女の目を手で隠している。
ハイルが獣を一掃して戻ってきた時。
葉が動き出して固く縛りあってたつるが綺麗に真っ直ぐに下に伸び、中に入る事ができるようになる。
「行くぞ」
「うん」
三人は葉の中をすり抜けて樹木の中に入った。
中はとても神秘的で辺り一面緑で覆い尽くされている。
「わああ、すごい!」
少女は好奇心のあまりハイルから離れる所だった。しかし、何とか抑え込む。
「んんん!」
家がある所まで足を進ませると人が見えた。
その人もこちらに気づくなり、険しい表情でこちらに近ずいて来る。
「名は?」
「ハイル」
名前を聞いた村人は少しだけ考え込んだ。
ハイル「こいつらだけでいい」
村人は子供達の方に目を向ける。
「分かった」
その話を聞いたハイルは子供達を村人の方へ行かせようと目を向けたが、子供達は首を横に振る。
「いやだ」
「一緒に来ないなら行かない」
どうやら二人共ハイルがいないと安心できないようだ。
「ん. . . 」
ハイルはとても困った。空っぽな頭を頑張って回転させる。
そんな困った様子の彼を見た村人が話す。
「もういい、君も入って良いぞ」
「. . . . 」
ハイルは無表情だが村の中に入るのを拒みたいように感じる。まるでこの後に何が起こるか分かっているようだった。
「いいのか?」
「ああ、君の事は村長から聞いてる」
どうやらハイルとこの村には繋がりがある様だ。
「そうか」
仕方なく一緒に同行する事にした。
進んで行くと人が沢山見えて来る。大人達の容姿は普通だが、子供達は異様だった。生き物の頭蓋骨であろう仮面を子供達皆被っていいる。
その光景を見た少女は興味が湧いた。けど、少年と似たような仮面を被っていた為そこまで驚くことは無かった。
とても賑わっていて、温かい空間が目で伝わる。
住民達は三人に気がついた。その中のハイルを見た途端に賑わっていた村人達の表情が怒りや哀れみと悲しさで別れ始める。
村人達はハイルの何かを知っている様子だった。しかし、それが何か分からない。
そこに番人らしき人が来る。
見た目はボサボサな髭を生やしており、顔には引っ掻き傷が見え、バイキングのような姿をしていた。
左手には大剣を握っている。
「久しぶりだな、亡霊」
その目には殺意と悲しみが宿っていた。
そして、ハイルを睨みつける。
次の瞬間、大剣を握り締めハイルに飛び掛った。
「重罪人よ、儚い灯火はお前のようなヤツによって簡単に消される」
その人は何故か涙を流し初める。
そして、容赦なくその大剣を振るった。
「. . . 」
ハイルは何もせずにゆっくりと目を閉じる。
つづく




