第20話 「こんなにすごいものをもらってよいのだろうか。 ――」
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俺の前にはぼさぼさの白髪に伸ばし放題の髭、服装だけはきちんとしている違和感がすごいおっさんがいた。おっさんだ、じいさんではない。ただ,オーラだけは神聖なのもその違和感に一役買っている.
「おい、どうした。早く座れよ。全然起きねえからよ、待ちくたびれたぜ。まさか、1年も起きねえとは思わなかったぜ。まあ、いくつも進化をぶっ飛ばしてんだからしょうがねぇけどな。」
「……は?」
どうしたって?というより1年も寝てたのか…。進化にそれだけかかったってことだよな。いくつか飛ばしたとも言ってるが、わけがわからない。
どうやら根源種よりも一つ上の超越種とやらになったことで余計に時間がかかったのかな。まあいいや。そもそも時間なんて俺には関係のないものであるし。
「――おい。もういいか?お前が起きるのを待っててやったのだ。お前のためにな。俺だって忙しんだから,とりあえず俺の話を聞け。お前のことだから、しっかり聞いてくれよ。」
なんだこのえらそうなやつ。ていうかなんでここにこいつがいるんだ?だれかわわかるが,俺は最下層で待っていると聞いていたんだが?俺が寝ている1年の間に来たのだろうか。
困惑してリオウのほうを見ると、リオウはフッと笑って、男のほうをあごでさす。
おっさんは,それで何かわかったのか,手のひらを打って話す.
「そういや、俺の自己紹介をしていなかったな。まずはそこからだったな。俺はオーリィンだ。かたっくるしいのは嫌いだから、敬語なんかは不要だぞ。楽にしてくれ。」
?オーリィンだったっけ?最下層にいるっていってたのもこいつだったはずだよな?寝続けたからか頭が回らない.
俺がうんうん唸りながら考えていると、リオウからの助け舟が出た。
「父上、こやつは一年も寝ていたのです。記憶も定かではないのでしょう。名前だけでは、分かるものも分からないというものです。」
「ん?おお、ああ。そういうことか。じゃあ、しっかりするか。俺は戦争と死の神オーリィン。お前をこの世界に連れてきた張本人でこの世界にいる。最上級神のうちの一人だ。お前の世界でも少しだけ活動していたんだが、知らないか?」
オーリィンってのは知らないな.オーディンなら聞いたことはあるけど。名前は似てるけど。それより、こいつが俺を連れてきたって言ったな。なんのためにかもわからない.それは俺じゃないといけないのか?わからんことだらけだ。
「困惑しているだろうが、落ち着いてくれ。順を追って話すから。」
「あ、ああ、わかった。あんたが神だってこともわかった、俺に加護をくれた神だろ?それはかなりありがたかった、さんきゅーな。それじゃ、話してくれ。」
さんきゅーってのは軽すぎる気もしたが咎められもしなかったし,礼の言葉に少し場の雰囲気が柔らかくなったようで、オーリィンはリオウに目配せをして俺を席につかせる。
素直に座ってオーリィンの次の言葉を待つ。一度深呼吸してからオーリィンは話し始める。
「まずは、この世界にきてくれてありがとう。君に記憶は無いだろうが、君は地球というところで生きていたんだが、大きい地震があって亡くなったんだ。「え?やっぱり俺死んでたの?」まあ、まて。先に話させてくれ.それでな,君をこの世界に連れてきたのは、俺の部下の仕事を手伝ってもらいたくてな。それで,質問があるならどうぞ.」
質問の許可が出た.
「俺は死んでいたのか。死んだのをこの世界に連れてきてくれたのか.あんたがこの世界に連れてきてくれたから生きているんだな。ありがとうと言うべきだろうな.ところで仕事って言うのはなんだ?俺にできることなのか?」
俺の質問にオーディンは真剣な顔をして答える。
「お前、ちょっとものわかりよすぎないか?まあ、受けてくれるならうれしいからいいけどよ。んで、仕事ってのは、死神の仕事のことでな、早い話が、アンデットと呼ばれる存在を狩ってほしいんだ。」
アンデットね...てか、俺もアンデットじゃないか?同族狩りって罪重くないか?
俺が、悩んだそぶりを見せると、オーリィンが訂正する。
「一応訂正しておくが、お前はすでにアンデットの枠にはいないからな?お前はすでに神の一歩手前だから、スケルトンよりもはるかに高位の存在だ。超越種は、現在お前とブラフのとこのやつだけなんだよ。だから、安心して狩ってくれ。」
ニカッと笑うオーリィンに若干引いたが、俺は気持ちを切り替えて話を戻す。この体になってから気持ちの切り替えが
「それで、具体的な話を教えてくれ。」
「ああ。まず死神の仕事は、死んだ魂の回収をすることだ。ふつう死んだら魂は、天界まで行って死神が処理するんだが、アンデットてのは魂を現世に残すことで形を成り立たせる。だから、お前にはそれを昇天させてほしい。といっても、アンデットができるのは、怨念のこもった死体による自然的な発生か、死霊術士などによる強制的な発生に限られる。だからといって、お前にはわざわざ探してまでってわけではなくて、見つけ次第って感じだ。気ままに生活しながらでいいよ。」
俺は言っている意味は理解したが自分にできるかがわからなかった。それを言おうと口を開くと、声を出すよりも早くにリオウが発言した。
「スケルトンよ、貴様が不安に思うのもわかるが、その不安は感じる必要はないものだ。貴様はすでに、ほとんどの生ける者よりも強い。仮にも我に勝ったのだ、誇れ。それに我から貴様にプレゼントもあるからな。万に一つも負けることはないだろう。」
「プレゼント?何をくれるんだ?」
これだ、といって、リオウがとりだしたのは、リオウだった。
「どういうことだ、リオウが2人?いや、片方は死体か。俺が倒した方がこっちか。脱皮でもしたのか。」
リオウは俺のほうを見ながらフフッと笑って答える。
「おもしろいことを言うな。我が進化し,真の聖獣となったことでできた抜け殻のようなものだ。我の弱体化以前の力も貴様なら使いこなせることも直感的にわかった。貴様の力のことなら父上より聞いたのでな。そのような力初めて聞いたぞ。スケルトン種でもまれな力である.」
リオウが言う力とは〔万能骨格〕のことを言っているのだろう。
俺の力は珍しいのか。でも〔骨の王〕のスキルを持ってるはずの死神も同じじゃないのか?
そのことについて聞くと、今度はオーリィンから返事が返ってきた。
「〔骨の王〕ってのは、所持者の素質の要素が強いんだ。だから、着用者であるお前は着たりすることができるんだ。お前のそれは、前世の職業によるものが大きい。」
俺の前世ってなんだろう?俺の記憶にないのだからわからないが,とりあえずくれるっていうリオウの死体をしまう。その時に気が付いた。なんだか温かいな。安らぐというか何だろうか。オーリィンのほうを見るとニヤリと笑って自慢げに言う。
「完璧に処理をして、お前専用装備にしておいた。それはお前にしか使えない最強装備だ。スキルもそのまま使えるようになっている。かなり有用だぞ。ぶっちゃけ神獣が増えるようなもんだ.存分に使え。」
こんなにすごいものをもらってよいのだろうか。
――って、結局,俺の前世の職業ってなんだ?
まだおしゃべりしましょう
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