第34話「予定」
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≪職業経験値を獲得しました。職業『モンスターマスター』のLVが17に上がりました≫
名前:ニカイドウ ツバサLV4
種族:ヒト
HP115/115
ATK17
DEF9
経験値196
スキル
無し
職業
モンスターマスターLV17
仲間13/29
・アーサーLV21 経験値7766
・ラムレイLV17 経験値5101
・スラタロウLV15 経験値2544
・猪八戒LV14 経験値3050
・タニグチ ヒカルLV13 経験値2626
・デビルLV9 経験値536
・デビルLV9 経験値525
・オークLV5 経験値234
・ゴブリンLV3 経験値132
・ゴブリンLV3 経験値132
…………その他3体。
職業スキル
魔物使役、魔物合成、魔物鑑定、魔物武器化
戦いの流れなど、わざわざ説明するまでもないだろう。
以前に何度もやりあった際と同じく、俺達のパーティーの勝利で戦闘は終わった。
スナッチによる仲間可能最大数は、レベルアップ毎にどんどん増えていっている。それは、つまりパーティーの規模はその都度上がっているというのと同意だ。
古参の魔物達のかなりLVが高くなっているし、今はランク☆☆のオークも仲間にいる。
更に、今回の戦闘で二人目のオークをスナッチすることが出来た。ランク☆☆の魔物が相手でも『魔物使役』が通るなら、数時間前に一戦交えたあの『強オーク』も最早敵ではないと言えよう。
「すみません。先輩方のLV上げを邪魔してしまいました」
「いえ、それは特に気にしていませんが……」
「本当にあの数の魔物を倒しちゃった! 翼くんすご〜い!」
小さくなったパン子先輩が、俺に羨望の眼差しを向けてきた。
「いやいや、俺が凄いんじゃないですよ。戦ってくれたみんなのおかげです」
実際、モンスターマスターの職業とそのスキルが無ければ、この状況下で俺に出来ることはごく限られていた。本当に運が良かったという他ない。
いや、もし俺に何の力も得ることがなかったら、もっと慎重に動いていたとは思うが。
「校門前の魔物は一掃しちゃいました。どうです? このまま校外に出ちゃうとか?」
「外が安全区域だったら、そうしたいのが山々です。しかし、どうやらここ以外でも騒動は起きている様子。ならば、下手に動き回るのは得策ではないでしょう」
「あれ? でも、体育館では一刻も早く外へ物資を調達に行きましょうって、会長さんと話し合いしていませんでしたっけ?」
確かそんな話をしていたはず。
うろ覚えだけど。
「あれは、校内の人達を助けるためだったからねー。でも、今はもうそれどころじゃないしー」
「こうなる前に取れる手は打っておきたかったのですが、起きてしまったことは仕方がありません。今私達が出来ることをやっていきましょう」
「ふーん。しかし、パン子先輩がこんな事になってしまいましたけど、このまま行動しても大丈夫なんでしょうか?」
スキルの反動で、パン子先輩の身長は小学生級のサイズとなってしまった。
アリサ先輩の話では、『エネルギー』を摂取すれば元に戻るそうだけど。
「手持ちのお菓子がもう無くなっちゃったんだよねー。どこかで食べ物を手に入れないと」
「それでしたら、食堂から持ってきた食料がありますよ。取り敢えず、ちくわは持っています」
俺は、アーサーが食べてくれなかった例のちくわをちっちゃなパン子先輩へ手渡した。
パン子先輩は「ありがと!」とお礼を言うと、ちくわをモグモグと食べ始めた。
……ボワンッ!
「元に戻ったー!」
「ええええっ。そんなにあっさりと戻れるんですかぁ!?」
「でも、さっきみたいな必殺技は使えないと思う。もっとエネルギーを摂取しないと」
「二階堂くん。貴方が手に入れた食堂の食料は、何処にあるんですか?」
「拠点にしていた一階の茶道室です。でも、蜘蛛の巣バリアで今は通れなくなっています」
あの蜘蛛の巣を解除するには、リリーを見つけ出すしかない。でないと俺は、今日の晩飯が無しになってしまう。
やっぱり、会長見つけるよりリリーを探したほうが良いのかな? でも、何処のいるかの目処が立っていないし。
「本当に、何処いっちゃったんだろうな」
「どうかしたの?」
「あ、何でもないですよ。ところで、お二人は会長を見つけたらその後どうする予定ですか? また体育館の立て篭るのは難しいでしょう」
「元々私達は、全校生徒と先生達と共に近くの警察署まで避難することになっていました。本来ならもっと情報収集とルート確保を念入りにしてから一斉移動をするはずだったのですが……あのオーク達が現れたんです。戦いは劣勢となり、私達は予定より早く警察署へ向かうことになりました。しかし、魔物の大群に襲われ、皆散り散りに……」
「助けられそうな人を集めたら、また警察署へ向かおうかなって思っているの。生き残った人達も、今頃そっちへ移動しているはずだしね」
警察署へ避難、か。
まあ、緊急時の避難場所としてはセオリーだといえよう。おまわりさんがいてくれたら、怖い魔物からも守ってくれるだろうし。
俺は行かないけど。
(人の多い場所は苦手だ。それに、警察署なんて行ったら行動制限を設けられそうじゃないか。自由を奪われるのは御免だし、先輩方とは適当なタイミングで別れるしかないな)
身の安全より自由意志。これぞ俺のスタンス。
第一、折角こんなに面白い状況になっているんだ。出歩かないなんて勿体無い。まだまだ遊び足りないぜ!
「頭の良い会長だったら、もっと良いアイデアが浮かぶかもだけど、私にはこれが精一杯のアイデアだよ」
「十分真っ当な方法だと思いますよ?」
「とにかく、ここにいても状況は変わりません。旧校舎方面へ向かいましょう」
アリサ先輩の案に賛成。迷ったら前進あるのみだ。
そんな訳で、俺達はLV上げもそこそこに改めて旧校舎方面へ向かう。
「そういえば、翼くんはどうなの?」
「どう、とは?」
「今後の予定。こんな状況だもん。家の人とかどうしているのか、心配なんじゃないかって思って」
前に、俺がコトノハさんに尋ねたことを、今度はパン子先輩から尋ねられた。
「……自分の身の安全も保証できていない状況ですが、正直心配ですね。家の者達は何をしているのか、パパとママは無事なのか……って」
「「パパとママ?」」
パン子先輩とアリサ先輩が驚いた表情で復唱した。
「……? どうしました?」
「いや、珍しいから驚いちゃって。男子が両親のことを『パパ』『ママ』って呼ぶの」
「俺は、昔からそう読んでますよ。その方が二人共喜んでくれますから」
そんなに珍しいだろうか? 別に普通の呼び方だと思うが。
まあ、家庭内の常識って、案外他所では意外だったりするしな。シチューをご飯の上に掛けることだったり。
あれ、一般的ではないって知った時はビックリしたな。家ではそれが普通だったからさ。
「翼くんって、両親とは仲が良いの?」
「はい! 大好きですよ! 何せ俺にとって、家族こそが最も信頼出来る人達と言っても過言じゃありませんから!」
「そっかー。なら、早く帰らなきゃだね」
「しかし、俺の家は学校から結構離れた場所にありましてね。徒歩で帰るのは大変なんですよ」
「ということは、電車通学ですか?」
「いえ、迎えの車が来てくれます。今日は来ていませんけど」
時計を見れば、既に十七時過ぎ。いつもなら、もうとっくに運転手が迎えの車を寄越している時間だ。しかし、校門前にそれらしき車は無い。
こんな事態だ。運転手も流石に学校まで来ることは出来なかったらしい。
「「…………」」
「んっ?」
先輩方が黙っている。どうしたんだろう?
「……うちの学校で、送迎の車と言えばアレだよね?」
「うん。放課後になると校門前で止まっている、あの黒塗りの高級車ね」
「……翼くんの家ってさ。もしかしてお金持ちだったりする?」
「まあ、お金持ちな方じゃないですかねー。パパは政治家で、ママは弁護士ですから稼ぎは良いはずですよ。知らんけど」
言われてみれば、親の収入なんて気にしたこともなかったな。
よし。今度教えてもらおうっと。
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