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3人の美少女


昼休みが終わり午後の授業が始まる。


俺は午後の授業が始まってあることに気づいた。朱莉と沙奈江は全く黒板を見ずに俺の方だけを見ている。


授業中にふと窓の方へ眼を向けたときに気付いた。何気に窓の方、すなわち左を見るとなんとも言えない可愛い表情で俺を見つめる朱莉の顔が見えた。目を潤ませて凄く優しい表情でずっと俺の顔を見ている。


「ずっと見てるよ」という声が聞こえてきそうな表情だ。時折眼を細ませて笑顔になる。そして頬を少し赤らめて俯いた後にゆっくり顔を上げ、上目遣いで照れているようなかわいい仕草をする。

物凄く可愛い… 思わずドキッとした。さすがに学年でトップクラスの顔である。


あまりの可愛さに思わず目をそらせた。非常に悔しい… あいつは何考えてんの? あの二人を見てるとよくそんな言葉が出てくる。これ以上朱莉を見てると変な気分になるので目線の方向を変えた。


何気に右、すなわち沙奈江の方を見ると… 美しい顔で俺を見つめる沙奈江がいた。沙奈江は綺麗系の顔をしているので、黙って見つめられただけで吸い寄せられる感覚になる。しっかり俺の顔を見てた後に急に頬を赤らめて少し下を向く… すごい破壊力だ…


あいつらまた何か企んでる。最近、毎度毎度何かを考えて実行してくるあいつらの行動力に感心させられる。それをほかの男にやってほしい… 秒で男たちを籠絡できるだろう。自分たちの最大の武器をなぜ俺の方へ向けて出してくる?


俺は完全に目のやり場を失った。右もダメ、左もダメ… 美少女に挟まれると視野に制限を受けることを初めて知った。


それにしてもあいつらは狡猾すぎる。一人ならまだしも二人同時にやられると本当に目を向ける方向に制限を受ける。ちょっとでも顔を横向けるとどちらかの美しい顔が必ず視界に入ってくる。しかも目いっぱい魅力的な顔…


こんなのを長時間やられるとさすがの俺も精神的にきつくなる。あいつらの性格を嫌というほど分かってるのに、「いいな~」と思ってしまう。腹が減った時によくできた食品サンプルがあるのと同じだ。食えないと分かってるのに思わず食いそうになる。


朱莉視点

ど~お? 侑汰君、可愛いでしょ… えへへ。 もっとこっちを見てね、まだまだこれからだよ。今度は物欲しそうな表情で… 上目遣いで… あとは少しだけ笑顔… これ、結構顔面の筋肉がキツイ… 長時間は無理だ… 侑汰君早くメロメロになって。 沙奈江、あんたも頑張るんだよ。 あ、侑汰君顔をそむけた… 今のうちに頬をマッサージしないと…


沙奈江視点

もう、朱莉ばかり見てないでこっちも見てよ! 何赤くなってんの侑汰! あ、こっち向いてきた… 私も見て見て… こういう時はこの表情、どう? 結構いけてるでしょ? ちょっと侑汰の顔を覗いてみよ… だめだ、こっちが照れちゃう。 や~ん、今はこっち見なくていいよ侑汰…


当然3人とも全く授業の内容は理解できなかった。いや、完璧に授業を無視していた。


授業を受けるという学生の本分を完璧に無視して午後の情業を受け終わった3人だが、朱莉と沙奈江は今日こそ侑汰を放課後どこかに連れて行こうと考えていた。侑汰を見ると鞄に教科書を入れ終わって帰る準備ができてるのに席に座ったままでいる。


「朱莉、侑汰って何かを待ってるみたいだよね?」


「沙奈江もそう思う? これって、昨日と同じじゃない?」


朱莉と沙奈江がそんなことを言っているとき、教室の扉がガラガラっと開いた。


「侑ちゃん、迎えに来たよ」


侑汰のクラスに鈴女が現れた。

昨日のこともあり、クラスのみんなは一斉にざわつき始める。中には勝手に写メを撮ろうとする者も出てきた。


侑汰の周りには「俺のこと紹介しといて」とか「私の名前を教えといて」とか色んなことを言ってくるものが集まった。


「姉さん待たせると悪いから」


侑汰はそう言って鈴女の方へ向かった。

朱莉と沙奈江はその様子を歯がゆい思いで見つめていた。


「侑ちゃん、ちょっと…」


鈴女は侑汰を近くに引き寄せ何やら小さな声で話し始めた。そして、急に教室の中に歩いて行った。ゆっくりと歩いていくと近くにいた者はみんな道を開けるように避け始める。そして立ち止まり話し始めた。


「あなたたちが、朱莉さんと沙奈江さんかな?」


鈴女は微笑んだ優しい表情で声をかけた。


朱莉と沙奈江はびっくりした。急に話しかけられ真近くから鈴女を見る。昨日よりもっと近くで見る鈴女の顔は表現できないほどの美しさであった。同じ女なのにその顔につい見惚れてしまっていた。


「そ、そうですが… 何か?」

朱莉がとりあえず返事をすると、


「二人とも今日は暇かな?」

いきなり鈴女は聞き始めた。


「はい、何も予定はないですけど…」


「もしよかったら家に遊びに来ない?」


朱莉と沙奈江はびっくりした。その言葉を近くで聞いていた侑汰はもっとびっくりしていた。


「す、鈴姉、なに急に言い出すんだよ…」


「どうかな? 二人とも家に遊びに来てくれない?」


鈴女はそんな侑汰の言葉を聞きもしないで朱莉と沙奈江を誘う。

朱莉と沙奈江はどうしたらいいのか分からず二人で顔を見合わせていたが、沙奈江が、


「それじゃ、お言葉に甘えていかせてもらいます」と言った。


「そしたらみんなで一緒に帰ろ」


そう言って鈴女はずんずんと進んでいき、その後を侑汰や朱莉、沙奈江がついて行った。クラス内は沈黙していた。


いったい何が起こったのかみんなよく分からず、侑汰と3人の美女が教室から出ていくのを見送った。


侑汰の家は学校から徒歩15分位のところにあり、結構学校から近い。侑汰と鈴女が前を歩き、その後を朱莉と沙奈江が歩く。


侑汰の家に向かっているとき、侑汰は鈴女に問いかけた。


「なんで朱莉や沙奈江を家に呼ぶの? 俺、姉ちゃんに言ったよね、あいつらと付き合う気はないと…」


「でもいろいろと問題があるんでしょ? 一人で解決できるの?」


「そう言われると… でも、家に連れて行かなくても…」


「侑ちゃん、なにがあったか知らないけど友達なんでしょ? だったらそんな言い方は駄目じゃないかな… それにあんなに可愛い子たちが昨日侑ちゃんが言ってた子だったなんて… どうしてダメなの?」


「いろいろと理由があるの。まだ姉さんにも言ってないこともあるんだよ…」


「だったら、それも含めて色々と聞かせてもらおうかな…」



その頃、後ろを歩いていた朱莉と沙奈江も何やらひそひそと話していた。


「これって、どうなってるんだろね…」

朱莉が言うと、


「そうだね、でも呼ばれたからには行かないと… それにお姉さんには聞きたいこともあるし…」

沙奈江はそんなことを言った。


「やっぱりお姉さんとは一度直接話さないといけないって私も思ってた」

朱莉も同じような考えだった。


「朱莉、何とか侑汰にシスコンっていうのを分からせて、普通に戻さないといけないからね」


「分かってる、どの道シスコンのままでなんていられるわけないしね」


「やっぱりお姉さんに弟離れしてって言わないと始まらない…」


「言いにくいけど… 侑汰のことを考えるとやっぱり言わなくっちゃ仕方ないよね」



それぞれの思いが錯綜する中、やがて侑汰の家に到着した。


「朱莉さん、沙奈江さん、遠慮しないで上がってくださいね」


鈴女はそう言って二人を家の中に招き入れ、リビングに通した。


「私の事は鈴女って呼んでくださいね」


「分かりました、鈴女さん」二人はそう言った。


それから鈴女は飲み物をテーブルに用意して朱莉、沙奈江と話を始める準備をした。

準備が整ったとき、鈴女は侑汰に向かって言った。


「侑ちゃん、ちょっとこれから朱莉さんと沙奈江さんにお話があるから二階の自分の部屋に行っててくれる?」


「分かった」

そう言って侑汰は二階へと上がっていった。



鈴姉はいったいどんな話をするのかな… やっぱり俺の代わりに二人とは付き合えない事を言ってくれるのかな…



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