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今日は快晴。雲ひとつない青空が広がっている。
「じゃあ、行こうか」
そう言って湖に出発しようとした時。
フィリップさんとサーナさんが慌ててこちらに向かってきた。
私はリア様と顔を見合わせて首をひねる。
「クリスタ様、カイル様。村の子どもが一人いなくなってしまったようです。もしかしたら、湖に行ってるかもしれないと……」
慌てたように話すフィリップさん。
もし、湖に行っているなら大変なことになる。まだ、穢れが発生して早い段階だから魔物はいないけど危険なことには変わりない。
「分かりました。湖の方には私たちが行くので村の方をお願いします」
居なくなった子供は薬草を探していたらしい。お母さんが病気で薬も薬草が無くなって作れなくなっているという。
その薬草は水辺にしか生えなくて湖に行くのを禁止している今、採取するのも難しいらしい。
「なんか、嫌な気がするんだよねぇ」
エドガー様の言葉に同意するように頷いた。
「早く行きましょう」
湖に着いて最初に思ったのはこんなに暗い雰囲気だったか、ということだった。
昼間だから明るいはずなのにどこか暗い雰囲気が漂っている。
「聖女様!」
ソニア様の声のほうを向けば、倒れている子どもを見つけた。
慌ててかけより確認すれば、ただ意識がないだけで大きなケガはなかった。その子の手には赤いつぼみをつけた花をにぎっていて、それがこの子の探していた薬草だと分かった。
「よかった……」
ほっと息を吐けば強張っていた肩から力が抜けた。それに気づいてそっと苦笑いする。
ともかく、この子を急いで村に連れて行かないと。
フィリップさんもこの子のお母さんもとても心配していると思うし。
「クリス! 何かいるわ!」
湖の奥。草の陰から出てきたのは黒くて大きなモノ。
……魔物。
ここまで気味の悪いものだと思わなかった。体は動物のような形だけどドロドロとした何かが伝わってくる。
「すみません。マクレウス様この子をお願いしてもいいですか」
まだ、距離はあるし騎士であるマクレウス様の剣はとどかないから。
もしかしたら、この子は湖や魔物からでる瘴気にあてられたのかもしれない。だとしても、先に見つけることができてよかった。
初めての実戦。緊張するしうまくできるかわからないけどやるしかない。
大丈夫。女神様のおかげで魔力量が増えて使える魔法も増えた。
私ならできる!




