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 言い終わってから気づいた。

 絶対に今言ったことダメなやつって。

 アステリア様の手元にあるティーカップはカタカタと音をたててるし、俯いて顔は見えないけど何かやばい雰囲気だし。


「も、申し訳ござ……」

「ふふ、あははは」

 

 何事?!

 謝ろうとしたら突然アステリア様が笑いだした。

 

「あはは、あなた面白いわね」

「はい?」

「こんなに、笑うなんて久しぶりよ」


 アステリア様はそう言いながらまだ、クスクスと笑い続けている。

 私はどうしたらいいんでしょうかね……。


「ごめんなさいね。予想外の答えが返ってきたからおかしくて」

「そ、そうですか……」


 何を言えばいいんですか、これ。


「まさか、あんなに力強く言われるなんて。でも、良かったわ。あなたがそんな人で」

「どういう意味ですか?」

「そのままよ。聖女と言われるようになって思い上がることもない。むしろ、聖女と呼ばれることは好きじゃないみたいだけどね」


 うっ……。

 聖女って言われるの好きじゃない。それに、思い上がるなんてそんな暇今までなかった。

 だって、聖女と呼ばれるようになっていろいろ悩んで。魔王について知ってまた悩んで。あれ、悩んでばっかりだ、私。


「それと、ごめんなさい。嫌がらせを受けていたんでしょう? 私の友人たちが勝手にやっていたみたいなの。今後はこんな事しないように私からしっかりいっておくわね」

「ありがとうございます」


 私がそう言うとアステリア様はふぅと息を吐いた。


「一度、あなたとお話してみたかったの」


 アステリア様が私と……? なんていうか、ただの伯爵令嬢なのに最近こういうことが多い気がするなぁ。


「この間、王太子殿下にお茶に誘われたそうね?」

「はい。断りましたけど……」


 やっぱり王族のお誘いを断るのはダメだったかな?

 いや、でもあのお誘いを受けたら受けたでいろいろと面倒なことになるんだよなぁ。

 

「いいのよ、大丈夫だから。むしろ、よくやったって思ったわ」


 ……へ?


「あの方のあんなお顔を見ることができたんだもの」


 そう言うとまた笑いだしたアステリア様。

 もしかして、あの時近くで見ていたんじゃ……!


「ええ、そうよ。たまたま、近くを通りかかってね。あなたと王太子殿下の話し声が聞こえたのよ。でも、王太子殿下よりオルコット様をとるなんて」


 また、笑いのツボにはいったらしい。


 というか、アステリア様ってこんな方だったんだね。私のイメージだと凛とした清楚な令嬢という感じだった。

 ああ、でも。

 私はこっちのアステリア様が好きだな。こんなこと不敬になるかもしれないけどこんな風に笑ってるアステリア様の方がずっと素敵だ。

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