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 魔王は悲しい存在。世界に絶望した子供がなるのだから。

 私が会った魔王もまだ子供だった。


 魔王が現れる前兆はいろいろな場所に穢れが発生すること。私の最初の旅の目的は穢れの浄化だった。

 数はぜんぜん少なかったから、すぐに終わった。でも、魔王が作りだした魔物たちと戦うのが大変だった。一緒に旅に出た騎士も魔法使いも何人も死んでいった。

 何度も思った。私に戦える力があれば。私ができたのは傷を癒やすだけ。聖女だと呼ばれていてもそんなことしかできない自分が歯がゆかった。


 そして、私たちは魔王に会った。


 子供なのに目だけが憎しみに満ちていた。怖いと思った。

 彼が使う魔法はとても強くて何度も何度も死にそうになった。けど、私にはこの属性があったから死にそうになる度に回復を繰り返して戦った。

ついに魔王を浄化できるっていう時に私は彼の心を見てしまった。彼の心は悲しみと憎しみと絶望しかなかった。私はそれがとても悲しく思えた。

 変な話だよね。倒さないといけない相手なのに私は彼を救いたいと思うなんて。だけど、私にはその方法は思い浮かばなかった。知ってるよね? 魔王になった子供は人に戻ることができずにそのまま消えてしまう。だから、私は魔王を封印した。唯一、彼が消えない方法をとった。

 千年後。次の聖女は彼を救えるかもしれないと思ったから。


※※※


『これが、私が魔王を封印するまで』


悲しい顔のままレイラ様はそう締めくくった。

私はなんて言えばいいのか分からず無言のまま。


『ごめんね。嫌な役目を押しつけて』

「そんなことありません!」


必死な私の言葉にレイラ様はふっと頬を緩ませた。


「レイラ様が私に託したことはしっかりと成し遂げます!」

『うん、ありがとう』

「はい!」


やっと、笑ってくれた。

初めて笑ってくれた。クリスタ様は強ばったような緊張したような顔をしてたから少し安心。

かわいいなんて思ったことは内緒。だって、こんな話してたのにいきなりそんなこと言ったら呆れられそう。


『あぁ、もう時間だ』


レイラ様の視線につられて窓を見るといつの間にか日がのぼりかけていた。


『私はもうすぐいなくなるけど、クリスタなら大丈夫。私が保証するよ』


その言葉に頷く。レイラ様も安心したように頷いた。

ん? 何か聞き忘れてるような……?


「あっ! レイラ様、魔法はどうやって使えるようになったんですか?」


たしか、女神様に教えてもらったんだよね。


『そうだね。まぁ、とにかく願うこと。これが一番大事』


願うこと? どこかで聞いたような……。


『願えばどんな事でもできるようになる、かもしれないね』


そして、レイラ様は『頑張って』と言って消えていった。

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