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大捜索

図書室と言われてやってきたら、そこにあったのはおままごとにしか使えないようなほどの大きさの魔道具と本の山。君ならどう言うリアクションを取るのが正解だと思う?


「はあ?」


俺は全く面白みのないリアクションを取ってしまった。


「うわ、ぐっちゃぐちゃ。お母さん掃除は苦手だったからなぁ。」

「この本棚の装飾は見事ですね。もらっていったらダメでしょうか?」


なにこの無駄に統一された精神。最近豚とか卵とか盗みすぎたせいで琴美とかこんな状況でも盗みを働こうとしてるし。なんかもっと驚いてもいいと思うよ、俺は。


「この山の中にお母さんのいってた日記があるんだね。」

「この中を探すんですね。めんどくさそうです。」

「ちょ、ちょっと待て。このお人形さんが読むような本たちの中から探すのか?」

「ここじゃないならどこ探すの?」

「それは探してみないとわからないが……これの中に日記があるのか?とても人が何かを書き込めるような大きさには見えないが。」


ここにある本は大きくて縦が5センチあるかないか。こんなのに書き込める人はすごいと思う。

そんなことを考えていると琴美から声がかかる。


「この本や魔道具からスキルを使った際に似た神気を感じます。『神眼』でみてみるとわかると思いますよ。」


俺は言われた通りに『神眼』を発動する。うん、言い方が厨二っぽかった。


「ほんとだ、魔道具と本全部()スキルを使ってる。」


本来スキルを使用できるのは命を与えられたもののみである。が、『魔術・スキル付与』によってスキルが付与された()は例外的にスキルの使用が可能になる。要するに、これらの本や魔道具はスキルが付与されていて、今まさにそのスキルを使用している最中だと言うことが言いたいのである。


「『鑑定』……スキルを表示。」


俺は付与されたスキルを調べるために『鑑定』を使う。なんとこれ、俺の扱える数多のスキルの中でもほんの一握りの覚醒済み(・・・・)スキルの一つである。

この世界には『〜Lv○』のようなスキルのレベル制がない。その代わりにあるのが『覚醒』の段階で、『鑑定』の場合だと、知りたい情報の取捨選択や隠蔽を見破る『強制鑑定』が可能になる。

俺は『思考分割』で他のものも同時に『鑑定』する。


「ここにあるものすべてに『縮小』が付与されてる。多分スペースを有効活用するために菫さんが付与したんだろう。」


『縮小』は自らの体を縮めるというスキル。確か『ネムンドフロッグ』の種族スキルじゃなかったっけ?

種族スキルはその種族が代々受け継ぐスキルで、その種族しか持っていないスキルのことをいう。

『ネムンドフロッグ』と言うのは黄色い毒々しいと言う表現がよく似合う蛙の魔獣のこと。

補足だが、自らの体を直接変化させるスキルを持っているのは大体魔物だと思った方がいい。じゃなきゃ「人間ってどんな形だっけ?」になりかねない。

これらを踏まえると、覚醒済みの『魔術・スキル付与』の『中継付与』でも使ったんだろう。これで菫さんを経由して魔道具たちに『縮小』を付与できる。

俺は山になっていた本を一つとると大きくなるように念じてみる。すると本は某ひみつ道具の不思議な光を浴びたかのようにゆっくりと大きくなっていく。

当てずっぽうで念じてみたが、うまくいった。きっと『魔法創作』で作った考えを読む魔法でも使ったんだろう。

俺は通常サイズになった本をパタンと音を立てて閉じると、気合をいれるかのように少し声を張り上げる。


「よし、正体がわかったし日記を探すか!」

「うん!」

「はい。」


と、意気込んだまではよかった……



二日後(・・・)


「何処なんだぁああああああああ!!」


やっと一つ前の話の冒頭である。

治は淡い期待を抱いていた。楓は「お母さん片付けだけはまるでダメだったんだよなぁ」とかいってるが、治自身の中でのできる女代表である菫さんは片付けすらも完璧なんだろうと。

よく考えればわかる。“片付けが完璧”の状態は決して“本の山が部屋の真ん中に居座っている”状態ではない。

が、繰り返して言う。治は淡い期待を抱いていた。すぐに見つかると思っていたのである。


「ほんとにあるのかなぁ?」


楓なんて諦め始めている。

ちょっと楓さん、あなたが唯一の「菫さんによるとある物の失踪事件」経験者なんですから。


「魔道具との分別で間違えてしまったのでしょうか?」


そういったのは琴美。最初に琴美の提案で、魔道具と本を分別すれば楽なんじゃない?みたいなのがあったから即実行した。それに間違いがあるということを疑っているみたいだ。


「確かに、これだけ数があるし一つ一つが小さいもんな。間違っても不思議じゃない。」

「もう一回やろう!」


楓が復活した。

俺たちは魔道具の山を本たちと混ざらないように注意しながら崩すと分別を始める。

魔道具の中には、箒のような単純な形のものから、これ誰の作品?みたいな複雑怪奇で現代アートを連想させるような形のものまで様々で、分別は本よりも大変だ。

俺は一つ一つ手にとって確認する。

黙々と作業を進めること十分ぐらいだろうか。


「なんか私の、箒が多くないかな!」


もう見飽きたのか、楓が叫ぶ。ちらりとみると楓が分別したものは箒密度が尋常じゃなかった。


「たまによくわからないのが入ってるのが少しめんどくさいですよね……この石の板とか何に使うんだか……」


琴美の目が死にかけてる!

無気力に放たれた琴美の言葉に俺たちは賛成するしかない。

琴美は角の丸い長方形の石の板を弄ぶようにいじり始めた。すると、石の板からカチリとボタンを押すような音が聞こえた。

すると、石の板が光出した。


「「「へ?」」」


石の板をよくみる。そこにはスマホのホーム画面のようなものが表示されており、真ん中には可愛い丸ゴシックで『日記帳』と書かれたアプリがある。

……………

…………

………

……


「「「お前かぁあああああああああああああ!!」」」


当然みんなで声をあげた。

ブックマークを一件いただきました。ありがとうございます!

感想や評価もぜひお願いします。


※第5話の『覚醒』と『進化』の違いについての説明文が逆になっていたので修正しました。今更ですが本当に申し訳ありません。

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