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図書室へGO

人間、たくさんの顔があると言う。

一人の人でも、優しい顔もあれば恐ろしい顔を持っている場合もある。

そして一番落ち込むのが、ある顔だけで判断したことによって別の一面を知った時に裏切られたような気持ちになること。


「何処なんだぁああああああああ!!」


今の治のように。




〜二日くらい前(菫さんのビデオメッセージを見た次の日)〜


菫さんはいわゆる『できる人』だと思う。誰か知ってる人が来た時のために用意したと言う客間のベッド(すっごいふかふか。興味本位で鑑定してみた結果森の最深部に生息する特別な綿花で作られた綿を使っていた。)の感触の余韻に浸りながら渋々起き上がる。一日中寝てたいぐらいの感触だったこのベッドはきっと人をダメにするやつだ。

俺はベッドから降りると部屋を出て荷物の置いてあるところに行く。そしてその中の治特性完璧保冷バッグに手を突っ込むと、一番近くにあったものから適当に取り出す。今回はじゃがいももどきだったので、職業:料理人に変更した後『献立』スキルを使ってじゃがいもを使ったレシピを考える。

このスキルは使いたい具材をもとにちょうどいいレシピを考えるのを最大限補佐してくれる便利スキル。俺はしばらくした後、トウモロコシと人参、きゅうり(全部もどき)を取り出した後、さらにソーセージと卵を取り出し、朝食を作るために台所に向かった。

作るものはポテトサラダとオムレツ。主食がないのも寂しいが、デンプンはジャガイモで摂取するからきっと大丈夫だ。タンパク源は何処かの村からこっそり盗んできた豚を使ってつくった自家製ソーセージと同じく盗んできた卵を使ったオムレツ。野菜は少し少なめだが、ポテトサラダの中のものでいいだろう。

俺は再度頭の中でメニューを確認すると、『万能の大鎚』を包丁に変形させる。材料をカットして、それぞれをボウルに入れるとじゃがいもを水魔法と火魔法(神気Ver)で高温の蒸気を出して一瞬で蒸した後『腕力強化』と『俊敏』を使った腕で一瞬にして潰す。料理のバリエーションを増やすために作っておいたマヨネーズや塩胡椒で味付けしてもう片方の腕で空中にお湯の塊を作りその中で茹でていた他の野菜も混ぜる。

片方の腕が空いたので、『万能の大鎚』をフライパンに変形させて片手で綺麗に卵をわり、風魔法を駆使してかき混ぜると、火魔法でフライパンを火にかける。

『万能の大鎚』は俺のイメージによって形が変わる。例えば今回の場合「料理人といえば包丁!」と思えば包丁になるし、「やっぱフライパンでしょ!」って思えばフライパンになる。

と、解説しているうちにポテトサラダが完成し、溶き卵が固まり始める。俺はボウルをそのまま机の上に置くと、器用に手首を返してオムレツの形を作っていく。


「楓、琴美、ご飯できたぞ。」


俺は腕についている腕時計モードの『ムラクモ』から『水龍』と『グリフォン』に声を届ける。たまにある自由行動の時に通信するために治は会話できるようにしておいたのである。

治はオムレツも作り終え、それぞれをお皿に盛り付けるとダイニングっぽいところにある机に料理を準備して椅子を準備する。

ちなみに、料理の際は『思考分割』と言うスキルを利用していたので一度に最大五つのことがこなせる状態だった。


しばらくして楓と琴美がこちらにくる。楓は料理を見た途端に顔を輝かせ、取って付けたようないただきますを唱えたあと、料理にかぶりつく。琴美も少し遅れていただきますと丁寧に言って食べ始める。『調理』と言うスキルのおかげで俺は楓と琴美の胃袋をがっちりと掴んでいる。もう俺に逆らうことはできるまい。


と、一人心の中でつぶやいていると、楓が思い出したように言う。


「ルピナスは食べなくていいのかな?」

「ああ、なんか昨日聞いたら朝は食べないって言ってたぞ。夜中に自分で作って食べるらしい。」

「寂しくないのかな?」

「確かに、一人はかわいそうだよな。」


俺と楓は二人でルピナスのことを考える。すると今度は琴美が呟く。


「今思うと、ルピナスの記憶の中の楓さんのお母さんすごく若かったですよね。お母さんが亡くなってから96年経ったって言ってましたし……」


何気なく呟かれた言葉。

しばらく黙々とご飯を食べる時間が続く。と、唐突に3人は揃ってバンッと言う音を立てて机を叩くと立ち上がって一斉に叫ぶ。


「「「ルピナス(さん)って何歳なんだ(でしょうか)!?」」」


そういえばそうだ。ルピナスはしれっと自分は96年生きていると遠回しに言っていた。が、見た目は楓と変わっていない。もしかしてファンタジーな世界によくある不老不死だったりするのだろうか?

俺たちは疑問を抱えたまま食事を済ませ、水魔法で口の中を洗濯機のように洗い流した後、3人で菫さんの部屋に行く。途中でルピナスにあったが、女の子に年齢のことは聞けなかった。


俺たちは机の下にあのビデオメッセージのボタンと同じ作りのボタンを見つけたので、楓にボタンを押すように頼む。ボタンがビデオメッセージの際と同じことを言った後、楓はボタンを慎重におす。すると、ガガガガという重いおとを響かせて机が畳まれていく。やがて机はなくなり、代わりに人が一人通れるほどの階段が現れる。


俺たちは階段を降りていく。思いの外長い階段で、十分ぐらい経っただろうかそこには金属の扉があり、また先ほどのボタンがあった。楓は2個目のボタンも難なくクリアして扉を開ける。

錬成師Sの所持していた本が観れるということに少しドキドキしながら俺は扉が開ききるのを待つ。

扉はゴゴゴゴという音を立てながらゆっくり開いていく。部屋の中は光が溢れていて、くらい階段に目が慣れてしまった俺は少しの間、光しか見えなかった。そして、だんだん目が見えるようになっていった先に待っていたのは……


「はあ?」


ミニチュアサイズの魔道具と本たちだった。

冒頭の部分にはまだ届きません。

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